サイクルツーリズムとは?国が推進する理由やメリット、課題も解説

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コロナ禍を経て、日本でもサイクルツーリズムの人気が高まってきています。自転車を使った観光は混雑を避けて観光できたり、環境や地域への負荷を減らせたり、地方の観光資源を掘り起こすきっかけになったりと、多くのメリットがあります。一方で、安全面やトラブル時の対応やインフラの整備など、解決すべき課題もあります。

この記事では国が推進するサイクルツーリズムについて理解を深めるとともに、サイクルツーリズムのメリットや課題について考えます。

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インバウンド集客を促進する「サイクルツーリズム」とは

サイクルツーリズムとは、現地での移動手段として、またアクティビティとして、「自転車」を活用して観光することを指します。観光業を強化するためのテーマのひとつで、インバウンド誘客で成功している地域もあります。

関連記事:「サイクルツーリズム」成功事例3選、インバウンドの地方誘客の方法

ヨーロッパなどを中心に海外ではすでに旅のスタイルとして定着していましたが、近年その人気は日本にも。サイクルツーリズムを目的に日本にやって来るインバウンド客が増えています。

国がサイクルツーリズムを推進

2017年より施行された「自転車活用推進法」は、国が積極的な自転車の活用を推進するための法律で、この「自転車活用推進法」に基づいて、2018年6月、自転車活用推進計画が閣議決定され、国が地方自治体や企業などとともに具体的に自転車の活用を推し進めていくことになりました。

背景には自転車の活用による環境への負荷の低減、災害時における交通の機能の維持、国民の健康の増進、交通混雑の緩和といった狙いがあります。

また、日本が観光立国となるための要素としても注目されています。観光スタイルがショッピング中心の“モノ消費”から、体験型観光の“コト消費”へとシフトしている状況を踏まえ、現在のインバウンド効果を全国へ拡大するために、自転車を活用した観光地域づくりが有望と考えられています。

サイクルツーリズムを積極的に推進することで、喫緊の課題である地方分散においてもプラスの要素を発揮することが見込まれます。

ナショナルサイクルルート制度について

サイクルツーリズムを推進するために、国が力を入れているのがナショナルサイクルルート制度です。ナショナルサイクルルート制度とは、日本を代表し、世界に誇りうるサイクリングルートを国が認定する制度で、現在ではしまなみ海道サイクリングロードやトカプチ400など、全国6か所がナショナルサイクルルートに指定されています。

魅力的で安全なルートであることなど一定の要件が定められており、将来的には全国のナショナルサイクルルートをネットワーク化するという構想もあるそうです。

国が指定していることが国内外へのPR強化につながり、サイクルツーリズム、ひいてはインバウンド需要の拡大になるという考えが背景にあります。

関連記事:2019年秋スタート「ナショナルサイクルルート」とは?サイクリストの訪日需要の伸ばし方

サイクルツーリズムの推進によって訪日外国人が増加

サイクルツーリズムの推進によって、地域の訪日外国人客が増加することが期待されます。

たとえば広島県尾道市では、2008年に同市を訪れたインバウンド客数が年間2万5,317人だったのに対し、2010年には3万7,611人にまで増加しています。

尾道市といえば、先述したしまなみ海道の出発点として知られています。すべてのインバウンド客がしまなみ海道でサイクリングを楽しむわけではないとはいえ、しまなみ海道のPRに触れて同市を訪れた観光客がいることが想像できます。

関連記事:しまなみ海道の事例に学ぶ、地方の観光DX

サイクルツーリズムの効果・メリット

国は「環境」「健康」「観光」「安全」の4つの分野で自転車の活用を推進していくことを決定しました。では改めて、サイクルツーリズムがもたらす効果やメリットについて考えてみましょう。

