世界の観光産業収益の15.6%を生み出す「ウェルネスツーリズム」…日本インバウンド市場では「日本食・温泉」がキーワードか

世界の観光産業収益の15.6%を生み出す「ウェルネスツーリズム」…日本インバウンド市場では「日本食・温泉」がキーワードか

2020年までに4,000万人の訪日外国人観光客誘致を目指す日本のインバウンド業界。国内ではアニメや漫画など日本のソフトパワーコンテンツを活かした「アニメツーリズム」、スポーツと観光を組み合わせた「スポーツツーリズム」など 日本が持つインバウンド向け観光資源を活用したツーリズムが話題になっています。

100万人の訪日客が「聖地巡礼」を実施…「クール・ジャパン」はインバウンド地方誘致・地方創生の切り札となるか?全国の地方自治体が取り組む漫画

より多くの訪日外国人観光客を誘致するために、地域の観光資源を発掘し海外に発信している日本国内の自治体が数多く存在 しています。観光資源といってもさまざまですが、最近では漫画やアニメの舞台となった地域の自治体が、そのマンガやアニメのファンの「聖地巡礼」を促すなど、日本が世界に誇ることができるソフトパワーである「漫画・アニメ」を活用したインバウンド地方誘致・地方活性化が注目を集めています。 埼玉県秩父郡横瀬町でも同様の取り組みを行っています。訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもらうこと...

東京五輪に向け、盛り上がりを見せるスポーツツーリズム:観光資源を組み合わせ、独自性のある地域づくり

2010年頃から、観光庁による取り組みがスタートし、近年、注目を集めているスポーツツーリズム。2020年の東京オリンピック、パラリンピックに向け、さらに盛り上がっていくことが予想されます。今回は、日本におけるスポーツツーリズムの動向、対象となる訪日外国人観光客などをご紹介します。 スポーツツーリズムとは古代オリンピックから存在する歴史の長い旅行形態スポーツ観戦もスポーツツーリズムの一部スポーツツーリズムは、その名の通り、スポーツを観光資源とした旅行のこと。ギ...

このような中、日本においては未だ注目を集めていませんが、海外のインバウンド観光市場において重要視されているツーリズムが存在しています。 その1つが 「ウェルネス・ツーリズム」 と呼ばれるものです。

訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもらうこと」。効果的なインバウンドプロモーションについてより詳しい資料のダウンロードはこちら

ウェルネス・ツーリズムとは?スパやヘルスケアなど健康増進を目的とした旅行形態

ウェルネスツーリズムは、別名ヘルスツーリズムともいわれ、健康や精神的幸福を増進させるための身体的・精神的なアクティビティを組み合わせた旅行形態 を意味します。スパやヨガなどのアクティビティを目的とした旅行がウェルネス・ツーリズム(ヘルスツーリズム)にあたります。

「ウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)」というとなかなか聞きなれない言葉かもしれませんが、海外のインバウンド観光市場では大きな注目を集めています。

2020年には8,000億ドル規模の市場に:各国で伸び続けるウェルネス・ツーリズム

The Global Wellness Instituteが昨年発表したレポートによると、2015年、6億9,000万人の観光客がスパやヨガなどを目的に海外旅行をしており、5,630億ドルの観光収益が生み出されました。 特筆すべき点は、この額が 2015年の観光産業によって得られた収益額のうち、15.6%にあたる という点です。

同レポートでは、スパやヨガなど健康増進を目的に海外旅行をする人の数はこれからも増えていくと予想しており、2020年にはウェルネス・ツーリズム(ヘルスツーリズム)は、8,000億ドル規模の市場になると予測しています。

これらのデータから考察すると、ウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)は、世界の観光市場において大きなポテンシャルを持っていることが把握できます。

実際に海外ではインバウンド観光にウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)がどのように組み込まれているのでしょうか。

中国人が海外旅行で使ったお金は総額26兆円!13億5,000万人が海外に旅行した2016年の世界の観光市場 知っておくべき数値をまとめました

2020年の4,000万人の訪日外国人誘致を目指し、インバウンド観光市場が盛り上がっています。「外国人旅行客を日本に呼び込む」という視点から、日本国内の企業・自治体はさまざまなインバウンド誘致策に取り組んでいますが、そもそも世界規模での海外旅行市場は、どのようになっているのでしょうか?UNWTO(国連世界観光機関)では、毎年、WorldTourismBarometerというアウトバウンド・ツーリズム(世界の海外旅行)に関するレポートを発行しています。今回は、2016年の世界での海外...

爆買い何故減速した?これからターゲットとすべきは欧州圏訪日客?

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世界ではインバウンド観光にウェルネスツーリズムがどう組み込まれている?

