政府は6月21日、「経済財政運営と改革の基本方針 2024」(通称「骨太の方針」)を閣議決定しました。政権の重要課題や翌年度予算編成の方向性を示す方針として、毎年6月ごろに策定されるものです。
この基本方針では経済成長に向けた方針が重点的に記されており、その中にはインバウンド観光に関連する方針も盛り込まれています。本記事では発表された基本方針の中から、「インバウンド」に関連する内容をピックアップしてご紹介します。
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「経済財政運営と改革の基本方針 2024」閣議決定
「経済財政運営と改革の基本方針」とは、政府の経済財政政策に関する基本的な方針や、経済・財政・行政・社会などの分野における改革の重要性とその方向性を示すものです。以下にインバウンドに関わる方針を紹介します。
観光DX
観光DXについては、訪日客向けICカードのモバイル化や交通・決済アプリの多言語化の利用を促進するとともに、地域共通のキャッシュレス・アプリ・予約サイトなどの整備やデータ連携など、面的なDXを推進するとしています。また顔認証などの新技術を活用した旅客手続きの円滑化をはじめとする空港業務DXや、関係機関のデータ連携による厳格で円滑な出入国を進めると記されています。
関連記事:観光庁が推進する「観光DX」とは?国内外の優良事例紹介
大阪・関西万博の推進
2025年の大阪万博開催に向けて、各国・国際機関の参加・出展の確保、会場建設、安全確保や予算の適切な執行管理と進めるとし、日本と参加国の間で子どもや若者の交流を行うことにより、機運醸成に取り組むとしています。また具体的な方法には触れられていないものの、大阪万博の来場者を地方に誘客するように取り組む旨が記されています。
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持続可能な観光立国の実現
「持続可能な観光立国の実現」に向けて、2030年に訪日外国人旅行者6,000万人・消費額15兆円を目指し、戦略的に取り組むとしています。関連記事:持続可能な観光推進のポイントは?北海道美瑛町・熊本県阿蘇市など先進事例5選
戦略の中でも、次の2つが中心に記されています。
- インバウンドの地方誘客
- 持続可能な観光地域づくり
地方を中心としたインバウンド誘客に向けた取り組みについては、日本固有の観光資源(温泉・旅館・食・歴史など)や文化資源の磨き上げを図りつつ、次のような内容を推進するといいます。
- 特別な体験の提供
- アドベンチャーツーリズム等の地域の多様な観光コンテンツ造成
- ローカルガイドを含む観光人材の育成
- 高付加価値な観光地づくり
- 国立公園・国定公園・国民公園や公的施設の魅力向上
- 空港・CIQ*・二次交通等の受入環境整備
- クルーズの再興・拠点形成
- 消費税免税制度の見直し・適正利用
- 戦略的なプロモーション
- 伝統的酒造りの魅力発信
- MICE誘致・開催
- 厳格なカジノ規制を含むIR整備
- デジタルノマドビザの活用促進
- アウトバウンド・国際相互交流の拡大
*CIQ…税関(Customs)・出入国管理(Immigration)・検疫(Quarantine)の頭文字をとった言葉
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持続可能な観光地域づくりに向けて、計画的・継続的な宿泊施設や観光施設の改修などによって、観光地・観光産業の再生・高付加価値化を促進するといいます。
また観光DXや観光地・観光産業における業務の効率化・省力化、外国人材の活用によって総合的な人材不足対策に取り組むとしています。
近年深刻化しているオーバーツーリズムについても、未然防止・抑制や観光地のマネジメント体制の構築を促進するといいます。
その他にも、国内交流拡大に向けた動きについても記されています。ワーケーションやユニバーサルツーリズムなどを推進し、新たな交流市場拡大を進めるとしています。
その他
その他にも、「観光」の項目以外の箇所で、医療インバウンドを含む医療・介護の国際展開やスポーツツーリズムの推進といったキーワードが見受けられました。また注目が集まるリニア中央新幹線については、「地方活性化及び交流の拡大」の項目内で、国際競争力強化に必要な要素の一つに位置付けられています。具体的には、環境・水資源の状況や建設主体の財務状況を厳格にモニタリングし、沿線自治体と連携して駅周辺を含めたまちづくりを進めるといいます。
「地方誘客」「持続可能な観光」がキーワードに
今回閣議決定された基本方針の中で、観光やインバウンドに関連するキーワードとして「地方誘客」や「持続可能な観光」が中心に挙げられていました。特に地方誘客については、6月18日に発表された令和6年(2024年)版の観光白書でも、中心の一つとして取り上げられており、政府が主体的に取り組む姿勢がうかがえます。
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