全国的に梅雨を迎える6月。この時期でも、伝統的な祭礼や季節感を楽しめるイベントは日本各地で多数開催されます。
本記事では、こうしたイベントの中から、訪日外国人にも人気があるイベントを訪日ラボコンサルタントが解説します。
1. YOSAKOIソーラン祭り
- 開催地:大通・すすきのエリアを中心とした札幌市内各所(北海道札幌市)
- 開催期間:2026年6月10日〜14日

YOSAKOIソーラン祭りの概要
YOSAKOIソーラン祭りは、高知県の「よさこい祭り」をルーツとし、よさこい祭りの「鳴子」と北海道の民謡「ソーラン節」を融合させて生まれた参加型のイベントです。
このお祭りは、1992年に10チーム・約1,000人が参加し、観客動員数20万人を記録したところから始まりました。以降規模を拡大し続け、現在は国内外から約270チーム・2万7,000人の踊り子が参加し、200万人以上が訪れるイベントへと成長しています。
YOSAKOIソーラン祭りの基本ルールは、「鳴子を持って踊ること」と「曲にソーラン節のフレーズを入れること」。この2つさえ守れば自由にパフォーマンスができるため、チームごとに個性豊かな衣装や音楽、振り付けなどが見られるのも特徴です。
札幌市内に約25会場が設置されるYOSAKOIソーラン祭りですが、メイン会場は札幌の中心部に位置する大通公園です。全長500mにもおよぶ目抜き通りを使った演舞が楽しめる南北パレード会場に加え、大通公園8丁目会場ではステージ形式の演舞を楽しめます。ワオドリスクエアでは飛び入りで鳴子を借り、踊り子と一緒に踊れるなど、自身のスタイルに合わせて楽しめるのがYOSAKOIソーラン祭りの良さだといえます。
また、大通公園西5・6丁目会場には北海道内外のグルメが集まる「北のふーどパーク」も設置されるため、踊りと食の両方が満喫できるのも魅力です。大通公園のパレード・ステージ会場には有料の桟敷席やアリーナ席、特別観覧席が設けられているため、演舞の迫力を間近で楽しむこともできます。
YOSAKOIソーラン祭りのインバウンド動向
YOSAKOIソーラン祭りが開催される北海道札幌市は、インバウンドからの人気も安定して高い都市です。2025年度上期(4~9月)の外国人宿泊者数は94万1,000人を記録し、国籍別で見ると韓国(32.2%)、台湾(19.1%)、中国(15.6%)、香港(5.1%)と、東アジアの4つの国・地域で7割以上を占めています。
YOSAKOIソーラン祭りでも国際交流の動きはさかんで、2025年にはタイ、台湾、エストニア、ベトナム、チェコのチームが演舞に参加しました。2026年は3チームが参加する予定となっています。
また、外国人観光客への対応強化として外国語ができるスタッフを新たに配置するなど、インバウンド対策にも力を入れています。
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2. 山王祭
- 開催地:日枝神社(東京都千代田区)
- 開催期間:2026年6月7日〜17日

山王祭の概要
山王祭は毎年6月中旬に開催される赤坂・日枝神社の祭礼で、京都の祇園祭・大阪の天神祭ともに「日本三大祭」、神田明神の神田祭、富岡八幡宮の深川八幡祭とともに「江戸三大祭」として数えられています。
その歴史は江戸時代、徳川三代将軍・家光公の時代にまでさかのぼります。歴代の将軍が上覧拝礼する(直々に観覧し、拝礼を受ける)「天下祭」として盛大を極め、現代においても、東京のど真ん中で江戸時代にタイムスリップしたかのような経験ができる行事として受け継がれています。
山王祭では、東京都心を王朝装束に身を包んだ500名もの大行列が皇居や東京駅、銀座などのコースを練り歩く「神幸祭」も隔年の行事として開催されています。2026年はまさに、「本祭り」とも呼ばれる神幸祭が開催される年で、6月12日に神幸行列が行われる予定です。
山王祭のインバウンド動向
日枝神社は東京都心という立地の良さもあり、1年をとおして多くの訪日外国人が訪れています。特に人気があるのは境内から山王稲荷神社へ続く朱色の鳥居「稲荷参道」で、その神聖さと色鮮やかな色彩から、日々多くのインバウンドが立ち寄るスポットとなっています。
山王祭に来場したインバウンドの数は正式に発表されていませんが、留学生が神輿を担いだり、外国人観光客がお祭りを楽しむ様子が過去にニュースで取り上げられたりと、外国人にも親しまれている様子が見られます。
2025年4月から6月までに東京を訪れた外国人旅行者数は約733万人という結果からもわかるように、東京都には毎月多くのインバウンド観光客が訪れています。東京都の調査では、日枝神社が位置する六本木・赤坂の訪問率は25.7%、神幸祭のコースとなる銀座の訪問率は51.9%、東京駅周辺・丸の内・日本橋は51.1%といずれも高い数値を記録しています。お祭りの存在を知らなくても、偶然目にする可能性が高いイベントだといえるでしょう。
なお、千代田区観光協会では英語で「山王祭 楽しみ方ガイド」も公開しています。
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3. 鎌倉の紫陽花シーズン
- 開催地:鎌倉 長谷寺・明月院・成就院など(神奈川県鎌倉市)
- 開催期間:2026年6月上旬〜6月下旬ごろ(目安)

