松山市の中心部にそびえたつ松山城は築城から来年(2020年)で418年、近年は訪日外国人観光客のお城ブームもあり、東南アジア各国を中心とした海外から訪れる観光客が増加しています。
日本の城は、かつては2万5,000以上ありましたが、現在見学できるのは200城ほど。そのうち江戸時代以前からの天守が現存しているのは松山城を含めわずか12城です。
日本100名城にも選ばれる松山城は、増加する訪日外国人も含めた迷子や忘れ物への多言語対応を進めています。
施設管理を行う伊予鉄道株式会社 松山城総合事務所(以下、松山城)は、多言語対策としてUSEN-NEXT GROUPの株式会社 USENが提供する外国語アナウンスアプリ「USENおもてなしキャスト アナウンスアプリ インフォ」(以下、おもてなしキャスト)を導入しています。
増加する訪日外国人観光客への対策を進める松山城の施設管理担当者へ導入の経緯や導入後の感想についてインタビューしました。
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松山城
江戸時代以前に建造された連立式天守を有する名城「松山城」は「日本100名城」「美しい日本の歴史的風土100選」などにも選定されています。美しさもさることながら、難攻不落ともされる固い守りの工夫が見どころの一つです。
外国人比率は10%前後ですが台湾、香港、中国を中心に増加傾向にあります。
訪日外国人観光客の旅行形態は、個人、ご家族、グループで訪れる方、パックツアーなど団体で来られる方と様々です。
導入前の課題
松山城は難攻不落の名城と言われますが、観光面でみると広大な敷地と順路に複数の分岐があることなどから大人の方が道に迷うケースがまれに見受けられます。団体旅行で来られたお客様がお連れ様とはぐれてしまうこともあります。
城内の案内看板などで注意喚起をしていますが、展示物とは違い掲示物までご覧いただけることは少なく素通りされることが多いため、迷子につながっています。外国語が話せるスタッフが不足していることもあり、外国語でのお呼び出しに課題がありました。
外国語放送(外国語アナウンス)アプリ導入の経緯
これまでタブレットを利用したテレビ電話通訳サービスなどを取り入れてきましたが、お客様とオペレーターの会話内容がスタッフには分からないことや、他人を介する会話に抵抗感があり使いづらさを感じていました。
今年の夏ごろから通訳サービスに代わるものが他にないか検討を進めていました。
導入のポイント、使ってみて良かった点
これまで団体からはぐれた方のお呼び出しは、緊急的に添乗員の方にお願いして放送していただくケースもありましたが、「おもてなしキャスト」は必要な項目を選ぶだけで誰でも呼び出しのアナウンスができるのでとても助かっています。
また、迷子は子供がなるイメージですが、海外の方々は言葉の問題があって大人の方が道に迷うケースがあります。「おもてなしキャスト」では「お言付け」という大人に対応した呼び出しのアナウンステンプレートが標準で入っているのでとても重宝しています。
迷子とともに多いのは忘れ物ですが、忘れ物のアナウンステンプレートも標準で入っていることも使いやすい点だと思います。
使わないフレーズは消して(非表示機能)必要なものだけを表示することができるので誤操作もなく、分かりやすく使いやすいと思います。
今後追加したいフレーズ
標準で入っている「迷子」のアナウンステンプレートはお子様向けの呼び出しになっているのですが、大人向けには言い回しを変更した迷子の呼び出しがあるとお言付けとの使い分けができるのでより便利になると思います。
地震や火災、大雨や台風など災害時のアナウンステンプレートが標準で入っている「おもてなしキャスト 防災」の検討も進めていますが、松山城では災害時の第一報はインフォメーションから流すことが多く、「地震が起きました」「火災が発生しました」というアナウンスが入っていると今のインフォメーション用のアプリは更に使いやすくなると思います。
防災用アナウンスへの応用に期待
松山城では、消防庁から案内されている訪日外国人への災害情報の伝達や避難誘導のガイドラインに対応できるように引き続き対策を進めています。
フリップボードなどで対応は可能ですが、防災放送の多言語化は難しいため、「おもてなしキャスト 防災」の導入を検討しています。
城山ロープウェイ駅舎が11月と2月に、城内の本丸広場が9月と3月に防災訓練を行っており、次回の訓練で使うことができればと思っています。今後追加される緊急地震速報のチャイム音や訓練時に臨場感を出す為の地震をイメージした効果音などは、現場でも使いやすいと思います 。
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