訪日外国人観光客の誘致には、必要不可欠だと言われているキャッシュレスで買い物できる環境づくり。国外では、日本よりもクレジットカードなどを使った電子決済が普及しており、そもそもお金を持ち歩く習慣を持っていない場合も少なくありません。このため、決済環境の整備は、消費額にも影響すると見られています。
電子決済の利用率は日本国内でも高まっていますが、その一方で店舗側の対応の遅れ、クレジットカードの不正使用などの問題が発生しており、2020年を目処に対応が進められています。今回は、インバウンドビジネスとも関わりが深いクレジットカードを取り巻く環境の変化についてご紹介します。
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磁気カード、ICカードの違いとは
クレジットカードには大きく分けて「磁気カード」「ICカード」の2種類があり、仕組みが異なります。それぞれの特徴は、以下のとおりです。
磁気カード:ビデオテープ、カセットテープと同じ仕組み
磁気カードとは、表面に磁性体(小さな磁石の集合)を塗った部分を持つカードのこと。この部分が帯状になっているものは「磁気ストライプカード」、鉄道の定期券のように全面に塗られているものは「全面磁気カード」と呼ばれます。
仕組みとしてはカセットテープやビデオテープと同じ。電磁石などに当てることで、情報を読み取ったり、記録したりすることができます。
ICカード:「小さなコンピューター」と呼ばれ、記録できる情報量が多い
ICカードとは、表面にIC(集積回路)チップを埋め込んだカードで、磁気カードの何百倍もの情報量を記録することができるメリットがあります。また、パソコンやスマホのようにCPUを持ち、プログラムによって制御することが可能。「小さなコンピューター」と呼ばれることもあります。
クレジットカード、ETCカードのような接触型(カードリーダーライターに接触させて、データの送受信を行う)、「Suica」「Edy」のような非接触型(カードをかさざすだけでデータのやり取りができる)の2種類があります。
ICカードと磁気カードの違い:磁気カードには不正使用される可能性
クレジットカードを不正使用する方法には、以下のようなものが挙げられます。
- フィッシング:金融機関等のメール、Webサイトを装い、カード番号、暗証番号などを入力させる
- スパイウェア:パソコンに不正なソフトをインストールさせ、個人情報を得る
- サーバーハッキング:プログラムの脆弱性をつき、Webサーバーのデータベースから個人情報を取る
- スリ、強盗、車上荒し:クレジットカードを盗む
これらの手口はどのようなクレジットカードを使っても発生する可能性がありますが、磁気カードにだけ使える「スキミング」という方法もあります。「スキマー」という磁気情報を読み取る機器を使い、クレジットカードカードの情報を盗み取るというものです。このようにしてカード情報を抜き取られると、クレジットカードが偽造されるおそれがあります。
クレジットカードの不正使用は電子決済の広まりによって問題化しており、世界的に磁気カードから、よりセキュリティ対策のしやすいICカードへの移行が進められています。
日本でも被害額が平成24年(2012年)から26年(2014年)までの2年間で1.7倍に増加し、年々深刻化しています。日本も例に漏れず、ICカードの導入が進められています。
日本ではICカードが普及するも、店舗側の対応に遅れ
日本は比較的早い時期に磁気カードが普及した国で、諸外国に比べてICカードの導入が遅れていると言われていますが、不正使用額の増加などを受け、対策が進められています。
2016年時点でICカードの普及率は70%に到達しているのですが、その一方で決済端末の対応が遅れをとっています。カードはあっても、支払いができない状態になっているというわけです。
官公庁は東京オリンピックが行われる2020年を目処に、ICカード普及率、決済端末の普及率を100%にすることを目標ににしており、さまざまな対応を進めています。
決済端末を持っていない事業者は訪日外国人観光客のみならず、日本人からの需要を獲得するためにも早めの導入を検討したほうがよいかもしれません。
まとめ:ICカードに対応し、安全に電子決済できる環境づくりを
電子決済の広まりとともに、クレジットカードを不正使用する犯罪が多発するようになり、事態が年々深刻化しています。従来使われていた磁気カードに対しては「スキミング」という手法で個人情報を抜き取れることから、世界的にICカードへの移行が進められています。
日本も例外ではなく、2016年時点でICカードの普及率は70%に到達。その一方で、店舗側の対応が遅れています。官公庁は東京オリンピックが開催される2020年までに対応しようとしており、ビジネスチャンスを逃さないためにも早めに対応したほうがよいかもしれません。
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