鎌倉の紫陽花シーズンの概要
鶴岡八幡宮や国宝の鎌倉大仏などの歴史的建造物が多く存在する鎌倉は、紫陽花(あじさい)の名所としても有名です。梅雨の時期が近づくと市内各所の紫陽花が見ごろを迎え、国内外から多くの観光客が訪れます。
鎌倉エリアで紫陽花の名所として特に知られているのは、北鎌倉にある明月院です。別名「あじさい寺」とも呼ばれ、シーズンになると境内の参道沿いにある多くの紫陽花が咲きほこります。この風景は「明月院ブルー」とも呼ばれ、シーズン中は拝観時間が通常よりも長くなるのも特徴です。
また、長谷寺には約2,500株の紫陽花が植栽された境内の散策路があり、「あじさい路」として親しまれています。見晴らし台からは海と紫陽花のコントラストが楽しめるため、こちらも多くの人が美しい景色を求めて訪れるスポットです。
なお、長谷寺では混雑緩和のため、シーズンに差しかかるとあじさい路の入場券(あじさい券)を販売しています。拝観当日にも購入可能ですが、入場日時を事前指定することで入山者の利便性向上を図る考えです。
鎌倉エリアでは、このほかにも成就院、円覚寺、東慶寺、建長寺など多くの場所で紫陽花を楽しむことができます。
鎌倉の紫陽花シーズンのインバウンド動向
鎌倉市の観光案内所は、1か月あたり約5,000人~1万人以上の外国人観光客が利用しており、2025年6月のデータを見るとアジア地域のインバウンドの利用がもっとも多くなっています。直近のデータ(2026年3月)は中国が減少傾向にありますが、タイ(前年同月比128%)、韓国(同143%)、台湾(同169%)、インドネシア(同376%)が前年越えを記録するなど、国籍の多様化が進んでいるのも特徴です。
紫陽花の時期は、「東京から日帰りできる古都体験」といった鎌倉らしさに「四季がある日本らしい風景」「寺社と花を組み合わせた写真映えスポット」といった魅力が加わり、国内外を問わず多くの観光客が鎌倉に訪れます。実際に2025年6月の人流データでも北鎌倉、長谷エリアの来訪者は急増しており、今年も多くの人が紫陽花を目的に該当エリアを訪れると予想されます。
オーバーツーリズム問題に直面しながらも、長谷寺のようにハイシーズンのみ入場券を販売したり、鉄道会社と連携して特定の時期に分散観光の実証実験を行ったりと対策を講じている鎌倉。紫陽花の時期に限らず、今後のインバウンド対策にも要注目です。
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4. 熱田まつり(例祭 / 尚武祭)
- 開催地:熱田神宮 本宮(愛知県名古屋市)
- 開催期間:2026年6月5日

熱田まつり(例祭 / 尚武祭)の概要
熱田まつりは、三種の神器の1つ「草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)」を祀る熱田神宮で行われる恒例祭典・特殊神事の1つです。正式名称は「例祭」で、「尚武祭」と呼ばれることもあります。
熱田神宮のイベントのなかで最も重要かつ荘厳なもので、皇室の繁栄・国の平安を祈念するため、宮司による祝詞の奏上や勅使による御幣物(ごへいもつ)の奉納、御祭文(ごさいもん)の奏上などが実施されます。
例年約25万人もの人々が集まる熱田まつりは、地元の人々に夏の訪れを告げるお祭りとして親しまれています。花火、武道、献茶、献花、伝統芸能の奉納などさまざまな行事も開催されるため、朝から夜まで1日かけて楽しめるイベントです。
熱田まつり(例祭 / 尚武祭)のインバウンド動向
熱田神宮がある愛知県は、中部国際空港(セントレア)があることから、毎年多くの訪日外国人が訪れています。2024年の観光入込客数は約1億1,073万人を記録しました。
熱田神宮は名古屋駅からのアクセスがよく、名古屋エリアの主要観光地としてインバウンドにも親しまれています。2026年3月に愛知県が発表した訪日外客動向調査では、20.1%の人が「愛知県内で訪れた場所」として熱田神宮を選んでいるほか、訪日ラボの「人気観光地ランキング[愛知県編]」でも7位にランクインしました。
こうした動向をふまえてか、熱田神宮の近隣に位置するエクセルイン名古屋熱田では、英語、中国語で熱田神宮音声ガイドサービスの提供を2026年3月より開始しています。また、ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋では、熱田まつりの花火を鑑賞できるレストラン、宿泊プランを販売するなど、インバウンドを含むお祭り需要を上手に取り入れている様子が見受けられます。
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5. とうかさん大祭
- 開催地:圓隆寺(広島県広島市)
- 開催期間:2026年6月5日〜7日

