台湾市場は地方に商機?訪日旅行で「自然が多い場所」に行きたい人が83%:アフターコロナで訪日台湾人が求めるものとは

公開日:2020年07月03日

台湾にて訪日旅行メディアサイト「トラベルバー(旅行酒吧)」を運営しているBEENOS Travel株式会社は、2020年6月5日から6月25日にかけて同サイトの台湾人会員1,538名を対象に、訪日旅行に関する調査を実施しました。

台湾国内では既に2か月以上にわたり新型コロナウイルスの感染者が確認されておらず、6月からは段階的に新型コロナウイルスの感染拡大予防措置を解除し、国内旅行を再興させる取り組みが政府主導で実施されています。

一方、現在でも新型コロナウイルスの世界的流行は収束しておらず、日本をはじめとする多くの国が観光目的の外国人の入国を規制しており、台湾国内は安全でも海外旅行は難しい日々が続いています。

このような状況下で実施された調査では、旅行好きな台湾人の国民性が改めて浮き彫りになりました。今回は調査結果を基に、アフターコロナにおける訪日台湾人の動向を予測します。


回答者の41%が「すぐにでも日本に行きたい」

▲[訪日旅行をしたいタイミング]:Beenos Travel株式会社 調査結果より
▲[訪日旅行をしたいタイミング]:Beenos Travel株式会社 調査結果より

「訪日旅行をしたいタイミングはいつ頃ですか」という質問には、41%の回答者が「台湾、日本の入国制限が解除されたらすぐ」と答えました。また、6%の回答者が「2020年9月から12月には訪日旅行を再開したい」と答えました。

これらを合計すると、もし年内に日本の入国制限が解除された場合、全体の約半数の台湾人旅行者が日本を訪れる見込みとなります。

しかし、台湾では10月から段階的に観光客に対する入国制限を解除する計画が検討されているものの、日本は未だ観光客を受け入れる見通しの立たない状況にあります。そのため、実際に訪日台湾人市場が回復するのは早くとも来年以降と見据えておいた方が安全だともいえます。

また、20%の回答者が「治療薬やワクチンができてから」と答えたことにも注目が必要です。この層は入国制限が緩和されても、新型コロナウイルスの治療方法が確立されるまで海外旅行を再開させない可能性があります。

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既に活性化されつつある台湾の国内旅行市場

▲[台湾での国内旅行の有無]:Beenos Travel株式会社 調査結果より
▲[台湾での国内旅行の有無]:Beenos Travel株式会社 調査結果より

「台湾で国内旅行はしていますか」という質問には、60%の回答者が「はい」と答えました。

冒頭に記したように、台湾では既に2か月以上にわたり新型コロナウイルスの感染者が確認されておらず、多くの台湾人が国内は安全であるという認識を持っています。

そのため、今年は海外旅行に行けない代わりに国内旅行を楽しもうという風潮が現れており、政府や各事業者による国内旅行の補助も活発に実施されています。

旅行好きな国民性であることも追い風となり、例えば台湾島と離島の澎湖を結ぶ国内線では、旅客需要の大幅な増加により月間5万席分の増便を迫られています。

旅先を選ぶ基準は「コロナ対策の有無」

▲[次回の訪日旅行の目的地を選ぶ際の判断基準]:Beenos Travel株式会社 調査結果より
▲[次回の訪日旅行の目的地を選ぶ際の判断基準]:Beenos Travel株式会社 調査結果より

先述の通り、入国制限が解除されればすぐにでも日本を訪れたいと考えている台湾人が全体の4割を占めている一方、「次回の訪日旅行時の目的地を選ぶ際に判断基準となるものを教えてください」という質問には、44%の回答者が「コロナ対策の有無」と答えました。

アフターコロナの訪日旅行で新型コロナウイルス対策を気にかけるのは万国共通の考えであるため、台湾人以外をターゲットとしているインバウンド事業者にも新型コロナウイルス対策は必須の課題となるでしょう。