1. 地域の観光資源の掘り起こし・地域活性化につながる

旅行をするとき、アクセスが悪そうだったり特筆すべき観光名所がなかったりするところは、後回しにしてしまいがちではないでしょうか。一方で自転車ならそうした地域に気軽にアクセスできるようになります。

また、サイクリストたちは車通りの多い幹線道路よりも、むしろ細い裏道などを好んでルートに組み込む傾向にあります。自転車に乗ってゆっくり街散策することで、隠れていた観光資源サイクリストたちの目に留まり、新たな観光スポットになることもあるかもしれません。

サイクルツーリズムを目的に多くの観光客が訪れれば、飲食店や商店の盛り上がりにも寄与するほか、産業の再興につながる可能性もあります。自転車の乗りやすさを考えて環境を整備することで、地元民にとっても移動がしやすくなることも考えられます。

2. 環境に優しい

自転車での移動は、車とは異なり排気ガスの排出を伴いません。これは車での移動に比べて環境にやさしいだけでなく、交通渋滞を引き起こさないことで地域への負荷をかけないという利点もあり、持続可能な観光の実現に寄与します。

たとえば街中にも多くの世界遺産を有するフランスでは、コロナ禍からの観光業の復興を、環境問題にも同時に取り組む好機ととらえ、最寄り駅から名所までの積極的な自転車利用を呼び掛けています。

3. 健康的な旅行ができる

運動不足に陥りがちな現代人にとって、自転車に乗ることで得られる適度な運動は効果的です。自転車を漕ぐことで有酸素運動になり、生活習慣病の予防や免疫力アップも期待できます。

カロリーを消費できるため、現地の食をたっぷり堪能できると感じる人もいるでしょう。

4. 移動の自由度が高い

自分の体力や行きたい場所にあわせて、自由に行きたいコースを選択できるのが自転車利用の大きなメリットのひとつです。公共交通機関が整っていない地域でも、サイクルツーリズムであれば、そのデメリットをメリットにも変えられるはずです。

サイクルツーリズムを取り巻く課題

ここまでサイクルツーリズムのメリットを挙げてきましたが、反対に解決すべき課題もあります。

1. 安全面やトラブル時の対応

自転車での移動は、事故や転倒などの危険もはらみます。幹線道路沿いや観光名所の近くであれば誰かに助けを求められますが、人通りが少ない場所だと気づいてもらえないだけでなく、山道などでは電波が入らず救助要請できないリスクも考えられます。

トラブルが起こったときの対応方法だけでなく、トラブルを起きにくくする受け入れ体制を整備しておく必要があります。

2. 交通ルールの周知徹底

サイクルツーリズムを目的に海外からやってきた観光客の場合、彼らの暮らす国と日本では交通ルールが異なります。

事故の誘発はもちろん、標識を間違えて道に迷うことにもなりかねないので、徹底した周知が求められます。

3. インフラの整備

自転車が走りやすい環境を整えることはもちろん、マップや駐輪場、メンテナンスができる場所、道中のトイレなどを整備することも不可欠です。

また、これまで海外からの観光客が少なかった地域にもインバウンドの需要が増えた場合には、飲食店や商店などが多言語対応できるようにしておくのが理想です。

4. サイクリングガイド不足

国内外から訪れるサイクリストを案内するサイクリングガイドの不足も課題となっています。

ガイドの養成自体は行われているものの、まだ不十分な状況です。また、安定的な収入が得られるほど市場が醸成されていないことも問題となっています。

サイクルツーリズムで観光資源の掘り起こしへ

大きなメリットもある一方で、まだまだ考えるべきことも多いサイクルツーリズム。持続可能な観光を推進するためには不可欠な要素といえるため、環境の整備が求められます。

すでに多くのインバウンド客を集客している地域もありますが、観光立国を実現するためにも、サイクルツーリズムのさらなる活性化が期待されます。

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<参照>

国土交通省:GOOD CYCLE JAPAN
国土交通省:自転車活用推進法の施行について
広島県尾道市:ホームページ

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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