インバウンドで巻き起こる「カプセルホテルブーム」その理由は?:日本生まれの”簡易宿所”が国内・海外で流行する背景には旅行者のニーズの簡素化が

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観光庁によると、昨年度(平成29年)の外国人延べ宿泊者数は7,800万人泊(前年比+12%)となりました。これは日本中の宿泊者数全体の15.7%にあたり、調査開始以来最高の値となりました。オリンピックに向けてさらに訪日外国人の宿泊数は増えると予想されます。

これをうけ日本国内の簡易宿泊施設数が右肩上がりで増え続けています。簡易宿所の中でも特に「カプセルホテルは日本で生まれた特徴的な宿泊スタイルで、外国人にも人気の宿泊施設のようです。

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少子化でホテルや施設の廃業が増える中、簡易宿泊施設だけは増え続けている

国は宿泊施設を6種に分類しています。旅館/リゾートホテルビジネスホテル/シティホテル簡易宿所/会社・団体の宿泊所です。カプセルホテル簡易宿所にあたります。

厚生労働省「生活衛生関係営業施設数調べ」によると、平成17年~平成26年まで簡易宿泊所の数は右肩上がりで増えています。(「生活営業関係営業施設」というのは、娯楽施設・宿泊施設・公衆浴場などです。)

 厚生労働省「生活衛生関係営業施設数調べ」

厚生労働省「生活衛生関係営業施設数調べ」

少子化で開業より廃業が目立つ中で、簡易宿泊所数の増加ぶりは突出しています。つまり、簡易宿所に宿泊している人数も右肩上がりに増えていると考えられるのです。

訪日外国人が激増し、日本の宿泊施設ニーズが大きく変わった

外国人は観光ホテルの豪華な夕食付きステイプランよりも、B&B(ベッド&ブレックファスト)のようなリーズナブルなステイを好みます。

このため日本国内でリーズナブルな価格帯の宿泊施設が増えていると思われます。

宿泊施設全体の客室稼働率は60.8%で、特にシティホテル(79.4%)ビジネスホテル(75.4%)といったタイプの宿泊施設で好調が目立ちます。旅館は少し出遅れており(38.1%)です。

インバウンド誘致に出遅れる旅館 いますぐやるべき6つのインバウンド対策とは?

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 国土交通省観光庁「宿泊旅行統計調査 平成29年・年間値(速報値)報道発表資料」より

国土交通省観光庁「宿泊旅行統計調査 平成29年・年間値(速報値)報道発表資料」より

簡易宿泊所の稼働率は平成27年(27.1%)、28年(25%)、29年(27.6%)です。これだけを見ると簡易宿所稼働率は高いといえないのですが、これにはマジックがあります。

簡易宿所は稼働している部屋数ではなく、ベッド等の床数稼働率を把握するため、見た目の稼働率が低くなるのです。つまり2人用の部屋に1人が宿泊した場合、ホテルなら稼働率100%ですが、簡易宿泊所なら稼働率50%なのです。

東京オリンピックでホテル4.4万室不足というデータも!? 宿泊施設不足問題を乗り越える国・民間の取り組み

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世界に拡散する「Capsule Hotel」の現在の姿

日本国内でも好調なカプセルホテルですが、海外でも増えつつあるようです。

The Capsule Hotel(ザ・カプセルホテル) オーストラリア・シドニー

 シドニー「カプセルホテル」 Twitterより

シドニー「カプセルホテル」 Twitterより

その名も「カプセルホテル」という人気ホテルです。1年ほど前の開業以来、人気ホテルとしてシドニー中心街で営業しています。

タイリッシュなデザインとたくさんのカクテルが揃うお洒落なバー・ダーツ施設など完備、ただ泊まるだけではなく滞在を楽しめる作りです。時期にもよりますがシングル泊で1泊4000円程度。

睡眠共享舱(睡眠シェアキャビン)上海・錦江地区

上海 睡眠共享舱(睡眠シェアキャビン)thepaper.cnより

上海 睡眠共享舱(睡眠シェアキャビン)thepaper.cnより

上海に出来たカプセルホテル。1分=0.2中国元(日本円で3.45円)、30分からのステイが可能。マンスリー割引料金もあり、一か月で788中国元(1万3595円)だそう。

「エアコンがない・換気扇がうるさい」というのが地元クチコミで目立つ不満のようです。

The Millennials Shibuya 東京・渋谷区

 The Millennials Shibuya Twitterより

The Millennials Shibuya Twitterより

渋谷に出来た最新カプセルホテル。通常は男女別が多いカプセルホテル業界で、あえて男女混合フロアを取り入れた。

またシェアスペースの快適さにこだわりを持っている。ラウンジやコワーキングスペースは全体の20%を占めるほどの広さ。

一泊6000円ほどでカプセルホテルとしてはハイレベルで、ちょっとしたビジネスホテルレベルの価格設定といえます。

インバウンド業界における「カプセルホテルブーム」の理由は?

カプセルホテルが簡易宿泊施設の枠をこえ、観光客向けの要素を取り込み始めたのは上の3例からもわかります。

しかしビジネスホテル並みの価格帯で、滞在自体も楽しめる作りなのに、なぜホテルではなく簡易宿所扱いのカプセルホテルなのでしょうか?

昨今の日本のインバウンド業界におけるカプセルホテル・ブームには泊める側と泊まる側両方のニーズの一致があるようです。

泊める側のメリット:

旅館業法では部屋の広さ・数・建築規定にホテルと簡易宿泊所で違いがあります。簡易宿泊所のほうが規定が緩く、オフィスビルなどの建物を宿泊施設に転用するのに向いているのです。

泊まる側のメリット:

簡易宿泊所の明瞭な料金体系が挙げられます。海外では同じ部屋に何人が宿泊しようが値段は変わりません。これに対して、日本は一部屋でも「人数」で値段が変わることがあります。カプセルホテルはベッド等の床数単位で計算するので、外国人にとってシンプルかつ納得感が高い料金体系なのかも知れません。

まとめ:訪日外国人にとって、料金体系の分かりやすさ&面白さがカプセルホテルの強み

日本のホテル旅館では同じ1部屋でも泊まる人数季節や食事プランなどで細かく料金が変わるります。初めて利用する訪日客は「不明瞭な料金体系だ」と感じている可能性は少なくありません。

利用ルールのわかりやすさ、そして面白さがカプセルホテルの強みかも知れません。

泊食分離とは │ 意味・効果・観光庁による推進・現場の実情

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<参考>

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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

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2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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