1997年(平成9年)に施行された「外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律(外客容易化法)」。これは、公共交通事業者に対して、駅名などを英語、中国語、韓国語など多言語表記にすることを努力義務として課すものです。この「外客容易化法」の改正案が提出されます。
日本政府はゴールデンルート以外の地方部への送客が今後の日本の観光のありかた、訪日外国人の受け入れに関して必要だとしていますが、地方部では外国語による対応、そして通信環境の整備が中々進まない ものとして挙げらます。
現在までは、冒頭の「外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律(外客容易化法)」では、公共交通事業者に対して努力義務とされていたのは、駅名などを英語、中国語、韓国語などで表示する多言語表記に関するものだけでした。こうした状況に対して、日本政府は、鉄道などの公共交通事業者に対して、地方部における公共無線LAN(WiFi)の整備、ICカードなどの決済環境の整備、トイレの洋式化、周遊バスの整備 などを努力義務化する方針の模様です。これについて詳しくみていきましょう。
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訪日外国人が訪日前に利用するつもりだった通信手段/実際に利用した通信手段のトップは無料公衆無線LAN
平成26年度の観光庁の調査によると訪日外国人が訪日前に利用するつもりだった通信手段のトップとして挙げられているのは 無料公衆無線LAN(70.5%)となっており、実際に利用したとする割合も62.6% となっています。
次いで多いのは SIMカードの購入(28.6%)ですが、実際ににSIMカードを購入して利用したという割合は低く僅かに13.2% となっています。これは実際に利用をしようと思っていたSIMカードの購入場所がわからなかったなどの理由があると考えられます。それに対して無料公衆無線LANは実際に利用した人も62.6%と高く、パスワードもいらず簡単に利用が開始出来るために人気が高かったということが言えるでしょう。
こうした背景もあり、政府では 公共交通事業者に対して地方部でもさらに公共無線LAN環境の整備に関して努力義務化する というわけです。これは訪日外国人に対して「地方部を旅してみたが、通信環境が整備されておらず不便」という印象を与えないためでもあります。
孫氏「訪日客向け無料Wi
2020年の訪日外国人観光客数4,000万人を目指して国内ではインバウンド誘致への取り組みが加速しています。訪日外国人観光客向けのネット環境の不整備 は、日本のインバウンド市場が長年直面している課題であり、無料Wi-Fiの増設やプリペイドSIMの販売拡充などさまざまな対策が講じられています。そのような状況の中、ソフトバンクグループ株式会社代表取締役会長兼社長である孫正義氏は、少し意外な発言で日本のインバウンド市場をにぎわせています。目次「訪日客向けの無料Wi-Fiはなくすべき」 孫氏が発言...
「訪日客が旅行中に困ったこと」ここ3年でどう変わった?観光庁のアンケート調査をまとめてわかった意外な事実
クールジャパン戦略の甲斐もあってか、
【Wi
孫氏の「訪日客向け無料Wi-Fiなくすべき」との発言が昨年インバウンド市場をにぎわせたように、近年訪日外国人観光客の間でネットの接続手段は多様化しています。Wi-Fiのみならず国際ローミングやSIMカードも通信接続手段として注目されており、インバウンド誘致に無料でSIMカードを配布する自治体まで出てきています。では、実際に日本のインバウンド市場において最大のターゲットとなっているアジア・オセアニア出身の観光客は海外旅行時にどのようにインターネットに接続しているのでしょうか。Amadeusの...
