『ポストコロナのインバウンド戦略』では、コロナ禍において、業界の「中の人」に聞くサバイバル術として最前線に立つ方々に特別寄稿いただきます。
今回の寄稿者は、日本アドベンチャーツーリズム協議会理事を勤める山下 真輝氏です。
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世界で注目されるアドベンチャーツーリズム(AT)とは
早期回復、さらなる拡大の期待がかかるAT市場
Adventure Travel Trade Association(以下、ATTA)が定めるATの定義は、「自然とのふれあい/Interaction with Nature」「文化交流/Cultural Exchange」「フィジカルなアクティビティ/Physical Activities」の3つの要素のうち2つ以上が主目的である旅行形態としています。
今回のパンデミックは、世界中の旅行者が、「旅行の価値観」を大きく変えることになったといえます。
その中で象徴的なのが、「少人数」、「都市から離れた場所への旅行」、「自然の中を楽しむ旅行」という志向の高まりであり、ATが世界的にツーリズム市場を牽引するとことが期待されています。
ATTAの試算によると、ATの市場規模は2012年で2,630億米ドル(約27兆8千円)から2017年には6,830億米ドル(約72兆2千億円)、平均成長率21%で拡大しています。
今後afterコロナにおいても、早期回復、さらなる拡大が期待されている市場といえます。
![▲[アドベンチャートラベルの3要素の関係性と目的]:ATTAの考え方をもとにJTB総合研究所作成 ▲[アドベンチャートラベルの3要素の関係性と目的]:ATTAの考え方をもとにJTB総合研究所作成](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7843/main_47f1d3e4347f99f845b069d46efbd1fa.png?auto=format)
単なるアウトドア体験ではない本物のATとは
以下はAT旅行商品に盛り込まれている体験事例ですが、慌ただしい名所旧跡旅行ではなく、1~2週間かけてじっくりその土地を歩き、自然体験や食文化体験を通じて、五感で地域ストーリーを感じる旅行スタイルです。
単なるアウトドア体験だけではなく、旅行先の豊かな自然資源や歴史文化を体感し、その土地の生活者との交流を通じて、様々なことを学ぶ旅であるともいえます。

ATは単に車で効率よく移動するものではありません。
人間が自らの力を使って移動・体験するハイキング、トレッキング、サイクリング、ラフティング、カヤッキングなどは、重要な要素となります。
その土地の自然の豊かさを感じながら移動したり、自然の生態系や歴史文化を自らが体験したりするための手段でもあるのです。
アクティビティは、特にスキルがなくても参加できる「ソフト・アドベンチャー」、かなりのスキルがなければ参加できない「ハード・アドベンチャー」、そして特定の目的のための「専門的アドベンチャー」に分けることができます。
またサイクリングやカヤッキングなどは場所等によっては、ソフトにもハードにもなり得るアクティビティといえます。

ATの考え方の中で大事な点は、地域の中小事業者と地域住民に、経済・社会的な観点でのサスティナブルな効果を残せることや、同時にその効果が地域の自然や文化を保護・活性化することに貢献していることを重要な要素として位置づけていることです。
我が国が観光立国の推進にむけてATに取り組む意義はいろいろとありますが、以下の3点において重要だと考えています。
1つ目は、「地方にこそ要素が揃う」という点、2つ目は「資源活用と持続可能性の両立を目指す」という点、そして3つ目は、「ローカル経済を重視していく」という点です。
新型コロナウィルス発生前の日本におけるツーリズムの実態は、一部の地域に外国人旅行者が集中し、オーバーツーリズムが社会課題となっていました。
これからの観光振興は、自然・文化資源、そして地域を大事にしながらも、観光を通じて地域資源を経済価値に結び付けることが重要で、観光客数の「量」の観光から自然・文化の保全や地域の発展などの「質」の観光への転換を目指す必要があり、ATが目指す持続可能なデスティネーションのあり方は、まさにわが国のこれから目指す観光立国の姿と言えます。
次世代の旅行者が求めるアドベンチャーツーリズム、日本での可能性と期待
欧米中心に発展してきた“ADVENTURE TRAVEL”とは、単なる“冒険旅行”という意味ではないと考えています。
日本国内においては、アウトドア・アクティビティを楽しむ旅行というイメージを持たれていますが、ここでの“ADVENTURE”は、「冒険する」ということではなく、「自然や地域の文化に向き合い、自分の人生を豊かにする上質な時間を過ごす」という意味合いに近いと言えるのではないかと考えています。
この続きから読める内容
- (一社)日本アドベンチャーツーリズム協議会(JATO)について
- ウェビナー開催情報
- 著者プロフィール
- 緊急企画『ポストコロナのインバウンド戦略』寄稿募集
- 日本の魅力ある商品を在日外国人インフルエンサーとつなげるマッチングプラットフォーム「trial JAPAN」
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