[ウェルネスツーリズム例①]インド・アナンダ:2,500年の歴史を持つ「ヨガ」を巧みに活用して外国人観光客を誘致

インドのアナンダという街では、アーユルヴェーダというインド古来の伝統医学・治療法を体験できる旅行プランが観光客に人気 となっています。

「Ananda in the Himalayas」という世界的に有名なスパリゾートでは、経験豊富なヨガ講師が、観光客それぞれの目的に沿ったヨガのプログラムを組み立ててくれます。同地には毎年多くの外国人観光客が訪れており、2,500年前にインドで生まれた「ヨガ」を巧みに観光に組み込み、外国人観光客誘致に成功しています。

[ウェルネスツーリズム例②]タイ・チバソム:独自のヘルスケアが人気 データ蓄積でリピーターも獲得

タイの首都バンコク郊外にある海沿いの都市ホアヒンにあるチバソムでも、ウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)を通じた外国人観光客誘致に成功しています。

チバソムのヘルス・リゾートでは、東洋の自然療法、西洋の現代医学を掛け合わせたヘルスケアによって、参加者の心、体、精神の調和を目指しています。 ヨガ呼吸法やストレッチ、健康な食事などを通じたプログラムは、デトックス、体重管理、ストレス軽減にも効くとして、このヘルス・リゾートを目当てに海外から多くの外国人観光客がチバソムを訪れています。

また、チバソムでの活動記録は、データとして保存してもらえるため、次回訪れたときに過去の自分の健康状態と比較することができます。 このような手法で同地は リピーターの獲得にも成功 しています。

このように、スパやその国独自のヘルスケア法をうまく活用して海外では、多くの外国人観光客誘致に成功しています。 しかし、日本国内のインバウンド市場ではウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)は、まだまだ注目度が低く認知されていない状態にありそうです。

日本では注目度の薄いウェルネスツーリズム:日本のスパ・ヘルスケア施設は海外メディアからあまり評価されていない現状

スパ&ウェルネスリゾート業界最大級のメディアSpafinderが昨年発表した優れたスパ・健康施設を表彰するアワード「The 2016 Wellness Travel Awards」によると、他国では複数の施設がランクインしているにもかかわらず、日本からは国別の受賞施設として三重・伊勢志摩の温泉施設であるアマネムがランクインしているのみ。

国内ではやまなしウェルネス・ツーリズム一般社団法人 信州ウエルネスツーリズム研究所などウェルネス・ツーリズムを促進する組織等も存在していますが、未だに日本のインバウンド業界内で大きな注目を集めているとは言えず、海外からも認知されていない状況 にあることが把握できます。

先ほど紹介したデータから考えると、世界各国で注目を集めているウェルネス・ツーリズムを日本国内でもきちんと体系化し、海外に発信していくことは、2020年の4,000万人の訪日外国人観光客誘致を目指すうえで必須 といえるでしょう。

加えて、日本にはインバウンド誘致策としてウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)を展開するにあたって、必要な土壌が整っていると考えられます。

日本にインバウンドを誘致するうえでウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)はかなり有効かも

[理由①]長寿の国・日本:世界遺産ともなったヘルシーな和食、健康レベルの高さはインバウンド誘致にも有効?!

厚生労働省の平成28年簡易生命表によると、日本人の平均寿命は男性が80.98歳、女性が87.14歳 です。国民の平均寿命を 他国と比較すると、日本は男女ともに世界第2位 となっています。

日本では、ヘルシーな食事や入浴などのライフスタイル、医療制度の充実、国民の健康に対する関心の高さなどから、この平均寿命の長さが実現しています。

「健康レベルの高さ」という点をうまく海外に発信していくことで、ウェルネス・ヘルスケアに関心の高い外国人観光客を呼び込むことができるかもしれません。

バンコクは日本食の宝庫?!日本食に関心が高いタイ人に響くおもてなしとは何か

日本へのビザ緩和が行われて訪日タイ人観光客が年間約90万人(平成28年)を越え、タイからの観光客があちこちで写真を撮ったり買い物をしている様子を見かける頻度が高くなりました。公共交通機関や宿泊施設の案内にも英語・中国語・韓国語についでタイ語表記がある施設も増えてきています。株式会社日本政策投資銀行公益財団法人日本交通公社の調査によると、タイ人が「日本旅行をしたいと考えたきっかけ」は「日本食に関心があるから」が60%と、日本食への興味関心が旅行の1番の動機としてあげられています。

訪日客の70%が楽しみにしている「日本食」 最も満足度が高いのは「寿司」次は意外にも「肉料理」

日本を訪れる訪日外国人観光客は、そもそも何を目的に日本を訪れているのでしょうか?日本は海外には珍しい明確な四季、季節とともに移り変わる自然風景、大都市部でのショッピング、豊かな伝統文化などがありますが、実はその中で最も注目を集めているのは日本の料理なんです。インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳しいインバウンドデータ知るには?訪日ラボがまとめた「インバウンドデータレポート」を詳しく見てみる「調査・リサーチ」の資料を無料でダウンロードする「インバウンドデータ...

[理由②]訪日外国人の4人に1人が「温泉に入浴すること」は楽しみにしている:ヘルスケア施設の代わりとして温泉は活用可能

観光庁が発表している「訪日外国人の消費動向 平成29年4-6月期報告書」によると、訪日外国人観光客が日本を訪れる前に期待していることとして「温泉入浴」は、第5位にランクインしています。

温泉の入浴を楽しみにしている外国人観光客は、24.9%(※複数回答可)を記録しており、訪日外国人観光客の約4人に1人が温泉入浴を訪日旅行時に楽しみにしている ことになります。

また、一般財団法人日本経済研究所が発表した「ご当地インバウンドにチャンスあり ~再発見! Gaikokujin に学ぶ魅惑の日本~」では、「外国人旅行者が日本で体験してみたい19のこと」として「温泉」がランクイン しており、訪日外国人観光客の間でも温泉に対する関心が高いことが把握できます。

このように、「日本食」というユネスコ無形文化遺産にも登録された食文化に支えられ、長寿の国として知られている日本。それに加え、日本独特の文化である温泉は、海外の観光地でいうスパの変わりともなるため、健康・ヘルスなどを軸とした観光形態であるウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)を日本で整備していくことで、日本国内に新たな層の外国人観光客を呼ぶこむことができるかもしれません。

観光庁 温泉などの入浴施設にタトゥー・入れ墨を入れた訪日客への対応改善を促進も、日本人一般客は半数が入れ墨NO!

先日の訪日ラボの記事「タトゥー受け入れ率は0.86%訪日外国人観光客の温泉への期待とは裏腹に温泉の刺青お断り率はまだまだ高い」でもお伝えしたとおり、現状では、日本の温泉施設の刺青を入れている方への受け入れ状況はまだまだ低いです。訪日外国人観光客のなかで、訪日アメリカ人観光客を例にとれば、10人に3人がタトゥーを入れている状況であるなか、日本政府や観光業界はタトゥーに対してどのような対策をとっているのでしょうか?<関連記事>[blogcardurl=https://honichi...

タトゥー受け入れ率は0.86% 訪日外国人観光客の温泉への期待とは裏腹に温泉の刺青お断り率はまだまだ高い

訪日前の期待と今回したこと:観光庁訪日ラボでもお伝えしている通り、2016年は2500万人突破のペースで訪日外国人観光客が増加しています。2020年に東京オリンピックも控えていることもあり、今後も増加の傾向は続くものと思われます。その訪日外国人観光客の訪日目的として上位にランクインするのが「温泉入浴」。観光庁の「訪日外国人消費動向調査」によれば、訪日外国人観光客のおよそ3割が、訪日前に温泉入浴に期待しており、また4割弱が実際に温泉入浴を楽しんでいる模様。そこで課題となるのが...

まとめ:世界で注目を集めるウェルネス・ツーリズム:インバウンド4,000万人誘致の鍵となりうる?

今回は、海外で注目度も高く莫大な市場となっているウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)に関する大まかな概要と、日本のインバウンド市場における可能性についてご紹介しました。

ウェルネスツーリズムは、別名ヘルスツーリズムともいわれ、健康や精神的幸福を増進させるための身体的・精神的なアクティビティを組み合わせた旅行形態 を指します。ヨガやスパなどのヘルスケアを目的とした旅行がそれにあたります。

2020年までに世界で8,000億ドル規模になるのではないかと予測されているウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)は、日本国内のインバウンド誘致にも活用が可能です。

理由としては、①海外でもヘルシーなイメージが強い和食に支えられた国民の健康レベルの高さ②スパ・ヘルスケア施設として代用が可能な温泉というインバウンド向け観光資源を有していること この2つが挙げられます。

日本のインバウンド市場では、訪日外国人観光客誘致を目的にさまざまな取り組みが行われていますが、2020年の4,000万人の訪日外国人観光客誘致を目指すうえでウェルネスツーリズム(ヘルスツーリズム)にも、大きな可能性がありそうです。

お寺に宿泊できる「宿坊」コト消費進むインバウンドで人気。地方創生・地方誘致との相性良く国内でも注目

史上最高となる2,400万人の訪日外国人観光客が訪れた2016年の日本のインバウンド市場。2017年も引き続き訪日外国人観光客数は順調に推移しており、各企業・自治体はインバウンド誘致策を進めています。近年の日本のインバウンド業界では、日本国内で使われなくなった、もしくは稼働率が低い建物をインバウンド向けに改築・活用しようという動きが出てきています。以前、訪日ラボでも扱った「古民家の活用」が、その好例でしょう。[blogcardurl=https://honichi.com...

「古民家の再活用」を通じたインバウンド誘致が進む:「モノからコト」へのニーズ移行が背景に

訪日外国人観光客の増加を受け、政府は東京オリンピックが開催される2020年までに、現在の約2倍である4,000万人、2030年までには6,000万人の訪日外国人観光客を誘致することを目標としています。都道府県別宿泊施設タイプ別客室稼働率:観光庁より引用そのような状況にある日本ですが、インバウンド誘致において未だに多くの課題を抱えています。その課題の中でよく取り上げられるのが、訪日外国人観光客向けの「宿泊施設不足」。観光庁のデータによると、大都市圏の客室稼働率(*)は東京...

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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