保有資産30億以上 「超富裕層」人口ランキング1位は香港/超富裕層向けホテル・コンテンツ不足は今後の日本の課題

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

日本政府は、訪日外国人の旅行消費額を2015年の3.5兆円から2020年に8兆円、2030年に15兆円に増やすという目標を立てています。この数値目標達成のためには、訪日観光客の人数を増やすことはもちろん、訪日観光客1人あたりの消費額を増やすことが必要です。

明日の日本を支える観光ビジョンとは?わかりにくい政府や観光庁の取り組みの構造をまとめました

政府は観光先進国への新たな国づくりに向け、明日の日本を支える観光ビジョン構想会議を行い「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定しました。しかしその取り組みについてわかりづらくなっています。そこでこの記事では、政府の取り組みの全体像についてわかりやすく解説します。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談してみる目次観光立国に向けた政府の取り組み、団体などの相関図インバウンドに関わ...

そこで、これからのインバウンド対策で重要になってくるのは、世界の「超富裕層」です。「超富裕層」を誘致することができれば、日本の国際観光収入を上げることができます。

さて、これからの日本がターゲットにしなければならない「超富裕層」と呼ばれる人は、世界のどこにいるのでしょうか。

インバウンド受け入れ環境整備を資料で詳しくみてみる

インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)

超富裕層ランキング1位は香港、日本もランクイン

世界の「超富裕層」の人口は昨年、前年比でおよそ13%増加し、25万5810人となりました。昨年発表された「超富裕層」人口ランキングで1位になったのは香港で、人口は前年比で31%増加、およそ1万人に上っています。香港の「超富裕層」人口は昨年ニューヨークを追い抜き、初めて世界で最多となりました。

順位 都市 超富裕層の人数
1位 香港 1万人
2位 ニューヨーク 8900人
3位 東京 6800人
4位 ロサンゼルス 5300人
5位 パリ 4000人
6位 ロンドン 3800人
7位 シカゴ 3300人
8位 サンフランシスコ 2800人
9位 ワシントンD.C. 2700人
10位 大阪 2700人

出典:Wealth-X World Ultra Wealth Report

長年にわたり、「億万長者」を生み出してきたのは主に北米でした。しかし、報告書によれば、いまやより多くの富豪が誕生しているのはアジア地域です。中国経済の着実な成長により、同地域の超富裕層の人口は昨年、前年比19%増を記録しました。北米での増加率は、その2分の1ほどにとどまっています。

香港・ニューヨークに続き3位につけたのはもう一つのアジアの都市、東京です。約6800人が超富裕層の一員となっています。また、欧州の都市でトップとなったのは、およそ4000人を数えた5位のパリでした。

そもそも「超富裕層」の定義とは?:報告によってまちまちだが5億〜30億の資産がある人

さて、世界中で増加している「超富裕層」ですが、そもそもどういった人のことをさすのでしょうか?

実は「超富裕層」の定義には国際基準がないのですが、世界的に影響力のある二大富裕層調査Wealth-X World Ultra Wealth ReportとWorld Wealth Reportはそれぞれ基準を定めています。

  • Wealth-X World Ultra Wealth Report:保有資産3000万ドル以上
  • World Wealth Report:投資可能資産額3000万ドル(約33億円)以上

また、日本でよく用いられる基準としては、野村証券の定義があります。

  • 野村証券:純金融資産5億円以上

このように見てみると、やはり匡や報告書によってもまちまちだということがわかります。

1位の香港人、人気の旅行先は?

「超富裕層」が世界最多の香港ですが、その香港人はいったいどこへ旅行に行っているのでしょうか?

旅行予約サイト「Hotels.com」によると、2017年の台湾人の海外旅行先人気1位は2年連続で東京、2位は大阪でした。

日本政府観光局JNTO)の調査によると、2017年の訪日香港人は223万人で、3.3人に1人が日本を訪れたことになります。2017年に日本を訪れた香港人の2割が、訪日回数10回以上のヘビーリピーターだったということです。

日本のホテルや観光資源は超富裕層のニーズに応えられているのか?

香港からは多くの訪日外国人が日本に来ていることがわかりました。また、前述の調査から必然的に「超富裕層」が多く訪日していることが推測できます。しかしながら、果たして、日本のホテルや観光資源は、現在香港の「超富裕層」に満足してもらえているのでしょうか

まず、ホテルについて見ていきましょう。「超富裕層」が泊まって満足できるホテルは日本にあるのでしょうか。世界の高級ホテルと日本の高級ホテルを比べてみます。以下はホテル名と、一泊の料金です。

ホテル名 一泊の料金
帝国ホテル スイート 日本 30万円
ホテルニューオータニ プレジデンシャルスイート 日本 30万円
リッツカールトン スイート 日本 240万円
Hotel President Wilson スイス 6万5000~8万ドル(約730万~900万円)
Lagonissi Resort ギリシャ 4万7000ドル(約530万円)
Four Seasons New York アメリカ 4万5000ドル(約500万円)
Raj Palace Jaipur インド 4万ドル(約450万円)

出典:帝国ホテル、ホテルニューオータニ、デービッド・アトキンソン『新・観光立国論 イギリス人アナリストが提言する21世紀の「所得倍増計画」』東洋経済新報社,2015.

