米フィンテック・スタートアップ企業のレミトリーが行った「移住したい国人気ランキング」で、アメリカやカナダ、オーストラリアなどで「日本」が1位となりました。
日本のインバウンド戦略において、日本への移住は重要な意味を持っています。
本記事では、移住促進の重要性や、その一環としてのワーキングホリデーの取り組み、そしてコロナ禍のいま何をすべきか考察します。
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日本が「移住したい国1位」に:アメリカ・カナダ・オーストラリアで
米フィンテック・スタートアップ企業のレミトリーが、世界の「移住したい国人気ランキング」を調査しました。
これは世界101か国の月ごとの検索データをもとに、海外移住に関連したフレーズと、目的地となる国を分析したものです。
その結果、カナダをはじめ、アメリカ、オーストラリア、ジョージア、モンテネグロなどで「日本」が1位となりました。
全体のランキングでも、カナダに続き日本が2位となっています。
レミトリーは日本の人気の理由について、景色の美しさや治安の良さ、仕事の多さ、生活の質の良さなどが評判であることを挙げています。
インバウンドにおける移住促進の重要性
近年インバウンド観光客が増加し、地域の交流人口の増加が期待されてきました。
一方で、インバウンドの誘致は広義でとらえると、日本の関係人口、定住人口を増やすということも含まれます。
日本のインバウンドにおける移住促進の重要性についてみていきます。
交流人口、関係人口、定住人口とは?
まず、交流人口、関係人口、定住人口それぞれの用語の定義について整理します。
「定住人口」とは、その地域に住んでいる人の数で、「交流人口」は観光客などその地域を訪れる人口を指します。
そして「関係人口」とは、定住人口でも交流人口でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々を指します。
関係人口は地域への活動への継続的な参加を通して、その地域の活性化や地域のブランディングに寄与します。
関係人口になるきっかけとしては、過去にその地域で住んだり働いたりして縁があり、その後も関係性を保ち続けるケースや、観光で訪れて気に入り、何度も来訪するケースなどが挙げられます。
特に人口減少や高齢化が進む地方圏では、地域外の人材が関係人口として地域づくりの担い手となることが期待されています。
「2040年の日本終了」シナリオを避けるために。それでも東京五輪を開催すべき理由
近頃複数のメディアにて、世界的に有名な投資家であるジム・ロジャーズ氏が日本経済に警鐘を鳴らしており、このままでは20年後に日本経済が破綻する危険性があるといった旨を報じていました。記事の趣旨としては、こうした日本経済の危機を防ぐためにはまず「少子化対策」と「移民政策」を優先すべきであり、五輪が開催されるかどうかだけに目を向けるべきではない、といったものでした。現在、新型コロナウイルスの感染拡大によって2020年の東京オリンピックは延期となり、来年も開催できるかどうかが不安視されている状況に...
訪日外国人増加による交流人口・関係人口の増加を定住人口の増加につなげる
観光業は、「交流人口」ひいては「関係人口」を増やす取り組みともいえます。
インバウンド客の増加は、地域の交流人口、関係人口の増加、地域経済の活性化のきっかけになると期待されてきました。
その背景として、インバウンド客による消費額の大きさと、リピーターの多さが挙げられます。
2019年の訪日外国人全体の旅行消費額は4兆8,135億円と推計され、外国人1人あたり旅行支出は15万8,531円となっています。
訪日外国人旅行者の61.4%が、訪日回数2回目以上のリピーターであり、訪日回数の増加とともに1人あたり旅行支出が高くなる傾向も見られています。
関係人口には、観光で訪れたことがきっかけでその地域を気に入り、再び来訪する機会の多い観光リピーターなど「観光以上・定住未満」の人々も含まれます。
こういった人たちを増やせるような、地域の魅力づくりや発信を行っていくことが、観光業の役割であり、それが最終的に定住人口の増加につながる可能性もあります。
観光客などの交流人口の場合、観光客として滞在するのは数日から数週間程度のため、お金を消費する期間も限られます。
しかし移住して定住人口となれば、滞在期間の縛りがなくなり、長期間にわたって地域経済に寄与することが期待できるでしょう。
なぜ地方創生にインバウンドが重要なのか?交流人口から考える訪日客地方誘致の重要性
2017年7月19日の観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、2017年前半期のインバウンド消費額は史上初めて 2兆円 を突破しました。また、2017年に入ってからも 7カ月連続で前年を上回る訪日外国人観光客数を記録 しており、日本国内で「インバウンド誘致」はホットなキーワードになっています。加えて、インバウンド誘致は地方の過疎化・人口減少など 日本の抱える諸問題を解決する手立てとしても注目を集めています。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが...
