新型コロナウイルスの影響で外国人の入国規制や国内の移動自粛が行われ、観光業は今までにない打撃を受けています。そこで政府は、国内観光業の再興を目指し「Go To キャンペーン」の実施を計画しています。キャンペーンでは政府が旅行や外食、エンターテインメント消費への補助を提供し、消費喚起を狙います。
6月は渡航の正常化の可能性が見えてきましたが、まだまだ各国が国内の消費意欲の喚起に専心しています。政府だけでなく、旅行にかかわる大手企業も、宿泊施設や飲食店といった観光関連産業への支援に乗り出しています。
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エクスペディアの支援策:手数料の減額、支払期限の延長、分析データの共有
オンライン旅行予約サイトのエクスペディア・グループは6月15日、最大2億7,500万ドル(約300億円)を投じ、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた宿泊施設に対し支援を行うことを発表しました。
エクスペディアでは、掲載している宿泊施設に宿泊客から予約が入ると、宿泊施設から手数料を受け取ります。今回の支援策では、この手数料を減額します。
また宿泊客が現地で宿泊代を支払う場合は、通常30日以内にエクスペディアへ支払わなければいけない手数料を90日まで期限を伸ばします。
資金面以外にも、エクスペディア・グループによる旅行者の動向を追跡できる分析データを通して宿泊施設にデータを提供し、旅行需要の回復までの動きを把握できるようにします。
他企業も支援に動く:JTB、Airbnb、トリップアドバイザー
JTBは、観光業界のデジタル化を目指し合弁会社「グッドフェローズJTB」を設立しました。国内観光施設に向けて、以下の施策を提供することを発表しています。
- 3密による感染防止が期待できるチケットデジタル化プラットフォームサービス導入の際に必要なモバイル端末の無料提供の支援
- JTBパブリッシングが運営する「るるぶkids」への運営情報
- ニュースの無料掲載が行える情報発信支援
また、世界で民泊ホストとユーザーをつなぐAirbnbでは、新型コロナウイルスを理由とした利用予約のキャンセルを対象に、2億5,000万ドルを用意し、本来ホストが受け取る金額の25%を支払うことを発表しています。
口コミサイトのトリップアドバイザーでは、店内営業以外も行う飲食店を対象に、ページ機能を拡大し、デリバリーやテイクアウト営業のお知らせ、お食事券の販売情報を無料掲載ができるようにしています。
【26事例】コロナと闘うインバウンド事業の施策・対策を総まとめ:HIS「変なホテル」感染リスク軽減プラン提供開始 ほか
新型コロナウイルスの感染防止対策として、海外から日本への渡航が大きく制限されており、インバウンド業界は大きな打撃を受けています。苦しい状況の中、インバウンド業界の企業は生き残るために、そして「ウィズコロナ」時代の社会に貢献するために何に取り組んでいるのでしょうか。以下では、主要な事例を施策ごとに分類し、一覧としてまとめます。関連記事【ポストコロナのインバウンド戦略】「回復準備期」の今こそ、普段手つかずの誘客策に着手を:萩本良秀【東アジア】インバウンドV字回復の鍵は中国か:JNTO「反転攻勢...
今後の旅行業界は?リスク分散や、3密回避の観光形態が模索されていく
日本国内の新型コロナウイルスの感染拡大は落ち着き始めているものの、2月からの全国のコロナ関連破綻は6月16日時点で250件に達し、依然として厳しい状況が続いています。
その一方で、旅行業界向け多言語AIサービスとホテル予約システムを展開するtriplaが実施した「新型コロナウイルス影響調査」によると、宿泊施設の空室検索数、宿泊予約件数、実際の宿泊件数は回復傾向にあります。
Go Toトラベル事業を含む「Go To キャンペーン」の展開により、今後の観光市場だけでなく消費喚起も広がりを見せていくでしょう。
コロナ禍では、一市場偏重がもたらすリスクの大きさを感じた事業者は少なくありません。これまでのインバウンド市場の成長は、中国人観光客が牽引してきました。2019年のインバウンド市場では、訪日外客数の4分の1、訪日外国人消費額の3分の1を中国市場が占めています。今回のコロナ禍により、国内市場、海外市場問わず、特定の市場に偏重することのリスクが大きく意識されたといえるでしょう。
また観光の様式も、新型コロナウイルスの感染リスクを低減させたい心理から、変わってくると考えられます。これまでのような人が集まる商業施設や屋内施設では、人数制限などの工夫が必要になってくるでしょう。
反対に、地方やアウトドア体験は、低リスクな観光ができるとして今後人気を博していくと考えられます。インバウンド市場でも、こうしたトレンドを踏まえた視点から、魅力を訴求しいていくべきでしょう。
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<参照>
PRTIMES:エクスペディア・グループが旅行業界支援策に最大300億円を投入
朝日新聞デジタル:エクスペディア、日本観光を支援 「地方に勝機」
PRTIMES:観光施設のデジタルトランスフォーメーション実現を支援する 合弁会社「グッドフェローズJTB」を設立
Airbnbリソースセンター:キャンセルの影響を受けたホストの方々を支援するため2億5000万ドルを用意
株式会社東京商工リサーチ:「新型コロナウイルス」関連破たん状況【6月16日17:00 現在】
PRTIMES:旅行業界の回復に向けた取り組み
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短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
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この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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