インバウンドの戦略とは | メリット・市場のトレンド・事例3選を紹介

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訪日外国人観光客の数は年々増加しています。コト消費への関心の高まりやリピーターの地方観光の需要も増えています。北海道はじめとする日本のパウダースノーは中国人に人気で、徐々に知名度を上げており、その母数の多さから過去の「爆買い」の勢いを彷彿とさせる一大マーケットを軽視しつつあります。

中国人に限らず訪日外国人を対象として、交通機関や観光地の店舗等、インバウンド対策に力を入れている場所も増えてきました。こうした訪日外国人観光客を集客し事業の売上げを伸ばしたい場合には、データや統計、ニーズを分析して戦略を立てることは非常に重要です。

この記事では、インバウンド市場で勝ち抜く戦略について、現在のトレンドや実際の事例を交えながら解説します。 

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インバウンドにおいての戦略とは

インバウンド市場の拡大にともない訪日外国人向けの集客対策を図る企業や店舗が増加しています。

いまやインバウンド対策についてインターネットで調べると非常に多くの情報がヒットしますが、それらは戦略だてて行わなければ十分な効果を発揮しません。

ターゲット層や集客数の目標、売上の目標などを設定し、過去の事例や現在のトレンドをおさえつつ戦略に基づいたインバウンド対策を行うことが重要です。 

インバウンドって?

インバウンドは「本国行きの」という意味を持つ英単語で、例えば日本人の間や日本の企業で使われる場合には「海外から日本に来る人やもの」を指します。

訪日外国人観光客の増加に加え、2019年秋に日本で開催されるラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピック、2025年の大阪万博など、今後さらなる訪日客増加が見込まれるイベントが開催予定であることからインバウンド市場は大変盛り上がっており、企業や店舗、一般人の間でもインバウンド」という言葉が広く認知され始めています。 

国土交通省のグローバル観光戦略

国土交通省ではインバウンド戦略について「グローバル観光戦略」をまとめており具体的には4つの戦略が挙げられています。

詳細については以下の通りです。

  1. 外国人旅行者訪日促進戦略
    市場調査やプロモーションを充実させることによって訪日旅行需要を促進するための戦略です。
  2. 外国人旅行者受入れ戦略
    案内表示や多言語対応キャッシュレス化促進などにより日本を訪れた外国人旅行者が不便を感じることのない環境を整備するための戦略です。
  3. 観光産業高度化戦略
    観光業やサービス業の基礎的なサービスの水準を上げることや各サービスの連携強化、エンターテインメント施設の充実などにより日本が観光大国として包括的なレベルアップをするための戦略です。
  4. 推進戦略
    政府、公共団体、民間企業の連携強化や個々の施策の円滑な実施によりインバウンドにおけるさまざまな対策を効果的かつ着実に推進するための戦略です。 

インバウンド戦略が地方にもたらすメリット

インバウンド市場は日本経済の基盤となるだけでなく少子高齢化や過疎化の煽りを受ける地方を再生させる可能性を秘めています。観光地や伝統文化のプロモーションにより、地方を訪れる旅行者数が増えれば、地方経済の活性化、インフラ整備が進むというメリットもあります。

海外からの旅行者は、国内旅行者に比べ伝統文化に興味を抱きやすく、さらに1人あたりの消費額も大きい傾向にあるため、インバウンド戦略は地方創生にも良い影響を与えるとして注目されています。

伝統工芸品の地方誘致・地方創生に関するインバウンド対策事例集

伝統工芸品はどうやってインバウンドにおいて地方誘致・地方創生に取り組むべきなのでしょうか?「常識を破るカラフルな鉄器で世界に進出「南部鉄器(なんぶてっき)」」など、各社・各団体の先行事例を集めてみました。

現在のインバウンド市場のトレンドは?

インバウンド戦略を策定するにあたっては、訪日外国人のニーズに基づいたインバウンド市場のトレンドを把握することが必要不可欠です。「コト消費」と「施設のインバウンド受け入れ体制」の2つの視点から現在のインバウンド市場のトレンドについて解説します。 

1. コト消費

近年のインバウンド市場では2015年頃をターニングポイントとしてモノを買うことに基づく満足感に価値を見出す「モノ消費」からサービスや体験に基づく満足感に価値を見出す「コト消費」へとシフトしています。

要因としては日中為替相場変動による訪日中国人の爆買い消費の沈静化や訪日リピーターの増加が挙げられます

初訪日の外国人観光客は家族や友人への土産や日本の高品質な家電など、購入したいものが多くついモノ消費に傾倒してしまいがちです。

年々訪日外国人客数が増加する現在、モノ消費を一通り楽しんだリピーター訪日客がコト消費へとシフトしていることがコト消費人気へとつながっていると考えられます。

コト消費は今後のインバウンド戦略において重視すべき潮流です。宿泊施設や飲食業、サービス業では、訪日外国人のニーズを見極め対応していくことが必要になってきます。小売業などモノ消費による業種でも、いかに"体験"としてのショッピングを味わってもらえるかが、今後の客足を左右するはずです。単なる購入にとどまらないコト消費的付加価値を感じさせる工夫が求められていると言えるでしょう。 

こうした傾向については、以下記事でも詳しく説明しています。

「コト消費」「モノ消費」とは?最近話題になっている訪日外国人の消費活動の変遷について解説

最近メディアの訪日外国人観光客に関するニュースで、「爆買い」から「コト消費」にキーワードのトレンドが移ってきています。訪日ラボでも何度か触れてきましたが、改めて「爆買い」「モノ消費」「コト消費」について解説していきます。コト消費で重要なのは「顧客満足度を上げる」こと!顧客満足度向上に有効なインバウンド対策についてより詳しい資料のダウンロードはこちら「翻訳・多言語化」の資料をDLして詳しく見てみるバーコードやQRコードを活用した多言語ソリューション「多言語化表示サービス」の資料をDLして詳し...