世界では、このように1泊400万~900万円という価格帯のホテルを高級ホテルと呼びます。日本の高級ホテル「御三家」に数えられた帝国ホテルやホテルニューオータニとは、桁が違います。日本最高額といわれるリッツカールトンのスイートでさえ、世界の高級ホテルには遠く及びません。

適切なホテルが整備されていなければ、「超富裕層」は満足以前に日本に来ることもできないでしょう。

観光資源はどうでしょうか。日本は「超富裕層」のニーズに応えられているのでしょうか。まずは下の国際観光収入ランキングを見てください。

国際観光収入ランキング(2015年)

順位 国際観光収入
1位 アメリカ 2045億ドル
2位 中国 1141億ドル
3位 スペイン 565億ドル
4位 フランス 459億ドル
5位 イギリス 455億ドル
6位 タイ 446億ドル
7位 イタリア 394億ドル
8位 ドイツ 369億ドル
9位 香港 362億ドル
10位 マカオ 313億ドル
11位 トルコ 266億ドル
12位 日本 250億ドル

出典:UNWTOのTourism Highlightsより訪日ラボ作成

上位にはアメリカ・中国のほか、ヨーロッパの国々など観光大国と呼ばれる国が名を連ねています。日本は250億ドルで、世界12位でした。しかし、ここで注目すべきは10位のマカオです。マカオの国際観光収入が多いのは、IR(統合型リゾート)の影響だといわれています。

日本でも五輪需要に向け整備進む IR(統合型リゾート)推進法:カジノ、公営賭博、パチンコ店のインバウンド対応ってどうなってるの?

海外では、観光客が立ち寄る場所として一般的な施設という印象が強い カジノに代表される賭博施設 ですが、日本では現時点でこうした合法カジノはありません。その代わりに海外にはない 公営競技という名称で呼ばれる公営賭博 、そして 風営法のもとで遊技とされるパチンコ が存在します。こうした カジノ、公営賭博、パチンコとインバウンドの関係 はどうなっているのでしょうか。インバウンド受け入れ環境整備の資料を無料でダウンロードする「翻訳・多言語化」の資料を無料でダウンロードする「多言語サイト制作」の資料...

マカオには、「ギャラクシー・マカオ」と呼ばれる世界最大級の統合型リゾートがあります。これは、6つのラグジュアリーホテルとカジノやブランドショップ、プールなどを擁する複合施設です。ホテルに関しては、ファミリー旅行者層をターゲットとしたものから超富裕層向けまで、幅広い価格帯で展開しています。

同様に、IRの中で楽しめるコンテンツの価格帯も幅広く、さまざまな層のニーズに対応できるようになっています。

▲ギャラクシー・マカオ/出典:IR(統合型リゾート)研究会

▲ギャラクシー・マカオ/出典:IR(統合型リゾート)研究会

また、IRの主な収入源はカジノであり、運営費の多くをそれで賄えるほど多くの収入があります。「超富裕層」がカジノを楽しむことで、IRの経営は成り立ち、同時にそのIRが所在する国には莫大なお金が入ることになります。

日本には、IRに限らずまだこういった複合リゾートがほとんどありません。価格帯の幅がせまく、「超富裕層」のニーズに適した観光施設をつくることができていないのが現状です。

しかし、1泊に数百万円かけるような「超富裕層」に、たとえ数としては少なくても日本に来てもらうことができれば、日本の観光収入は大幅に上がるでしょう。これからは、ホテルや観光資源などを見直し、価格帯を広げて「超富裕層」を呼び込むことができるような状態をつくることが重要です。

まとめ:日本にも「超富裕層」を呼べる可能性あり、まずは整備を

香港には、多くの「超富裕層」がいるということがわかりました。そしてその香港では、多くの人々が日本を旅行先として選んでいます。これは香港の人々にとって旅行先としての日本がとても魅力的だということの表れでもあります。香港の「超富裕層」にも、日本での旅行に魅力を感じてもらえる可能性は大いにあります。

日本の国際観光収入を増やすため、香港などにいる「超富裕層」を誘致することは不可欠です。そのためにはまず、そのような「超富裕層」のニーズに適したホテルやリゾート、観光資源を用意することが必要です。

インバウンド受け入れ環境整備を資料で詳しくみてみる

「翻訳・多言語化」を資料で詳しくみてみる

「多言語サイト制作」を資料で詳しくみてみる

「多言語化表示サービス」を資料で詳しくみてみる

「テレビ電話型通訳サービス」を資料で詳しくみてみる

「訪日外国人向け道案内」を資料で詳しくみてみる

<参照>

2025年最新版!インバウンド×デジタルマーケティング戦略【訪日ラボトレンドLIVE スペシャルver.】


2024年も残りわずかとなりました。来年2025年は大阪・関西万博が開催されるほか、中国市場の回復などもあり、今年以上の盛り上がりが予想されています。2025年に向けて、訪日旅行者へ向けたマーケティング戦略を強化していきたいと考えている事業者の方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、株式会社movが毎月開催している「訪日ラボトレンドLIVE」をスペシャルver.としてお届け。今こそ知っておきたい「インバウンド×デジタルマーケティング戦略」を徹底解説します!

<本セミナーのポイント>

  • 観光・インバウンドに詳しい専門家3名が登壇!
  • 2025年に向けた「インバウンド×デジタルマーケティング」の戦略や施策について、「深掘り」した情報を「いち早く」「無料で」学べる!
  • 質疑応答の時間もご用意。インバウンドに関する疑問・お悩みについて、専門家から直接「ヒント」を得られる!

詳しくはこちらをご覧ください。

2025年最新版!インバウンド×デジタルマーケティング戦略【訪日ラボトレンドLIVE スペシャルver.】

【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。

この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。

UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で:インバウンド情報まとめ【2024年11月前編】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに