海外からの招かれざる客「新型コロナウイルス」春節パンデミックは大丈夫?インバウンド市場盛り上がりの裏側で、リスクをどうとらえるべきか

公開日:2020年01月20日

東京オリンピック2020を控え、ますます盛り上がりを見せるインバウンド市場ですが、良いことばかりとは限りません。

先日から中国武漢市の「新型コロナウイルス(COVID-19)」の報道が続いていますが、先週にはついに日本でも感染が確認されました(り患した男性は1月15日に退院。)

国を越えて人の流動が活発になることは好ましいことですが、海外との人の往来が活発になればその分、新型ウイルスや日本人が経験したことのない病気が国境を超えて日本に持ち込まれる危険性も高まるといえるでしょう。

今回は「新型コロナウイルス」について整理し、感染症のリスクと、インバウンドに関連した業務に従事する場合に気を付けるべきことについてご紹介します。

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日本でもコロナウイルス感染患者を確認

「新型コロナウイルス(COVID-19)」は、中国内陸部の湖北省武漢市で集団感染者が報告されています。日本でも神奈川県在住の30代男性の感染が確認されたと厚生労働省が1月16日に発表しました。

男性は中国滞在中に発熱、帰国後も熱が引かなかったため医療機関を受診し感染が確認されたため入院したそうです。その後、男性は無事回復し、退院しています。

日本以外でもタイで武漢市からの中国人旅行者が「新型コロナウイルス(COVID-19)」感染と診断され、香港、シンガポール、台湾などでも感染の疑いのある事例が報告されています。

武漢市当局が発表している最新情報によると、患者数198人、亡くなった方が3人です。

しかしイギリスの研究チームによると、1,700人を超えている可能性があると発表しました。研究チームは武漢国際空港の利用者数や推定される潜伏期間などを考慮し、武漢で感染した人が病院にかかる前に国外へ出る確率は574分の1にすぎないと試算しています。

ただし不確定要素が多いためあくまでも可能性とし、監視強化や迅速な情報共有、準備態勢の整備を呼びかけています。

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実は「風邪」も…人から?動物から?後者で重症化するウイルス

連日報道されている「新型コロナウイルス(COVID-19)」ですが、そもそも「コロナウイルス(COVID-19)」とはどのようなウイルスなのでしょうか。

コロナウイルスとは人や動物の間で広く感染するウイルスで、人から人に感染する4種類動物から感染する2種類のウイルスが知られています。

風邪の10~15%(流行期35%)が人から人に感染する4種のコロナウイルスが原因だと言われています。動物から人に感染するコロナウィルスは肺炎などを引き起こし重症化しやすく、2002年から流行したSARSと2012年に発見されたMERSはこれに分類されます。

中国では「新型コロナウイルス(COVID-19)」に感染した人のうち、高齢者が重症化するケースが確認されています。

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感染源は海鮮市場で販売されていたコウモリ?

感染者の多くが現在閉鎖されている武漢市内の海鮮市場卸売市場関係者で、販売されていたコウモリが感染源の可能性が高いと考えられています。

日本ではあまり馴染みのないコウモリは、中国で漢方の材料などで使用されています。SARSやMERSのコロナウイルスももともとはコウモリが保有しているため、今回の「新型コロナウイルス(COVID-19)」もコウモリが原因の可能性があると指摘されています。

SARSの感染拡大の原因「春節パンデミック」中国人の大移動

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の懸念のひとつとなっているのが、中国の旧正月「春節」です。2002年11月から中国国内で流行が確認されたSARSが世界中に広がったのは、春節が始まった2月以降となっています。

中国では、春節の期間は海外旅行に赴く人も多い一方、中国国内の出稼ぎ先から故郷へ戻る人も多くいます。まだまだ中国国内には経済水準の低い地域も少なくなく、こうした人々を含む「春節大移動」は、鉄道などのチケットの入手困難と合わせて例年の春節前の一大ニュースとして伝えられています。

SARSは、こうした季節のイベントに合わせた人の移動により、広い地域に感染が拡大した可能性も指摘されています。当時は、30以上の国や地域で8,000人以上に感染し、700人以上が亡くなる被害がでました。

残念ながら今回も、中国や日本で発症した患者から、人から人へ感染した可能性が高い事例が報告されています。「新型コロナウイルス(COVID-19)」はSARSの時のような感染力は持っていないようですが、春節期間の移動、特に中国国外への移動により、感染が拡大する可能性はゼロとは言えないでしょう。

空港での検査「潜伏期間」「解熱剤」すり抜けも?

海外からの玄関口となる空港では、SARS流行時の教訓を元に水際対策が進められています。

成田空港では、武漢市からの到着客に発熱や咳などの症状がある場合は申し出るよう求めるポスターが設置されています。検疫ブースにはサーモグラフィーが設置され、入国者に発熱している人がいないか担当者が1人ずつ体温をチェックしています。

ただし、潜伏期間で発熱の症状がない場合や、解熱剤を服用している場合はサーモグラフィーで確認ができません。こうした場合の自己申告は、日本に入国する個々人の判断にゆだねられてしまいます。

こうした可能性を水際対策として一定の効果はあるものの100%安全を確保できるかというと、そうも言えないようです。個人レベルで対策をとりたいと考える人もいると考えられます。

厚生労働省は1月15日の会見で

今後、患者の数が増えていくなかで専門家と国際機関も交えて日本なりのリスク評価をやっていきたいと考えています。

と述べています。

こうしたすり抜けのリスクが高まった場合には、相応の措置をとっていくことも考えられるでしょう。

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冷静にリスクを判断、インバウンド関連の現場にも必要

厚生労働省は「新型コロナウイルス(COVID-19)」について、感染患者と生活を共にしたり、治療にあたっている人への感染リスクはあるものの「通常の生活を送っている人のリスクは極めて低い」としています。

過剰な心配は不要とされていますが、インバウンド関連のサービスを提供していたり接客の機会がある人は、「新型コロナウイルス(COVID-19)」に限らず一般的な感染症対策をしっかり行う必要があるでしょう。

マスクの着用や手洗いをしっかり行うなど、改めて徹底することが万が一の際の感染のリスクを低下させるはずです。さらに従業員や顧客に何らかの感染症が疑われる場合には、速やかに病院への受診を促し、必要に応じて関係機関へ報告をするべきでしょう。

インバウンド市場の拡大に伴い、感染症のリスクも少なからず上昇することが考えられます。政府によるリスク排除は万全を期しているとは考えられますが、同時に個人での冷静な情報収集と判断も大切になってくるでしょう。また手洗いうがいといった基本的な衛生管理や、ワクチン接種など、個々人でできる対策もとっていくことが有効な場合もあります。

一般人の発信する情報でも、現在はSNS等を通じて広く拡散されます。海外に関する情報は一次情報を個人で確かめることが難しい場合も少なくありません。発信者が判断材料にした情報の真偽も含め、専門家の意見を参考にしながら、行動を決定していくべきでしょう。

<参照>

国立感染症研究所:SARS(重症急性呼吸器症候群)とは

国立感染症研究所:ヒトに感染するコロナウイルス

厚生労働省:新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生について

CNN.co.jp:新型コロナウイルス感染者、1700人超の可能性も 英研究

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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