2. 施設のインバウンド受け入れ体制

「モノ消費」から「コト消費」への消費傾向のシフトにより宿泊施設やその他商業施設、飲食店に代表される「コト消費」を主軸とする業種ではいかにして訪日外国人に満足してもらえるサービスを提供するかが問われています。

これまでは「モノ消費」が訪日外国人のニーズの大多数を占めていたため、インバウンド対策では買い物需要に対応するための受け入れ体制整備やプロモーションが重点的に行われてきました。

しかし、訪日外国人のニーズが「モノ消費」から「コト消費」へとシフトしている現在、飲食店における外国語対応や案内不足などの不満を抱える外国人観光客は少なくありません。イラストメニューや外国語メニューの用意、ベジタリアンやヴィーガン、宗教食への配慮など「コト消費」を求める訪日外国人観光客不便のない環境の整備が求められています。

 

訪日客の3割が飲食店に不満:今日から写真付きメニュー設置だけでもはじめよう!飲食店にインバウンド集客するうえで知っておくべき4つのポイント

2017年の訪日外国人観光客数は史上最多となる2,870万人を突破しました。こうした背景から国内のあらゆる業界でインバウンド対策が推進されています。観光庁の「訪日外国人旅行者の受入環境整備における国内の多言語対応に関するアンケート調査」によると、2017年に訪日した外国人観光客のうち、34.8%が「訪日旅行中に困ったことはなかった」と回答するなど、日本の企業・自治体などが進めるインバウンド対策は訪日外国人観光客から一定の評価を受けていますが、「多言語表示・コミュニケーション」面に関する訪日...


インバウンド対策3つの事例

インバウンド対策についての知識やニーズの把握も重要ですが、具体的な事例を知ることは適切な対策や施策への近道となります。

以下では、戦略に基づいたインバウンド対策により成功をおさめている事例について解説します。 

1. MARUTTO FUKUOKA(まるっと福岡)

西日本鉄道では2017年より「MARUTTO FUKUOKA」という訪日外国人のみが購入、利用できる乗車券を発売しています。

乗車券は英語、韓国語、簡体字、繁体字に対応しており西鉄電車、路線バスそれぞれの1日フリー乗車券をセットにして販売しており、大人2,000円、小児1,000円と1日観光するにはリーズナブルな価格となっています。

また、購入者には多言語対応の観光クーポン情報誌である「FUN PASS FUKUOKA vol.2」を配布しており、訪日外国人観光客に多くの観光情報とお得な旅を提供しています。 

2. マツモトキヨシは訪日台湾人向けメディア「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」を活用

大手ドラッグストアチェーンのマツモトキヨシでは日本を訪れる中国人、台湾人、韓国人の間で化粧品や医薬品のニーズが高いことに注目して訪日台湾人向けメディアの「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」を活用したプロモーションを行っています。

「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」は180万超の月間プレビュー数を誇る大規模観光情報メディアで、マツモトキヨシは訪日外国人に人気の商品や免税手続きについての記事を掲載しています。

ターゲット層を絞ったメディア選択やニーズをおさえた内容を網羅した案内が功を奏し、現在では同メディアに掲載したクーポンを利用する顧客の売上のみで月額700万円にものぼっています。 

3. ニセコエリア「いこいの湯宿いろは」Alipayを導入

海外では日本以上にキャッシュレス化が進んでいるため、訪日外国人観光客の中には旅行中もさほど現金を持ち歩いていない人も多く、また慣れない通貨でのやりとりに不便を感じることもあるようです。

北海道のニセコエリアも、ウィンタースポーツやアクティビティを求めて多くの訪日外国人観光客が訪れる人気スポットです。ニセコエリアではこうした訪日外国人観光客の滞在中の利便性を高めるため、スキーのレンタル用品やリフトチケット、スキーセンター内での食事代金の支払い方法としてモバイル決済サービスを取り入れています

人気の温泉宿「いこいの湯宿いろは」も中国人に普及しているAlipayを導入しています。町全体でキャッシュレス対応を進めており、こうした対応は訪日外国人観光客からの評価を高め、おのずとリピーターを呼び込むことにつながっています。

【事例アリ】Alipay(アリペイ・支付宝)

中国や欧米を中心にキャッシュレス化が進んでいます。キャッシュレスにも様々な形態がありますが、近年は中国のモバイル決済が注目を集めています。中国のキャッシュレス化は、プラスチックのクレジットカードを用いた決済ではなく、スマートフォンアプリに表示するQRコードやバーコードによるモバイル決済「Alipay」「WeChat Pay」の普及により、非常に発展しています。中国ではこうしたモバイル決済がユーザーに支持され、キャッシュレス比率は現在およそ60%にまで達するとの調査結果もあります。日本のキャ...


インバウンド対策は戦略を立てて取り組むべし

現在ではインバウンド市場の拡大に注目した企業や店舗によってさまざまなインバウンド対策がとられていますが、思うように結果につながらないケースもあるのが実情です。

インバウンド対策を成功させるためには、背景にあるニーズの把握や、ターゲット層にアプローチできるプロモーションが不可欠です。より実態に近い仮説を立てられるよう、正しいデータをもとに戦略を立てて取り組むことが大切でしょう。

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短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。

今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。

今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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