関係人口、定住人口獲得の為の「ワーキングホリデー」の取り組み
関係人口、定住人口を獲得するための取り組みの一つとして「ワーキングホリデー」が挙げられます。
ワーキングホリデーに積極的に取り組んでいるオーストラリアの事例と共に紹介します。
ワーキングホリデー誘致に積極的に取り組むオーストラリア
ワーキングホリデーとは、ワーキングホリデー協定を結んだ国に1〜2年の滞在許可が下り、その間に就労や旅行、就学などの生活ができる制度です。
日本では、1980年にオーストラリアとの間でワーキングホリデー制度が開始されて以来、26か国・地域との間で導入されています。
日本のワーキングホリデービザを取得する相手国・地域の青少年は、合計で年間1万5千人にのぼります。
ワーキングホリデーに積極的に取り組んでいる国としてオーストラリアが挙げられ、オーストラリア政府公式キャンペーンでは、若者に向けて「オーストラリア社(Australia.inc)」でのワーキングホリデーをPRしています。
ワーキングホリデーの詳細の案内のほか、ワーキングホリデー参加へのモチベーションを高める動画や、オーストラリア社のCEOからのメッセージ動画なども公開しています。
YouTube:Australia Inc. The best workplace in the world.
ワーキングホリデーのメリット
ワーキングホリデーが定住人口獲得に効果が期待される理由はいくつかあり、将来的に日本と移住者の自国との架け橋になってくれることが期待されています。
まず、ワーキングホリデーのビザは就労ビザとは異なるため、帰国後に再度来日して就労ビザで日本に就労することも可能であり、将来日本経済をけん引する人材となる可能性があります。
またワーキングホリデー中の自身の生活や、日本について知ったことをSNS等を通じて自国に発信することで、日本から自国への広報役を担ってくれることも期待されます。
さらに、インバウンド観光客を言語面でサポートしてくれるといった、仕事面での活躍も期待できます。
そのほか、ワーキングホリデー中に自国から友人や家族が訪問してくることも多く、VFR(Visiting Friends and Relatives)への需要喚起の効果も期待できるでしょう。
最近話題の「VFR=知人・家族訪問」訪日客4,000万人誘致の鍵に?
訪日外国人の旅行目的はまちまちです。観光をしに訪日する人もいれば、出張や研修などビジネス目的で訪日する外国人もいます。中には日本で働いでいる、もしくは勉強している知人や親族に会うことを目的に訪日している外国人も存在しています。こうした人たちは、旅行業界ではVFRと呼ばれています。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談してみる目次VFRとは?:Visiting Friends ...
「コロナ収束後の友人・家族の再会」需要を掴めるか:渡航制限解除後の「VFR」向けの対策とは
新型コロナウイルス感染拡大はいまだ収束のめどが立たず、訪日外国人観光客の渡航制限は続いています。しかし渡航制限が解除されたとしても、訪日外客数がすぐに2019年並みの水準に戻るわけではないでしょう。渡航制限解除後のインバウンド需要が戻る順番を展望した時、まずはじめに戻るのが個人旅行(FIT)、特に「VFR」と呼ばれる「友人・親族訪問を目的とした旅行」の戻りが早いとされています。本記事では、今後のインバウンド対策を検討する上で注目されるVFRとはなにか、そしてVFRの需要を掴むために必要な対...
地方の定住人口増加に向けたワーキングホリデー誘致の意義
ワーキングホリデーは、日本での生活を実際に体験できる良い期間となり、定住人口の増加につながる可能性があります。
全く見知らぬ土地にいきなり移住することは難しく、まずはワーキングホリデーでその地域のことや、そこでの暮らしを知ることが、移住に向けた良い準備期間となるはずです。
さらに地域で仕事をすることで、仕事仲間との交流が生まれて自分の居場所を作れるため、地域住民とのコミュニティ形成にも、ワーキングホリデーは寄与すると考えられます。
海外からの移住者が増えることによって、地域トラブルなどの懸念を示す住民もいると考えられ、定住人口を増やすためには地域住民の理解を得ることも欠かせません。
そのためにも、地域で実際に働き、一時的に現地住民と生活を共にするワーキングホリデーは役に立つでしょう。
今こそ、定住人口獲得に向けた施策検討を
入管法改正により、海外からの移住者は今後も増加すると考えられます。こうした潮流の中で、移住者とのトラブルや軋轢を避けるためには、互いを知るための交流が必要となります。
そして地域の一人ひとりがインバウンド需要の獲得の重要性を認識すべき時でもあります。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、観光客を受け入れるためのゲートが開くまでには、まだ相当の時間がかかることが予想されます。
いずれ観光客が戻ってくるその時に備えた観光客の誘致の準備も進めながら、定住人口獲得という長期的視点の施策も検討していくべきではないでしょうか。
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<参照>
ニューズウィーク日本版:世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...
自治体ポータル:「観光人口」のその先にある「関係人口」~新たな時代の「地方創生」を考える~
観光庁:訪日外国人消費動向調査2019年年間値(確報)~訪日外国人旅行消費額4兆8,135億円~
観光庁:平成29年訪日外国人消費動向調査【トピックス分析】訪日外国人旅行者の訪日回数と消費動向の関係について~韓・台・香・中の訪日回数の多いリピーターは1人当たり旅行支出が高い~
外務省:ワーキング・ホリデー制度
Think Leopalace:インバウンド需要で注目されるVFRとは?友人・親族への訪問による集客効果
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今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
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