平昌五輪で見えた課題 日本も笑っている場合ではない?…東京五輪でも懸念される交通・多言語コミュニケーション・分煙の問題

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※新型コロナウイルスのパンデミックを受け、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年程度の延期が決定しました。詳細な日程、選考基準などは、公式情報が発表され次第、順次更新します。

今年韓国で開催された平昌オリンピックには、日本からも数多く応援、観戦に出かけた方がいました。しかし万事が順調だったわけではなく、オリンピック閉幕後に様々な課題が浮き彫りとなりました。日本は2年後となる2020年に東京オリンピックを迎えますが、今回平昌で見えた課題から何が学べるでしょうか?

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平昌オリンピック・パラリンピックで見えた課題

平昌オリパラで見えた課題①:貧弱な交通・輸送網

平昌ではスキージャンプなど深夜帯に競技が行われるケースがあり、これらの競技終了後に競技場からホテルに向かうバスが1時間来ず、屋根のない場所で氷点下15℃の中、1時間以上待たされる といった事象が発生しました。交通整理を行うボランティアスタッフ、バスの運転手も韓国語でしか対応が出来ないケースがありました。また、バスの円滑な運行の為に5輪専用レーンが敷かれましたが、これを守らない車も多く、開会式会場へと向かう1本道は酷い渋滞となりました。

平昌オリパラで見えた課題②:多言語対応が不十分

平昌では ボランティアスタッフの多くは韓国語しか話せない ケースが多く、他の国からやってきたボランティアと連携する上で障害となったほか、上記のような交通網などのトラブル発生時に問題となるケースがあったようです。今回の平昌では中国からの団体の観戦客も多かったようですが、英語だけでなく中国語に対応が出来ないケースも発生していたとのこと。

平昌オリパラで見えた課題③:喫煙マナー、分煙への意識

基本的には国際オリンピック委員会IOC)は、「たばこのないオリンピック」を掲げ、選手村や競技場など関連施設を禁煙とする方針を取っています。韓国でもこの方針に基づき屋内禁煙、屋外に喫煙所を設けていました。しかし、こうした 喫煙場所以外での喫煙をする人が後を絶たず、ポイ捨ても行われていました

平昌オリンピックの課題は、東京オリンピックにもそのまま当てはまる

東京オリパラで懸念される課題その①:交通・輸送網が2020年大会に間に合わない可能性が高まる

東京都内の交通の要である首都高速道路は慢性的に渋滞する事で知られ、山手線、中央線、小田急線、埼京線など、乗車率が100%を超えない都内の電車のほうが少ないと言える状況の中で、2020年の東京オリンピックでは江東区の有明地区に競技会場が集中。中央区の晴海地区に選手村が整備されることから、交通量が大幅に増大する ことが予想されています。こうしたことから、東京都は BRT(バス高速輸送システム) を導入してこれに対処する予定でした。このBRTは車両に連結バス、燃料電池バスを使用。ルートとしては環状2号線を経由し、新橋、勝どき、晴海、豊洲を結ぶもので、2019年には運行を始める計画でした。

2017年春には事業者に選定された京成バスと東京都が官民共同で運行会社を設立する予定でしたが、小池都知事が2016年に築地市場の移転延期を決めたため、環状2号線の開通時期、ルートの見通しが立たなくなり、この運行会社の設立自体も延期 されることとなりました。環状2号線はその区間のうち、新橋から豊洲間の3.4kmは橋とトンネルの片側2車線で2020年に開通する予定でしたが、上記のように2016年に小池都知事が環状2号の経路上にある築地市場の移転延期を決定したため 環状2号の開通も先送り となりました。

現行の計画では、豊洲市場の移転後に迂回路を暫定開通させ、環状2号の地上区間の整備を進める計画ですが、小池都知事は豊洲市場の移転が最も遅れる場合、2019年の春になるとの見通し を示しています。第2次暫定開通は2020年3月末を予定していますが、前半の半年で旧築地市場の施設を撤去、残りの半年で地上の道理整備を完了とする計画で、地下のトンネル部分に関してはオリンピックには間に合わない ことが明らかになっています。環状2号が本格開通しないことでBRTが本格的に稼働出来ず、計画よりもオリンピック中の交通・輸送能力が大幅に低下することが懸念されています。