キャッシュレスで決済が出来る環境が訪日外国人向けに求められている
経済産業省が平成29年にまとめている資料によると、キャッシュレス決済の各国比較において、日本はキャッシュレス比率が僅か18% となっていますが、日本に最も多く訪れる訪日外国人である 中国では、平成29年時点でキャッシュレス比率が55%、また韓国でも54%といずれも50%を超えており、日本は諸外国に比べて キャッシュレス後進国 であることがわかります。
これに対し、日本政府は「明日の日本を支える観光ビジョン」において、2020年までに、外国人が訪れる主要な商業施設、宿泊施設及び観光スポットにおいて、「100%のクレジットカード決済対応」及び「100%の決済端末のIC対応」を実現することを目標としています。
明日の日本を支える観光ビジョンとは?わかりにくい政府や観光庁の取り組みの構造をまとめました
政府は観光先進国への新たな国づくりに向け、明日の日本を支える観光ビジョン構想会議を行い「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定しました。しかしその取り組みについてわかりづらくなっています。そこでこの記事では、政府の取り組みの全体像についてわかりやすく解説します。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談してみる目次観光立国に向けた政府の取り組み、団体などの相関図インバウンドに関わ...
中国においては紙幣の中に偽札が交じる可能性が高いこと、店舗などでは盗難の恐れが高いことなどから、QRコードの読み取りだけで決済が完了する WeChat Pay(ウィーチャットペイ) に代表されるキャッシュレス決済の仕組みが爆発的に普及しています。実際に日本でも多くの方が公共交通機関を利用するにあたって使用している交通系ICカード同様に、一度キャッシュレス決済を使い出すと、その便利さから現金には中々戻れないものです。こうしたキャッシュレス決済に慣れている訪日外国人が日本に来て観光を楽しむ際に、こうしたキャッシュレスの仕組みが広く普及していることは、今後の日本観光のあり方としては必要不可欠な対応であると言えます。
取引額153兆円の中国電子決済サービスとは:Alipay、WeChat Payの2大巨頭
中国では驚異的な速さで電子マネーが普及しています。その中でもAlipay(支付宝)とWeChat Pay(微信支付)という2つの電子決済サービスが市場争いを繰り広げています。ネット通販から始まった決済サービスが実店舗へも広がり、取引額はおよそ日本の30倍以上。今回は、現在中国で支払いのスタンダードとなりつつある電子決済サービスについてご紹介します。関連記事Alipay(アリペイ・支付宝)とはQR決済WeChat PayとはAlipayとWeChat Payのシェア(2019年)Alipay...
飲食店の8割ができていないインバウンド対策
訪日外客数の多さ、インバウンド消費規模の大きさから訪日中国人観光客は日本のインバウンド業界にとって最大のターゲットとなっています。2016年の訪日中国人観光客は、1人あたりあたり 283,842円 を支出しており、そのうち 42,307円 を飲食費に使っています。この金額はアジア圏出身の訪日外国人観光客のなかでもっとも高い額です。日本国内の飲食店にとって訪日中国人観光客は特に注視していくべき ターゲットといえるでしょう。飲食店が実施可能な訪日中国人観光客向けのインバウンド対策として考えられ...
日本の和式トイレは早急に洋式化が求められる
多くの外国人、訪日外国人にとって日本トイレに関してイメージするのは、「ウォシュレット」、「近づくと自動で扉が開閉する」、「用をたす時に音楽が流れる」、「暖かい便座」などというハイテクなトイレ です。しかし地方部の駅などに設置されているトイレは和式トイレであることが多く、訪日外国人にとっては「使い方がそもそもわからない」、「汚い」といったイメージで大きなギャップを生む原因となる可能性があります。
TOTOが2016年に発表している「訪日外国人の宿泊施設へのニーズ調査」によると、訪日外国人が旅行する前に宿泊施設に期待していたものとして、第一位の接客に次いで、トイレが56.5%で2位となっています。
観光庁 最大100万円支援の「宿泊施設のインバウンド対応支援事業」(第四弾)の公募を開始
観光庁は訪日外国人の受け入れ体制をソフト面からサポートするため、訪日外国人の日本訪問・滞在時の利便性向上を図ることを目的に、日本各地の宿泊事業者が実施するインバウンド対応事業を支援 します。観光庁では2020年に4000万人、2030年に6000万人の訪日外国人観光客の実現に向けて動いており、今回の対応支援事業も第4段の公募となります。目次今回の最大100万円支援「宿泊施設のインバウンド対応支援事業」とはどのようなものか補助金の交付までに必要なもの補助率、補助金の額とその後2016年度の状...
