メディカルツーリズムとは、医療サービスの利用を目的に海外を訪れることです。観光と医療サービスをセットにした海外旅行も含まれます。
医療分野のサービスでは安心と安全が重要視されており、加えて国内の医療技術の高さから、日本のインバウンド業界では非常にポテンシャルの高い分野と目されています。
特に中国では、日本の医療技術の高さ、がん発症者の生存率の高さに注目が集まっています。
中国国内のある報道によれば、中国でがんを発症してから5年後の生存率は31%です。一方日本の国立がん研究センターの統計では、08~10年にがんと診断された人の5年後生存率は67.9%であり、比較すると倍以上の違いがあります。また、都市部の晩婚化を受け、卵子凍結といった生殖補助医療にも中国人の患者の姿が見られるようになってきました。
こうした需要を取り込み、医療機関の仲介や関連する翻訳サービスなどを提供する業者も増えています。先述の報道によれば仲介価格は200万~1,000万円超とインバウンド市場でも桁違いの価格帯となっています。
本編では、従来ならばお金で買えないはずの「健康」が市場に参入し成立するメディカルツーリズムについて解説します。
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メディカルツーリズムとは?
まずインバウンド業界で徐々に存在感を高めているメディカルツーリズムについての基本情報をまとめます。
メディカルツーリズムの基本
メディカルツーリズムとは日本語で観光医療と訳され、自らの居住地域よりも医療水準が高い地域へと治療や検診、診察を受けるために旅行し、医療を受けることを意味します。
メディカルツーリズムが注目されているのはなぜ?
現在、メディカルツーリズムが注目されている背景には主に3つの理由があります。
一つ目は、メディカルツーリズムには大きな市場が見込まれている点です。2020年にはメディカルツーリズムのために日本を訪れる人は42.5万人、市場規模は5,507億円、経済効果は2,823億円と推定されています。
二つ目は、中国人が日本の医療に注目している点です。中国人はその訪日外客数、消費額において、インバウンド市場で非常に大きな存在感を持っています。
加えて中国で安心できる医療サービスを受けることは難しく、日本の高い医療技術やスタッフの対応のよさは相対的に大きな魅力に映ります。中国人の訪日旅行市場でメディカルツーリズムが拡大すればするほど、日本には大きな経済的恩恵がもたらされます。
中国の経済成長や中国人の消費傾向から、中国人は日本のメディカルツーリズム市場において大きな潜在力を持っていると言えます。
三つ目には医療滞在ビザの発給挙げられます。日本国政府は、条件を満たす訪日客に対し、医療滞在ビザ(後述)を発給しています。政府が後押ししていることから、今後の発展が見込まれる領域だと言えるでしょう。
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医療滞在査証(医療ビザ)とは?
日本国政府は、2011年に医療ビザの発給を開始しました。医療ビザの発給は、医療機関における治療だけでなく、人間ドックや健康診断などを含めた幅広い目的に対して行われています。有効期限は必要に応じ3年、滞在期間は最大6ヶ月です。
メディカルツーリズムのメリットとデメリット
こうしてビザの発給という形で日本政府も推進しているメディカルツーリズムですが、そのメリットとデメリットにはどのようなものが考えられるでしょうか。
メディカルツーリズムの渡航目的とは
他国で医療を受けるメディカルツーリズムの主な渡航目的は、より良い品質の医療を受けることです。自国では解決できない医療上の問題を解決することが目的の場合も少なくありません。
以下3つのパターンが主に考えられます。
- 自国には無い高度な医療を受けるため。臓器の移植やがん治療など。美容整形や歯科治療といった審美目的の場合もある。
- 自国よりも安価な医療を受けるためです。アメリカでは多くの人が保険に未加入のため、国内での治療には高額の治療費がかかります。そのため海外での安価な治療が推奨される場合があります。
- 医療を受けるまでの待ち時間を短縮するため。イギリスやカナダでは治療を受けるまでの時間がかかるとされ、「待ち時間の解消」を目的に海外に渡航する場合があります。
このようにメディカルツーリズムは自国の医療制度の欠点を乗り越える手段にもなっています。
この続きから読める内容
- メディカルツーリズムは医療業界の活性化につながる?
- メディカルツーリズムが増えることで日本への経済効果も増大
- 医療ツーリズム(メディカルツーリズム)とは?注目を集める背景・日本の現状・メリット・問題点・事例
- メディカルツーリズムの日本の現状は?
- メディカルツーリズムにおいて日本が抱える課題
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