実は穴場インバウンド市場「訪日スイス人」:中国やイギリスよりも人口でみた訪日率高いスイスで起きている「プチ訪日ブーム」その理由とは?

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インバウンド集客・誘致を行うにあたって、どの国籍の訪日外国人観光客をターゲットにしていくのか を決めることは、重要なことです。中国や韓国、台湾など、訪日旅行をする人が多く、旅行支出額も多い国が頻繁にターゲットになっていますが、少し視点を変えて他の国出身の外国人観光客を新たなターゲットにしてみても良いかもしれません。

今回は、日本からの旅行者も比較的多く世界有数の観光立国として知られる スイス人観光客のインバウンド市場 の特徴をJNTO(日本政府観光局)資料をもとにご紹介します。

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スイス人観光客のインバウンド市場はここ数年どうなっているのか?

訪日スイス人観光客数 年別:JNTO(日本政府観光局)の資料をもとに作成

訪日スイス人観光客数 年別:JNTO(日本政府観光局)の資料をもとに作成

上記のグラフは、JNTO(日本政府観光局)のデータを基に訪日スイス人観光客数を年代別に表したものです。このグラフからどのようなことが言えるのでしょうか。

訪日スイス人は増え続けている:5年前の約3倍に

訪日スイス人観光客数は、年々増え続けています。2011年が16,410人だったものが2016年には44,232人となっており、ここ5年間で3倍にまで増えています。

前年度伸び率に関しては2011年から2012年が+48.3%と最大になっています。2015年から2016年は伸び率は+9.5%にとどまりましたが、毎年おおよそ二桁台伸び率を記録し続けています。

人口比でいえば中国・英国を上回るスイス人インバウンド市場

2016年の訪日スイス人観光客は、44,232人でした。この人数は、2016年の訪日外国人観光客の総数の0.002%を占めます。

この数値は一見少なく見えますが、人口比で見た場合、意外な事実が確認できます。この数(44,232人)をスイスの人口である837.2万人で割ると、スイスにおいては人口の0.53% が2016年に日本を訪れた計算になります。一方で、2016年の日本のインバウンド市場でもっとも訪日外国人観光客数が多かった国籍である中国からは、6,373,564人の観光客が日本を訪れました。この数を同じように 中国の人口で割ると0.47% となります。

また、ヨーロッパで最多の訪日外国人観光客を誇る 訪日英国人観光客の場合は、0.45% となっており、いずれにしろ人口比で見た場合、スイス人の方が日本を旅行先に選ぶ人の割合が大きいことが把握できます。

このように訪日スイス人観光客は年々増えており、他国と比較すると日本は人気の旅行先となっているようです。 この背景には、一体何があるのでしょうか?

ちょっとした「訪日ブーム」が起きているスイス国内?現地旅行会社でも予約が増えているとの声:背景にはいったい何が?

スイス公共放送協会のオンラインサービスとしてスイスに関する情報を発信するメディアSwissinfo.chによると、

欧州旅行手配大手クオニイ・グローバル・トラベルサービス他のサイトへ(クオニイGTS、スイス・チューリヒ)の広報責任者マルセル・シュラッターさんは、「グローバルランキングでトップに名を連ねるまでの人気はまだない。だが、アジア地域に限定すれば、ここ数年で日本は人気旅先ランキング・アジア編で下位から4、5位に順位を上げた」と話す。同社から日本へ送り出した旅行者の数は過去2年間で倍増した。ーSWI:日本ブーム」到来 旅行先としての日本の魅力とはより引用

と報じています。訪日旅行は未だに大人気とは言えないものの、JNTO(日本政府観光局)のデータにも表れているように、スイス国内でも訪日旅行がじわじわと人気のアクティビティとなりつつあることが把握できます。

同メディアによると、スイスで訪日旅行が人気になっている理由は、航空券の価格の値下がり、フラン高・円安に加え以下の理由があるとのこと。

①欧州で相次ぐテロで「治安の良さ」は旅行先を決める際に重要なポイントに

以前の記事でもご紹介したとおり、ヨーロッパの人気観光地ではテロが多発しているという理由から、日本は安全な旅行先として位置づけられています。

2015年11月13日にパリで発生した同時多発テロ事件や2016年3月22日にベルギーの首都・ブリュッセル発生した連続爆破テロ事件、2017年5月の英マンチェスターのコンサート会場でのテロ事件など、近年 ヨーロッパではテロが多発していることから外国人観光客の間では、安全面を懸念する声が多くなってきています。

スイス国内においてもそのような風潮があり、安全で治安が良いとされる日本はスイス人にとって魅力的な渡航先になりつつあるようです。

②インバウンド受け入れ体制の改善もスイス人の間で好評?!

近年、日本国内では訪日外国人観光客の急激な増加によりインバウンド対策が進められています。

訪日外国人観光客に快適に日本国内を周遊してもらうために翻訳アプリや多言語表示など各種テクノロジーが導入されており、こういった取り組みによって、日本人と言語・文化が違うスイス人でも気軽に訪日旅行が楽しめるようになってきているとのこと。

以前の記事でもご紹介した通り、ここ数年でインバウンド受け入れ体制は改善されてきており、観光庁のアンケート調査によると 2016年においては約30%の訪日外国人観光客は、「訪日旅行中に困ったことはなかった」と回答 しました。

旅行する際に言語の壁が低くなりスイス人にとっても日本は旅行しやすい国に変貌しつつあるようです。

「訪日客が旅行中に困ったこと」ここ3年でどう変わった?観光庁のアンケート調査をまとめてわかった意外な事実

クールジャパン戦略の甲斐もあってか、

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③日本文化への関心の高まりも要因の一つ?

また、アニメや漫画など日本のソフトコンテンツは世界中に人気になっており、日本のソフトコンテンツに興味があるヨーロッパの若者の間では訪日旅行に行く人が増えています。

加えて、スイス最大の都市であるチューリッヒでも日本食レストランが次々とオープンしており、人々の健康志向の高まりから日本食も人気の食べ物になっています。

こういった理由もスイス国内で「訪日ブーム」が起こっている要因であると考えることができます。

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まとめ:スイス人は穴場インバウンド市場?!

今回は、JNTOのデータを基に訪日スイス人のインバウンド観光市場に関してご紹介してきました。

訪日スイス人観光客は年々増え続けており、2011年が16,410人だったものが 2016年には44,232人となっており、ここ5年間で3倍にまで増えています。

44,232人という数字は一見少なく見えますが、この数をスイスの人口である837.2万人で割ると、スイスにおいては人口の0.53%が2016年に日本を訪れた 計算になります。この数字は2016年の訪日外国人観光客の中で最多だった訪日中国人観光客(0.47%)、欧州で最多の訪日英国人観光客(0.45%)よりも多い数字です。

訪日旅行が人気となっている背景には ①治安の良さ②インバウンド受け入れ体制の改善③日本文化への高まり などが要因として挙げられます。ヨーロッパ出身の訪日外国人観光客は、旅行支出額が高い傾向にあるので、スイス人は日本のインバウンド市場にとって穴場ターゲットになっていくかもしれません。

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【セミナーレポート】「桜シーズン」に向けたインバウンド施策のポイント


2023年は2,500万人の外国人旅行者が訪れた日本のインバウンド市場。コロナ前の2019年に迫る勢いの回復をみせており、2024年の訪日外国人数は3,000万人を上回るとの予想もあります。

日本を訪れる外国人旅行者の間で、特に人気が高いアクティビティが「桜の鑑賞」です。桜の開花時期に合わせて日本を訪れる外国人も多く、日本の重要な観光資源の一つとなっています。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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