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マスクの着用や消毒などが求められる

▲[どのようなコロナ対策がされていれば安心か]:Beenos Travel株式会社 調査結果より
▲[どのようなコロナ対策がされていれば安心か]:Beenos Travel株式会社 調査結果より

「どのようなコロナ対策がされていれば安心ですか」という質問では、88%の回答者が「マスク着用必須」、71%の回答者が「入店/退店の消毒」、63%の回答者が「ソーシャルディスタンスの保持」、61%の回答者が「検温」と答えました。

新型コロナウイルスの流行以降、台湾では鉄道やバスなどの公共交通機関に乗車する際に必ずマスクの着用が求められるようになりました。また、レストランでは店頭に消毒液を設置したり、コンビニではレジ前をテープで区切ることでソーシャルディスタンスを確保したり、学校や会社では入口で検温を実施するなど、回答で挙げられた各種の対策は日常的に実施されています。

台湾ではこれらの新型コロナウイルス対策はもはや生活の一部となっているため、新型コロナウイルス対策を実施している事業者が優れているのではなく、新型コロナウイルス対策を実施していない事業者が遅れていると受け取られる可能性もあります。

そのため、入国制限解除後に訪日観光客の受け入れを再開する際は、いかに新型コロナウイルス対策を実施するかが集客の大きな鍵となります。

次の訪日旅行で行きたい場所は「自然が多い場所」

▲[次の訪日で行きたい場所]:Beenos Travel株式会社 調査結果より
▲[次の訪日で行きたい場所]:Beenos Travel株式会社 調査結果より

「次の訪日で行きたい場所はどこですか」という質問には、83%の回答者が「自然が多い場所」と答えました。

混雑していない場所が旅行先を選ぶ際の判断基準として重要視されていることと合わせて考えると、地方などの自然が多い環境で訪日外国人を迎え入れるようなインバウンド事業者に商機が巡ってきたとも捉えられます。

「地方都市」の回答者数が「大都市」を上回っていることからも、ゴールデンルートを外れた地域でのインバウンド誘致やグリーンツーリズムに今後は期待ができそうです。

一方、大都市におけるインバウンド事業はいかに新型コロナウイルスのリスクを排除できるかが継続の鍵となるでしょう。

自然が多い場所に訪日外国人が行く理由

初めて日本を訪れる外国人観光客は多くの場合、東京や大阪などのいわゆる「ゴールデンルート」を楽しみます。

その後、2回目や3回目の訪日旅行ではそれぞれの趣味嗜好に合わせ、郊外ならではのアクティビティを楽しんだり、より昔ながらの日本文化を体験できる地方都市に赴く訪日外国人が見受けられます。

郊外や山間部などの自然が多い場所は、スキーや海水浴などの季節ならではのアクティビティを楽しみたい訪日外国人に選ばれるほか、特に訪日中国人は洗肺と称し、自然の豊かな環境に新鮮な空気を吸いに行く風潮が沸き起こっています。「洗肺」では農村の民宿に泊まり、その地の食材を使った料理を楽しんだり山登りや魚釣りなどの戸外活動を楽しみます。

このように、日本の昔ながらの生活と新鮮な空気を一度に味わえることが、自然が多い場所に訪日外国人が行く理由のひとつとなっています。

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また、「自然が多い場所」に行きたいと回答した人が83%だったことから、自然の多い地方の観光地は台湾人の誘致に有利だといえます。

2020年中に訪日外国人観光客が復活するかすらも分からない状況が続いていますが、この期間を活用してインバウンドの再開に備えた環境整備を終えられるかどうかが、インバウンド再開後の明暗を分けることになります。多言語対応旅マエのプロモーションなど、一般的な準備はもちろんのこと、消毒の徹底やソーシャルディスタンスの確保など、アフターコロナだからこそ求められる要素は何かを検討し、対策を講じた上でインバウンドの回復を待つことが重要だといえるでしょう。

<参照資料>

BEENOS Travel プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000135.000035599.html

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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