株式会社小西美術工藝社代表取締役、デービッド・アトキンソン氏は『新・生産性立国論』をはじめ多数の著作を持ち、グローバルな視点から日本のインバウンド業界への提言を続けています。
2018年7月4日には「ヒト・モノ動きの未来塾」の勉強会に講師として登壇しました。
「ヒト・モノ動きの未来塾」は運輸・観光領域の再定義、基幹産業化するために必要となる取組について、様々な企業⼈・個⼈・官庁関係者が専⾨分野を越え議論を深め交流しようと立ち上げられたものです。
数値やデータの分析など、しっかりとした裏付けから導き出されるアトキンソン氏の提言は具体的でわかりやすく、少子高齢化に向かう日本の未来を生きぬく上でインバウンド産業の持つ可能性を教えてくれます。
インバウンド対策なにから始めたら良いかわからない?
少子化日本で「移民」より「訪日観光」を促進すべき理由

著作『新・生産性立国論』でアトキンソン氏は日本の移民政策についても言及しています。今回の講演でもアトキンソン氏は日本がなぜ移民ではなく訪日観光客誘致に注力すべきかを話し始めました。
「日本は世界にも稀にみる急激な人口増を経験し、そして今後は急激な人口減に見舞われる国です。これほどの急激な人口増減を短期間に経験した国はありません。未知の領域に入っていくわけです。」
アトキンソン氏は安易に移民を推進しようという考えには与しないと言います。
日本が移民によってGDPを維持しようとするのであれば、3,419万6,000人の移民が必要な計算になります。これは日本の人口の40%に相当する移民を受け入れるということです。例えばドイツや英国1国の総労働人口を上回る数字です。
「移民によるGDP維持は現実的ではないのです。」
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少子化対策によるGDP維持も現実的ではない
アトキンソン氏は少子化対策でGDP維持するのも現実的ではないと言います。
計算によると、少子化対策が効果を出したとして、現在のGDPを維持するためには女性1人が4.4人の子供を産むことが必要だと言います。
近年の未婚・晩婚化で産まない選択や産む期間が短くなっていることを考慮すれば、産む意思と環境がある女性に8.5人ずつ子供を産んでもらわないとGDPは維持できないそうです。
現代の社会において、8.5人の子育ては女性にとっても、子供を育てる若い夫婦の負担としても、到底可能な数字ではありません。
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インバウンド産業は世界で3つ目に大きい輸出産業
「移民」「少子化対策」が日本のGDPを維持する特効薬になりえない。しかしアトキンソン氏は日本のインバウンド産業に期待しているといいます。
訪日外国人を日本に受け入れて消費を行ってもらうインバウンド観光は日本国内で輸出をしているのと同じです。世界的に見ると観光産業はすでに自動車産業を抜き去り、3つ目に大きな輸出産業になっており、これからもまだ伸びるといいます。
「日本は観光の4要素と言われる、1.気候・2.自然・3.文化・4.食事がみな高いポテンシャルを持っています。その証拠に、インバウンドにきちんと取り組み始めた数年前から観光産業は急激な成長を見せています。」
「呼ぶだけ、顧客満足度に責任を持たない」観光地は問題
上手く滑り出したように思われる日本のインバウンド産業ではありますが、アトキンソン氏はせいぜい30分しか滞在できない観光スポットがたくさんある現状は問題だと感じているそうです。

「ヨーロッパからの訪日外国人は何日もの休みを使い、大金をはたき、長いフライトをして日本にやってくる。しかし、写真と広告だけ上手、実際に訪れると満足度が低い観光地が日本にもまだまだあります。
この続きから読める内容
- 価値に「付加価値」をつけるのが観光産業:二条城がその成功例
- 無理に周囲と協調せず「まずは1つが突き抜ける」ことが大事
- まとめ: インバウンド産業は日本のこれからの経済を担う主要輸出産業へと成長する可能性
- デービッド・アトキンソン氏 プロフィール
- 日本の魅力ある商品を在日外国人インフルエンサーとつなげるマッチングプラットフォーム「trial JAPAN」
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