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東京オリパラで懸念される課題その②:東京都内においても多言語対応が十分進んでいるとは言えない

平昌でも多くのボランティアスタッフが自国語しかコミュニケーション出来なかった事が明らかになったように、東京オリンピックにおいてもボランティアが日本語以外の言語で案内が出来るかどうか、また会場周辺、宿泊施設周辺の飲食店、観光施設のスタッフが 日本語以外の言語で案内が出来るかどうかは大きな課題 です。平昌のように中国からの団体客はもちろん、韓国、インドネシア、タイなど、周辺国からも多くの観光客が訪れることが見込まれていますし、中国語や韓国語は出来ずとも最低限英語でのコミュニケーションが取れないと、せっかくオリンピックを観戦に訪れた観光客に満足してもらうことは難しいでしょう。

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クールジャパン戦略の甲斐もあってか、

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東京オリパラで懸念される課題その③:進まない都内の分煙対策

政府は3月9日に、たばこの受動喫煙対策をさらに厳しくする健康増進法改正案を閣議決定 しましたが、内容としては屋内完全禁煙が原則の国際オリンピック委員会IOC)の方針に逆行するような内容で、飲食店においても喫煙専用室を設ければ屋内でも喫煙が可能であったり、客席面積が100平方メートル以下で資本金5000万円以下の既存店は、こうした喫煙室を設けることが経営に影響を及ぼす恐れがあるとして、一定期間は店内での喫煙が可能とされました。また、都内においても歩きタバコを禁じたエリアが多数存在、罰金を課す場合があるにも関わらずタバコの吸い殻のポイ捨ては完全には無くなっておらず、多様なゲストが訪れる東京オリンピック期間中は、タバコに関して無法地帯になってしまう恐れすらあります。

飲食店「全面禁煙ちょっと待った!」訪日客「あまり気にしてない…」IOC&WHO「たばこの無いオリンピックを」東京五輪に向けて進む禁煙法案はど

先日2017年1月12日、受動喫煙対策強化改正法案(禁煙強化案)に対して反対集会が開かれました。参加者は外食産業やホテル経営者ら500人で、受動喫煙対策強化改正法案(禁煙強化案)に盛り込まれた建物内の一律禁煙、違反のさいの罰金といった規制に対し、強く反発を見せています。 目次受動喫煙対策強化改正法案(禁煙強化案)とは?1月20日の国会で受動喫煙対策強化改正法案(禁煙強化案)提出へ受動喫煙対策強化改正法案(禁煙強化案)の提出の発表を受け、外食産業などが反対集会を開催訪日外国人観光客へのアンケ...

これでは「たばこの“ある”オリンピック」…原則屋内禁煙のはずの健康増進法改正案が「骨抜き」状態で閣議決定:日本の受動喫煙対策は進むのか?

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平昌の例を見て笑っている場合ではない

今回平昌オリンピックでは競技終了後にバスが来ない、宿泊施設の施設面での不備、ボランティアスタッフの言語対応の不備などに関して、それ見たことかと「韓国だから。。。」といった批判の声も聞かれました。しかし2年後に迫った東京オリンピックに関して、日本だから最後には大丈夫と考えるのは非常に危険です。今まで見てきたように、韓国の平昌オリンピックを通じて見えた課題は、東京オリンピックにもそのまま当てはまるのです。

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<参考>

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2023年は2,500万人の外国人旅行者が訪れた日本のインバウンド市場。コロナ前の2019年に迫る勢いの回復をみせており、2024年の訪日外国人数は3,000万人を上回るとの予想もあります。

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そこで訪日ラボでは、「『桜シーズン』に向けたインバウンド施策のポイント」と題したセミナーを開催しました。
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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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