2015年の流行語大賞に選ばれた「爆買」という言葉が示すように、日本を訪問する中国人観光客の消費行動に注目が集まっています。観光客は事前に用意した購入リストをもとに、大量の商品を買い込んでいくのです。
その背景には、品質が高く、安全でとても信用できるという日本の商品に対するブランドイメージや信頼感があります。
中でも、医薬品や、医薬部外品の商品は最も人気があるジャンルです。
さて、中国国内の大手ポータルサイトである「捜狐(SOHU)」が昨年、「日本に行ったら買わなければならない12の“神薬”」と称してお勧めの品の紹介を行っています。その記事の影響力は小さくなく、その後、紹介された商品が大都市の各店舗で在庫切れとなるケースも珍しくありませんでした。
メーカー別で見ると、紹介の品には小林製薬の製品が複数入っています。消炎鎮痛剤である「アンメルツヨコヨコ」や、ハケ付きの液体絆創膏の「サカムケア」、そして冷却用途に使用する「熱さまシート」、クリームタイプの尿素入り塗り薬「ニノキュア」、13種類の生薬とビタミン類、カルシウムなどを配合した女性保健薬「命の母」などです。
ちなみに、「熱さまシート」ははがれにくいのが特長で、急な発熱のための常備グッズとして、中華圏だけでなく、インドネシアや、タイなどASEAN諸国などでも人気を博しています。
このように、小林製薬が推し進めているのは、ニッチでも類似品のない新市場の開拓を目指すオリジナル戦略であり、それがインバウンド対策でも功を奏しているのです。
一方、「ゴホン!といえば」のコピーで知られる、のど薬大手の龍角散もインバンド需要を巧みに取り込み、業績を伸ばしています。
中国市場向けのPR戦略でも先行し、他メーカーと共同広告を中国現地の無料情報誌に広告を打ち出すなど、積極的な販促展開をしてきました。店舗対策では、中国人ら訪日外国人顧客が多く来店する約300店舗に人や資材を集中投下していったといいます。
そのほか、龍角散は、「せきを止める」だけではなく「のどを守る」薬という新たなコンセプトを打ち出し、春先は花粉やほこり、冬場は乾燥、夏は祭りの際の「声がれ」対策というように幅広いニーズに訴求したことが良かったようです。
スティック状の顆粒(かりゅう)タイプの「龍角散ダイレクト」等の新商品のパッケージも親しみやすく、ヒット要因となりました。同社が目指すのは「成長」よりも「進化」だといい、技術的に真似ができないオンリーワンののど薬としての存在感を今後も誇示していきたいとしています。
ところで、中国は需要が大きいのに、販売機会が限られるという、企業側も購買側も双方が歯がゆい思いをしているのが現状です。そんな現状を打破することを目的として、中国最大のEC企業であるアリババ集団が今年2月26日、大きなアクションに出ました。
中国で人気が高い日本製品の安定的調達と、これまでに需要を取り込めていない日本製品の拡販をするための組織として「Japan MD center」を設立することを発表したのでした。
アリババが運営するECサイト「天猫国際」では、これまでトラブルを避けるため、自主規制で医薬品を取り扱いませんでした。それを昨年12月下旬に、「安全性が担保できる」(アリババジャパン広報)香港と日本製に限り、一部医薬品の販売が可能となるように規約改正を行ったのです。
「Japan MD center」はこの規約改正を受けたものであり、今後、越境EC拡大の起爆剤となる可能性があると見られています。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
訪日中国人観光客インバウンドデータ集
- データでわかる訪日中国人
- 訪日中国人観光客の特徴
- 訪日中国人観光客が中国国内でよく見る人気のWEBサイト一覧・解説
- 訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(1):WeChat(微信)
- 訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(2):テンセントQQ
- 訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(3):Weibo(微博)
- 訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(4):人人網(レンレンワン)
- 訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(番外編1):ネット規制のアプリへの影響&ニュースアプリ篇
- 訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(番外編2):ネットラジオ篇
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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