ベジタリアンとは?ヴィーガンとの違いや飲食店の対応事例を紹介

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近年よく耳にするようになった「ベジタリアン」という言葉。肉や魚を食べず、野菜だけを食べる人というイメージをもたれがちですが、ベジタリアンにもさまざまな分類があります。

世界のベジタリアン人口は増えている一方、日本でベジタリアン対応しているお店はまだ一般的ではありません。ベジタリアンの訪日観光客も増えているいま、ベジタリアンの意味や背景を理解し、相手に応じたサービスを提供することがインバウンド対策にもなります。

本記事はそもそもベジタリアンとはなにか、そしてどのように対応すればよいのかを解説します。

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1. ベジタリアンとは

ベジタリアンとは、広義では肉や魚介類などの「動物性の食品」を口にせず、野菜や豆類を中心とした「植物性の食品」を中心に食べる人のことをいいます。

  • 動物性の食品:肉(ソーセージ、ハム、ベーコン、サラミなどの加工肉も含む)、魚(魚卵、貝、エビ、カニ、イカなどや、かまぼこなどの加工品も含む)、卵、乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト、アイスクリームなど)etc.
  • 植物性の食品:穀物(米、雑穀、麦)、野菜、豆、ナッツ、フルーツ、キノコ、海藻 etc.

日本ベジタリアン協会によれば、ベジタリアンの語源は「健全な、新鮮な、元気のある」という意味のラテン語「vegetus」に由来するそうです。日本では「菜食主義者」とも呼ばれます。

19世紀にイギリスのマンチェスター聖書教会の会員らによる、植物性食品を中心とした食生活をする運動をきっかけに世界中に広がっていきました。

1-1. ベジタリアンの種類

ベジタリアンは基本的に肉や魚介類は食べませんが、卵や乳製品を食べるかどうかは人により異なります。食べるものによって次のように分類されることがあります。


植物性食品 乳製品

ラクトベジタリアン

×


オボベジタリアン



×

ラクトオボベジタリアン




ほかにも植物性食品・卵・乳製品にくわえて魚介類を食べる「ペスコベジタリアン」や、鶏肉を食べる「ポーヨーベジタリアン」などもあります。しかしこれらは、ベジタリアンを推進する国際的組織「国際ベジタリアン連合」には、ベジタリアンとして認められていません。

1-2. ヴィーガンとの違い

混同されることが多いベジタリアンとヴィーガン。食べるものによって区別されます。ベジタリアンは前述のとおりさまざまな種類に分類され、なかには、卵や乳製品などの動物性食品を食べるベジタリアンも存在します。

一方のヴィーガンは、動物性の食品はまったく食べない「完全菜食主義者」で、その特性から“ピュア・ベジタリアン”と呼ばれることもあります。背景にあるのは動物愛護の考え方。ヴィーガンは肉や魚を食べるのをやめることで、動物を人間の都合で傷つけないこと、いわゆる動物愛護を目的としています。

食べ物だけでなく、衣服やコスメなど日常生活でつかう製品も動物由来のものをつかわない人もおり、「エシカル・ヴィーガン」と呼ばれています。

2. なぜ?ベジタリアンになる理由

動物愛護の観点でヴィーガンを選ぶのに対し、ベジタリアンの人々はどのようなきっかけでベジタリアン生活を送るのでしょうか。その理由として次の4つが挙げられます。

2-1. 宗教上の理由

世界にはヒンドゥー教やイスラム教のように菜食主義を奨励する宗教があります。ヒンドゥー教では、牛は神聖なものとされているため食べられません。

またイスラム教では豚肉を食べることが禁止されているなど、宗教上の理由によってベジタリアンになる人もいます。

関連記事:ヒンドゥー教徒の食事 | 食材の制限やタブー・調理と接客で気を付けるべきこと/飲食店のインバウンド対策
関連記事:イスラム教徒は牛肉を食べられない?食べてはいけないもの・食べてよいハラールフードの違い

2-2. 健康上の理由

健康に良いからという理由でベジタリアンを選ぶ人もいます。ベジタリアンの食生活は、がんや高血圧などの生活習慣病だけでなく、認知症などの病気の発生リスクを下げるという研究結果もでているそうです。

健康意識の高さからベジタリアンに着目し、ベジタリアン生活を選択する人もいます。

2-3. 動物愛護のため

人間の栄養や食事のために動物を屠殺することは、動物愛護の考えに反すると考えてベジタリアンになる人もいます。

畜産動物に強制的に給餌したり、狭いスペースで飼育したり、劣悪な飼育環境が問題になっていることを背景に、肉食に反対する人も増えています。

2-4. 環境保護のため

畜産業は環境破壊につながるさまざまな要因をもつことがわかっています。たとえば大量の二酸化炭素やメタンガスの排出、放牧のための森林伐採、糞尿の不適切処理による水源汚染など。

世界的にSDGsへの取り組みが進むなかで、肉の消費を控えることは環境保護への対策のひとつと考えてベジタリアンになる人もいます。

3. ベジタリアンのメリット・デメリット

近年ベジタリアンになる人が増えていますが、ベジタリアンになるとどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

3-1. メリット

植物性食品は動物性食品にくらべて消化にかかる時間が短いため、体への負担が少なくなります。その結果、腸内環境が悪化するのを防ぎ、大腸がんなどのリスクを軽減するといわれています。

植物性食品は食物繊維が豊富なため、便秘改善や悪玉コレステロールの減少、ダイエット効果など健康上のメリットが期待できるといわれています。生活面でも、肉や魚にくらべて野菜は安く手に入ることが多いため経済的です。

また自分自身だけでなく、地球環境にもメリットがあります。動物を育てるためには大量の水や穀物を消費するだけでなく、温室効果ガスを排出するなどなど環境への負荷が大きくかかります。肉の消費量をおさえることは、地球を守ることにつながるという見方もあります。

3-2. デメリット

野菜や豆類をはじめとする植物性食品は、一般的には肉や魚よりも安く手に入ります。一方で、食材にこだわりすぎると食費が高くなるというデメリットも。

また植物性食品をメインとした食生活を続けていると、栄養素が不足して体調に影響が出ることがあります。たとえばタンパク質や亜鉛が不足しやすく、筋力や免疫力の低下を引き起こす可能性があるとのこと。植物性の食品に含まれない栄養素は、サプリなどで補っているベジタリアンが多いようです。

これからベジタリアン生活をはじめたいと考えている方は、まずは自分の身体の調子をみながら少しずつ生活にベジタリアンスタイルを取り入れていくことが大切です。

4. ベジタリアン人口について

観光庁が発表した統計によれば、世界のベジタリアンなどの人口は欧米諸国を中心に毎年1%近く増加。2018年には世界で約6.3億人がベジタリアンなどであることがわかっています。

なかでも約145万〜190万人のベジタリアンが訪日していて、これは全訪日旅行者(約3,119万人)の約4.6~6.1%にあたります。訪日ベジタリアンの年間飲食費は450〜600億円規模と推計されており、2023年現在はさらに増加していることが考えられます。

なかでもベジタリアンなどの旅行者が多いのは台湾や中国、韓国などの東アジア。ついでアメリカやオーストラリア、イギリスなどが占めています。

飲食 ベジタリアン ヴィーガン 対応
▲出典:『飲食事業者等におけるベジタリアン・ヴィーガン対応ガイド』(観光庁)(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001335459.pdf)の8頁を抜粋

観光庁の調査によれば、訪日旅行客の4割が「旅行先を決めるときにベジタリアンなどレストランの有無が重要」と答えています。こうした結果をふまえても、インバウンド客を取り込むためには、ベジタリアンに対応したメニューの導入が必須といえるでしょう。

5. ベジタリアン事例

ベジタリアンへの対応を行い、インバウンド客の取り込みに成果をあげている事例を紹介します。インバウンド対策の参考にしてみてください。

5-1. 味噌煮込みうどん山本屋(愛知県名古屋市)

山本屋は味噌煮込みうどんが看板メニューの老舗。ベジタリアンやヴィーガンが食べられるメニューを展開していて、特筆すべきはメニューへの表記方法です。

一般客にも違和感なく受け入れられるように「ベジタリアンに対応」などと表記するのではなく、「動物性素材不使用」「旨味調味料不使用」などと表記。ベジタリアンはもちろん、一般客でもオーダーしやすい工夫を施しています。

またムスリムポリシー・ヴィーガンポリシーを用意。スタッフが間違いなく対応できるようにすることで、来店客が安心して食べられるようにしています。

▲出典:「『食の多様性』対応とサスティナブルツーリズム」セミナーより

5-2. 熊本県人吉球磨地域事例

熊本県の人吉球磨(ひとよしくま)地域では、インバウンド事業の取り組みのひとつに「食の多様性対応」があります。

食の多様性対応について関連事業者を対象にした知識向上セミナーや、地産地消のヴィーガンメニュー開発、事業者向け試食会などを実施。

その結果、ベジタリアン、ヴィーガン、ムスリム訪日外国人からの予約が入っているそう。地域や地方自治体が一体となり、インバウンド需要を獲得する取り組みとしての成功事例といえます。

▲出典:「『食の多様性』対応とサスティナブルツーリズム」セミナーより

関連記事:サスティナブルツーリズムと「食の多様性」対応とは?飲食店・観光地域づくりの事例を紹介【セミナーレポート】

6. まとめ

宗教上の理由だけでなく、健康や環境保護の観点から、世界的にベジタリアンを取り入れる人が急激に増加しています。訪日旅行客数も戻りつつあるいま、インバウンド需要を獲得できるかどうかは、ベジタリアンなどの食の多様性への対応ができているかが大きなポイントです。

この記事を参考にベジタリアンについて学び、取り入れてみてはいかがでしょうか。ベジタリアンをはじめインバウンド対策についてさらに学びたい方は、訪日ラボ監修の「インバウンド対策の教科書」をご覧になってみてください。誰でも無料でダウンロードできます。

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訪日ラボ編集部

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