星野リゾート代表「2026年のインバウンド市場は踊り場に、歪みの解消が重要」 星のや飛鳥など新施設の開業日も発表

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星野リゾートは10月21日、オンラインプレス発表会を開催しました。

発表会では、「星のや飛鳥」「リゾナーレ福井」をはじめとする今後開業予定の施設や、ZIPAIRとの新たな取り組みなどの発表がありました。

また、代表の星野佳路氏が観光産業の現状や課題、今後の見通しなどについて語る場面もありました。

本記事では、その中からインバウンドに関する内容をまとめます。

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2027年は「星のや飛鳥」「リゾナーレ福井」など4施設が開業へ

星野リゾートは、2027年に「BunkLodge NEKOMA」「星のや飛鳥」「界 嬉野」「リゾナーレ福井」の計4施設の開業を予定しています。発表会では、それぞれの施設の特徴について触れられました。

BunkLodge NEKOMA:2027年1月12日開業

星野リゾートが福島県で運営するスキー場「星野リゾート ネコマ マウンテン(以下、ネコマ マウンテン)」。同スキー場の南エリアの麓に新たに誕生する宿泊施設が、BunkLodge NEKOMAです。同施設は、ネコマ マウンテンまで徒歩15分の立地が特徴となっています。

星野氏は、同スキー場が2025年にマルチリゾートパス「Ikon Pass*」に加盟したことから、同パスに加盟している蔵王温泉スキー場や、2026年10月15日に開業した「界 蔵王」とのインバウンド周遊旅行の可能性にも触れました。

また、スキー場の開発については、2026年12月1日に「星野リゾート トマム」にてゲレンデ直結の動線設計を行った新拠点「Adventure Base(アドベンチャーベース)」のオープンも決定しています。

*Ikon Pass:世界中の人気スノーリゾートを1枚のパスで滑れるマルチリゾートパス

▲星野リゾート代表 星野佳路氏:オンラインプレス発表会より
▲星野リゾート代表 星野佳路氏:オンラインプレス発表会より

星のや飛鳥:2027年7月22日開業

2026年6月25日に開業した「星のや奈良監獄」に続き、2027年7月22日に奈良県高市郡明日香村に開業するのは「星のや飛鳥」です。

2026年、「飛鳥・藤原の宮都」が世界遺産に登録された明日香村。この土地に建てられる同施設のコンセプトは「気に満ちた丘の辺」です。

星のや飛鳥では、棚田を表現した段々の庭や石室風呂など、明日香村の風土、歴史、文化を感じられる空間が作られており、心に余白を生む「マインドフルネス体験」を提案するとしています。

界 嬉野:2027年夏開業

温泉旅館ブランド「界」は、2027年夏に佐賀県の嬉野温泉に「界 嬉野」を開業します。

星野リゾート初の佐賀県進出となる同施設は、全室が坪庭を望む露天風呂付きの部屋で、宿の中心にはスパトリートメント施設「美肌小舎(びはだごや)」が設けられます。

界ブランドは今回、全施設の温泉分析表や泉質の特性を直感的に捉えられる「界の温泉名刺」配布の取り組みも発表しました。これは、2030年の「温泉文化」ユネスコ無形文化遺産登録を見据えた取り組み「30の温泉宿、30の温泉文化」プロジェクトの一環で、同ブランドは2030年までに30拠点の展開を目指すとしています。

リゾナーレ福井:2027年9月10日開業

リゾートホテルブランド「リゾナーレ」は、2027年9月10日に福井県勝山市に「リゾナーレ福井」を開業します。

「かつやま恐竜の森」内、福井県立恐竜博物館に隣接する同施設は「恐竜の森のデザイナーズホテル」をコンセプトに展開。リゾナーレブランドとしては、初の北陸エリア進出となります。

星野氏は同施設について、近隣エリアを含む家族層の集客に加え、インバウンドや東京など大都市圏からの来訪にも期待したいと述べました。

ZIPAIRと協業 第一弾は日本からのハワイ旅行を推進

また、発表会ではZIPAIR Tokyo(以下、ZIPAIR)と業務提携契約を締結したと明らかにしました。戦略的協業の第一弾として、「星野リゾート サーフジャック ハワイ」の宿泊者や、ZIPAIRの成田~ホノルル線の利用者に向けた航空券割引、特典などを展開します。

両社は、今後も2社のアセットを生かし、インバウンド誘客も含めた中長期的なパートナーシップを推進していくとしています。

星野代表が語る観光業界の動向

発表会では、星野氏から観光産業の現状や今後についての話もありました。

旅客税で増えた予算「インバウンドに限らず国内施策とのバランスを」

星野氏は、直近の大きな動きとして国際観光旅客税(旅客税)の引き上げと、それにともない観光庁の予算概算要求の総額が大きく増えた点について触れました。

2027年度の国際観光旅客税財源事業は、前年度比1.38倍となる1,800億円が要求されました。これは「国際観光旅客税の使途に関する基本方針」にもとづき、以下の3つの分野に充当すると定められています。

  • ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備:オーバーツーリズムの未然防止・抑制をはじめとする観光地の受入環境整備の促進など
  • 我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化:戦略的な訪日プロモーションの実施、MICEの誘致・開催促進など
  • 地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上:国立公園のインバウンドに向けた環境整備など

星野氏は、訪日客数が4,268万人と過去最高を記録しながらも、日本の旅行市場規模37.6兆円のうち、3分の2以上は国内市場によるもの(日本人による宿泊・日帰り旅行)だと強調。同事業に加え、一般財源事業(約100億円)の多くがインバウンド関連施策に費やされる点に懸念を示しました。

同氏は「一般財源は国内向け施策に回すなど、バランスを取る必要があるのではないか」と見解を述べています。

▲星野リゾート代表 星野佳路氏:オンラインプレス発表会より
▲星野リゾート代表 星野佳路氏:オンラインプレス発表会より

地域の観光振興は「DMOが機能するかがカギ」

加えて星野氏は、世界全体に向けたマーケティングが必要な今、持続的に観光客を誘致するうえでカギを握るのはDMO(観光地域づくり法人)の動きだと語りました。旅客税や各地で導入が進む宿泊税など、予算を調達する環境が整う今こそ、世界遺産登録やメディアによる話題化といった外的要因によって得た集客のチャンスを、一過性のものにしない体制づくりが必要だといいます。

ただし、これには人材育成や権限移譲といった課題が存在します。星野氏も、熊野古道(田辺市熊野ツーリズムビューロー)など先駆的DMOの存在を例に挙げつつも、戦略的・機能的に動けるDMOはまだ数が少ないとしました。こうした現状をふまえつつ、今後は地域連携などを含め、柔軟な予算編成や施策実施ができる体制づくりが大事だと語っています。

訪日客4,268万人は実力以上 踊り場の今こそ歪みの解消に時間を充てよう

最後に星野氏は、2027年の観光産業の展望について語りました。

4,268万人という訪日外客数について、この数字は世界的に見ても十分に多く、とくに日本は島国である点もふまえると一定評価すべきだとしました。一方、2026年は前年を下回る見込みで、「踊り場といえる年になるだろう」と見解を述べています。

続けて星野氏は、これまでの訪日客数の伸びについて、ビザ発給要件の緩和やコロナ禍の反動、円安といった偶然の重なりによって得られたもので、観光産業そのものが成長したわけではないと強調。インバウンドを一過性のブームにしないためにも、今こそ実力と実態のギャップを埋めるため、歪みを解消するために時間や労力を割くべきだと呼びかけました。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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