中国語で「直播」とは、ライブ配信(生放送)を意味します。中国語で「zhi bo」と書いて「ジーボー」と読みます。
中国ではライブ配信人気が高まっており、中国EC業界もこの生配信を活用したライブコマース戦略を積極的に打ち出しています。
中国では年始からの新型コロナウイルス流行を受け、多くの人が自宅で長時間を過ごすようになりました。こうした環境下で、手軽に楽しめる娯楽として、ECやSNS、またそれらのプラットフォームでのライブ配信に対する注目もさらに高まりました。
この記事では、中国のライブ配信の特徴や、人気の配信アプリ、中国からのインバウンド誘致にライブ配信を取り入れた日本の事例を紹介します。
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中国ライブ配信の主要プラットフォーム3選
今、中国ではライブ配信が一大ブームです。
中国ではYouTubeやTwitterの通信を規制し、中国企業が独自のライブ配信プラットフォームを展開しています。
短時間で情報を取得できることや、その演出に魅力を感じる利用者も多く、市場規模を拡大しています。
ライブ配信専門の代表的なサービス(ウェブサイト、アプリ)を3つ紹介します。
1. YY直播(ワイワイ・ジーボー)
2012年に開設され、2015年から始まる生配信ブームの火付け訳となった配信サイトです。YY直播のユーザー数は10億人に登るともいわれており、その規模は中国最大級です。
中国の若く可愛い女性が、歌や踊りをライブ配信する「美女直播間」に人気が集まっています。
2. 一直播(イージーボ)
2016年にサービス開始しています。一般人だけでなく、多くの有名人が使用したことでサイトの知名度が高まりました。
2018年には、日本の近鉄百貨店のバレンタインチョコレート売り場を中国人女性が一直播を通じて紹介し、11万人を超える視聴者を集めました。
3. 映客直播(インクゥジーボー)
2015年に配信を開始しています。一般人でも、自分をコンテンツとしてライブ配信を行う「全民直播」という概念を生み出す先駆けとなりました。
動画の配信内容が厳しく監視されており、比較的クリーンな動画の配信が行われています。
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ECやSNSの中国定番アプリにもライブ配信機能
中国ではECやSNSなど、スマートフォンでの利用が盛んです。人気アプリにもこの数年、ライブ機能が追加されました。
1. 淘宝直播(タオバオライブ)
淘宝(タオバオ)は、中国国内で日常的に使用されているECサービスです。
中国IT大手のアリババが運営しています。Taobaoライブ中に紹介されている商品は、その画面から購入ページに遷移できます。
コンテンツを鑑賞したユーザーは、盛り上がった気持ちのまま、商品購入まで完了することになります。
この傾向は、中国国内最大のセールイベント「ダブル11」でも顕著です。
2. 小紅書(REDライブ)
小紅書は中国版Instagramとも呼ばれ、メイク、育児、旅行、料理など様々なトピックの画像や動画がシェアされています。
また、タオバオライブのように、コンテンツから同アプリ内のECに直接遷移して商品を購入できる点も大きな特徴です。
ライブ機能を使った配信は、アプリ起動後の2つ目のタブから視聴できます。
3. 抖音直播(TikTokライブ)
中国版TikTokである抖音(ドウイン)にも、ライブ機能が備わっています。
ライブ配信者が、付近にいるユーザーに対し視聴を提案する機能があります。
フレームや美肌加工などのツールが豊富です。多くのライブアプリ同様、視聴者は配信中にプレゼントを贈ることで、配信者と交流できます。
中国のライブ配信事情
「直播」とは、「ジーボー」(zhíbō)と読み、「生配信」を意味します。日本でいう、YouTube のライブ配信や、ニコニコ生放送での生配信、ツイキャスを指します。
また、配信者を「主播」(zhǔbō)と呼びます。
配信者は女性、視聴者は男性が多い
中国のインターネット上でのライブ配信者は女性が圧倒的に多いですが、視聴者は男性が多いです。
「2019年第1四半期中国モバイルライブ動画配信市場研究報告」によると、生配信サイトのユーザーのうち、61.2%は男性が占めています。
先ほど説明した通り、好きな動画投稿者に対して視聴者は「投げ銭」という形でお金をあげる行為が中国では普及しており、ファンを増やすために過激な露出をする投稿者が、一時社会問題にもなりました。
わいせつ容疑での逮捕者も出る中、当局も取り締まりを強化し、不正なアカウントの削除を行った結果、現在では動画生配信サイトは健全性を取り戻しつつあります。
2020年には1.6兆円の市場規模が期待されている
中国では、ライブ配信市場が急速に拡大しています。ライブ配信がブレイクしたのは2015年でした。
当初は「YY直播」という2012年に配信を開始したウェブサイトでのゲームの実況が主でしたが、その人気が熱を帯びるにつれ、様々なジャンルの配信が始まりました。
中国のウェブ業界はブレイクが始まると早々に多くの企業がその事業に参入します。
ライブ配信事業も例外ではなく、多くの企業が参入した激しい競争の中で、市場は拡大していきましたした。2020年にはライブ配信の市場規模は1.6兆円、視聴者5億人の大規模市になると言われています。
電子決済が普及している中国では、「投げ銭」という形で好きな動画投稿者にお金をプレゼントするシステムが一般的です。
そのため、経済的にも余裕がありトレンドにも敏感な30代前後が、ライブ配信視聴者の81.2%を占めています。
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ライブ配信のビジネス化 : ライブコマースの事例
ライブコマースとは、LIVE配信型Eコマースのことで、ライブ配信にて紹介された商品をそのままECサイトにて購入できるサービスです。
その市場規模も大きく、大手ECサイトの「淘宝(タオバオ)」が運営する「淘宝直播(タオバオライブ)」の2018年売上は、前年比400%プラスの約1兆5,000億円超を記録しています。
タオバオのライブコマースは、経験豊富な店舗実演者によるものと、インフルエンサーによるものがあります。
中国では、企業色の強い宣伝を信用しない人も多く、インフルエンサーからの紹介が購入意思決定に大きな影響を与えます。
広告費を即日回収できる:ロクトーナが手がける中国人向けライブコマースの秘訣とは?
様々なマスメディアで「
タオバオ(淘宝)とは
タオバオ(淘宝網/Taobao)とは、
ミキモトコスメティックス:春節のライブコマースで売上150万円
2018年、コスメ専門の中国インフルエンサーであるセーラームーンさんが、日本のミキモトコスメティックスの商品を約3時間ライブ配信で紹介しました。
このライブ配信の最高視聴者数は20万7,767人にも上りました。
セーラームーンさんらインフルエンサーは、自分が納得する商品しかライブ配信で紹介しないため、視聴者からの信用を集めています。
この配信では、セーラームーンさんが実際に使ってみる姿を配信することで視聴者の購買意欲を高め、売り上げ約150万円を記録しました。
近鉄百貨店:ライブ配信でチョコレートを販売
近鉄百貨店では2017年から中国へのライブ配信を開始し、2018年にはライブ配信回数を増やしました。
インフルエンサーである中国人女性を招き、一直播を通じてバレンタインチョコレートの売り場を紹介することで、11万人超もの視聴者を集めました。
「可愛い」、「自分も見に行きたい」などのコメントが寄せられるなど、中国人女性の関心を引くことに成功した事例です。
中国で人気のライブ配信で市場開拓
中国のライブ配信は独自の発展を遂げており、購買における意思決定にも大きな影響を与えます。中国人のインバウンド誘致の取り組みでは今後、ライブ配信を活用することがさらに重要となりそうです。
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