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マンションや空き部屋を訪日外国人観光客などに貸し出す「民泊」。その法的規制をめぐって、東京都の弁護士 石原一樹氏が3月9日に大阪市を相手取り提訴を起こしました。石原氏は、12月6日に東京都江東区を同様の案件で提訴しており、民泊新法の成立間際に波紋が広まります。

これまでの民泊はグレーゾーンだった

昨年より議論が活発化し、今期国会に提出された「民泊新法(住宅宿泊事業法)」。今まで宿泊関連のルールを定めていた旅館業法は、現在のいわゆる「民泊」の形式を想定していなかったために、民泊新法の議論が活発化するまでは、民泊は謂わばグレーゾーンの状態になっていました。

民泊特区制度:特例的に旅館業法の適用を受けずに民泊を営業できる制度

業として「民泊」をするのであれば、旅館業法に適法なかたちでの営業をしなければならないものの、その規制は民泊の実務に合っていないものでした。そこで政府は2016年1月に東京都大田区で、4月には大阪府で「民泊特区制度」を開始します。

しかしながら、この民泊特区制度は、滞在期間が6泊7日以上という制限があり、それよりも少ない宿泊の多い民泊においては、ほとんど活用がなされず、大田区でも大阪府でも認定件数は極わずかなものでした。そこで、民泊特区制度の活用促進のため、2016年10月に、最低宿泊日数が6泊7日から2泊3日以上に緩和されました。

 

東京都の弁護士、民泊規制をめぐり大阪市・東京都江東区を提訴

今年3月9日、東京都の石原一樹弁護士が、民泊規制をめぐり大阪市を提訴しました。訴訟は、民泊をするにあたって、旅館業法に基づき大阪市長の許可を受ける義務がないことを確認するものです。石原氏は、昨年12月6日にも東京都江東区を相手取り、同様の提訴をしています。

民泊に関する規制の合理性に疑問

石原氏は、大阪市、および東京都江東区にて所有するマンションで民泊を行う予定でした。その準備にあたり、民泊に関連する法律・制度を調べるうちに、旅館業法による規制を受けることに関して合理性に疑問をいだき、提訴に乗り出しました。

旅館業法が制定された当時は、公衆衛生の安全面について厳しい規制をする必要があったものの、現在の状況においては、一般の住宅にも浴槽や水洗トイレが普及しており、同法が目的とする公衆衛生は一般住宅でも確保できていると指摘。さらに、旅館業法は「ホテル営業」「旅館営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」の4業態が規制の対象となっていますが、この内の「簡易宿所営業」として民泊を規制するのは拡大解釈だとしています。

原告代理人の藤原大輔弁護士は、江東区での訴訟の際に

「民泊だけでなく、規制をかける行政に対して、本当に『そういう法律でいいのか』『そういう法律の解釈でいいのか」と、全般的に問うことになる」「規制立法のあり方や、解釈の見直しのきっかけになれば」と今回の訴訟の意義を語っていた。―弁護士ドットコムNEWS「「規制が適用されない民泊があるのではないか」弁護士が確認求めて提訴…全国初」より引用

とコメントしています。

まとめ:民泊新法施行までの民泊のあり方が変わるかも?

訪日ラボでも以前取り上げたように、民泊新法が先日3月10日に閣議決定され、今期国会での成立を目指しています。早ければ来年2018年1月に施行される見通しですが、逆に言えばそれまでの間は「今の制度の民泊」が続くとも言えます。

その状況のなかで、今回ご紹介した提訴は、民泊のあり方について問うものであり、その動向が注目されます。また、民泊に限らず、現在インバウンド市場の拡大により、日本の制度や法律、体制が大きく変わろうとしています。「観光立国」を目指すなかで、あらゆる場面で民泊のような”ねじれ”が発生しうるものと思われ、そういった意味でも、今回の訴訟や民泊新法の動向については要注目です。

<参照>

 

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