とうかさん大祭の概要
とうかさん大祭は、広島市中区にある圓隆寺の総鎮守「稲荷大明神」の祭礼で、「胡子大祭(えびすたいさい)」「住吉祭」と並ぶ広島三大祭りの1つです。約400年の歴史があり、毎年6月の第1金曜日から日曜日まで計3日間開催されています。
このお祭りは、圓隆寺の御神体である「とうか大明神」が1年で唯一御開帳される貴重な機会です。初日の御開帳法要を皮切りに、産業発展祈願祭や焚き上げ法要、広島太鼓保存会による奉納太鼓などが行われます。
毎年45万人もの人出でにぎわうとうかさん大祭は、「浴衣の着はじめの祭り」として地元民に親しまれています。浴衣姿の人で彩られる景色が楽しめるのも、期間中に広島を訪れる魅力の1つです。
とうかさん大祭のインバウンド動向
世界文化遺産に登録されている原爆ドームや平和記念公園、嚴島神社など有名観光地を多く有する広島県は、毎年たくさんの外国人観光客が訪れています。2024年の外国人観光客数は前年比69.7%増の251万3,000人を記録し、統計開始以来過去最高を更新しました。
広島県のインバウンドの傾向として特徴的なのは、欧米豪の割合の高さです。広島県観光連盟(HIT)が発表している2025年の国籍別外国人宿泊者の構成比を見ると、欧州・豪州が36%、北米が16%となっており、3エリアの合計で半数を超えています。
圓隆寺は繁華街に位置するため、日ごろから国内外を問わずさまざまな人に親しまれていますが、とうかさん大祭の時期にはさらに多くの人々が集まります。広島市の調査によると、2023年のとうかさん大祭日(6月3日)には通常の約1.5倍の通行量が観測され、特に17時以降の通行量が大きく増加していました。このなかには、インバウンド観光客も多数含まれることが予想されます。
なお、広島の街ではとうかさん大祭の時期に合わせて、浴衣を着て街歩きを楽しめるイベント「ゆかたできん祭(さい)」が行われています。外国人限定のレンタルサービスも用意されており、和装でお祭りを楽しむ日本文化体験が可能です。
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訪日ラボ編集部のコメント
6月は、訪日需要が比較的落ち着く時期であるものの、多くの市場でスクールホリデーに入ることからファミリー層や若年層の旅行需要が高まります。特にアメリカは卒業から入学までの間に3か月近い休みがあるため、2025年の訪日外客統計を見ても、6月に訪日数のピークを迎えていました。
欧米と日本は距離が遠く、航空券も高額です。そのため、1回の訪日で長期滞在する人が多く、1人当たりの旅行消費額も高くなります。頻繁に訪れるのが難しいからこそ、「○○が欲しい」といったモノ消費よりも「○○に行きたい」「○○を見たい」といったコト消費を重視する傾向が高いのも特徴です。
日本人からすると、雨が多く億劫に感じがちな梅雨シーズンですが、欧米人は雨に風情を感じ、霧がかった山での登山を好む人もいます。
欧米人は雨の日でも傘をさす風習があまりなく、ホテルなどで傘やレインウェアのレンタルサービスがあると喜ばれるでしょう。傘よりもカッパなどのレインウェアが好まれる傾向にあるため、観光地で急に雨が降った場合、飲食店や施設の入店時に拭くものの提供があると、喜ばれるかもしれません。
なお、欧米人はストーリーを重視する傾向にあるため、お祭りの歴史や意義、展示している花の花言葉などをGoogleマップやWebサイトの発信に含めるのも効果的です。興味をもって来てくれた人に対し、現地でより詳細を説明できると、なお良いでしょう。
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<参照>
- ⼀般社団法⼈YOSAKOIソーラン祭り組織委員会:YOSAKOIソーラン祭り 公式ホームページ
- 札幌市:観光統計データ
- NHKニュース:札幌「YOSAKOIソーラン祭り」外国人客対応強化へ
- 北海道新聞:YOSAKOIソーラン、今年は275チーム 海外から3チーム 札幌で6月10~14日
- 日枝神社
- 大妻女子大学:日枝神社「山王祭」で留学生ら神輿担ぎ 江戸の伝統を体験
- FNNプライムオンライン:6年ぶり開催の「山王祭」外国人観光客も熱狂! 都心の“ど真ん中”を神輿16基が「大行進」 見物客は「うれしくなっちゃって感動」
- 東京都
- 千代田区観光協会:Sannno-matsuri Festival
- 公益社団法人鎌倉市観光協会
- 長谷寺
- 国土交通省:江の島・鎌倉エリアにおける分散観光(左回り)を推奨し、促進する取組の一環として、デジタル駅スタンプラリーを実施します!- 本格キャンペーン第3弾 -
- 熱田神宮
- 愛知県
- 日本政府観光局(JNTO):日本の観光統計データ
- on the trip:エクセルイン名古屋熱田で「熱田神宮」音声ガイドサービス開始|フロントもリニューアルし物語ある空間へ
- ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋:熱田まつり 花火観覧特別プラン
- とうかさん:とうかさん大祭
- 広島市
- Dive! Hiroshima:令和7年広島県観光客・宿泊客モニタリング年報
- 広島市中央部商店街振興組合連合会:ゆかたできん祭
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