訪日客の1/4が困ってた!ウォシュレットのボタンアイコン統一でわかりやすさを追求:TOTOらトイレ操作パネルのピクトグラムを統一
昨今のインバウンド需要の拡大によって、あらゆるもののインバウンド対応が進んでいます。インバウンド対応といえば真っ先に考えられるのが多言語対応。しかしながら、多数の国の多数の言語を使う訪日外国人観光客向けに、快適な訪日旅行を提供するための言語対応としてはえ、英語への翻訳のみでは片手落ちです。そんな多言語対応について「言語に頼らない」インバウンド対応の例として、TOTOら日本トイレメーカーが行ったトイレ操作パネルのピクトグラム(絵記号)の統一化についてご紹介します。 目次TOTOら日本レストル...
周遊バスの整備は地方部の観光振興には不可欠
今回の外客容易化法の改正案では、合わせて 周遊バスの整備 についても努力義務化されていますが、これは 地方部の観光においては2次交通の充実が不可欠 であることから、うなずける内容であると言えます。2次交通とは主要駅、空港から実際の観光の目的までの交通手段のことを言いますが、地方部においてはこうした2次交通の整備が十分でなく、そもそも2次交通手段が存在しない、2次交通手段は存在するが運行本数が極めて少ないなどの問題点が指摘されています。
地方創生の成功に絶対に必要なもの それは「二次交通」の充実:そもそもなぜインバウンドの地方誘致で二次交通が重要なのか?
2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催され、これを機に多くの訪日外国人が日本を訪れることが期待されており、政府も訪日外国人旅行者4000万人を目標としているのはご存知の通りです。また、将来的に現在のゴールデンルート中心の観光から、地方部へも多くの訪日外国人を呼び込んで地方創生を行うことが必要 だと考えられており、これについては国土交通省も様々な形で「魅力ある観光地域づくり」を進めています。こうした地方部へも訪日外国人に回遊してもらうために必要だと考えられているのが 二次交通の充...
この2次交通の充実に関しては、訪日外国人だけの対策として実施することも重要ですが、それが難しい場合は周遊バスなどで地元住民にとっての利便性も高いものを整備するという例が多いようです。
成田でのトランジット時も観光が楽しめる!観光庁が提供するインバウンド向け成田周辺観光ルート8選[前編]
2017年3月の全国籍の訪日外客数は220.6万人(前年同月比9.8%増)となり、昨年3月の201万人を19万人以上上回って過去最高を記録しました。これからも訪日外国人観光客数は増加していくことが予測され、各自自体・企業はインバウンドに関連したビジネスやサービスの導入を進めています。訪日外国人観光客に限らず、国外に旅行をする際、数時間にわたる中途半端なトランジット(乗り継ぎ)の時間のつぶし方は、誰もが頭を悩ませるところ。日本では、観光庁が主体となり、主要空港として知られる成田国際空港周辺を...
今回の外客容易化法改正案の実施の政府予算は96億円
今回の改正案の実施のために、政府は平成30年度の予算案では 整備費用として96億円 を計上しています。この予算の出所に関しては日本においても導入が検討されていた出国税が国際観光旅客税という名称で使用されるようで、改正案の中には国際観光旅客税の使途として、(1)快適に旅行できる環境の整備(2)日本の魅力に関する情報発信(3)地域滞在の満足度向上の3分野とする昨年12月の政府決定が明文化されることがわかっています。今後2020年に訪日外国人4,000万人という目標を達成するために、政府は様々な規制緩和を通じて訪日外国人の訪日旅行の快適性向上に務めていく方針です。
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<参考>
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