ビッグデータからリアルタイムでインバウンドの動きを可視化するシステムがすごい 国立情報学研究所が開発

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

平成29年(2017年)3月14日、国立情報学研究所「ソーシャル・ビッグデータ駆動の政策決定支援基盤」に関する発表を行いました。各種ビッグデータ(従来のデータベース関連ツールでは分析が困難だった膨大なデータのこと)を活用するもの。インバウンドの動態把握などに役立ち、自治体や事業者が需給バランスをリアルタイムに把握しながら効果的に施策立案が可能になるとしています。

インバウンド市場に限らず、現代のビジネスでは情報収集は極めて重要だとされています。「ソーシャル・ビッグデータ駆動の政策決定支援基盤」は長崎県で導入されることがすでに発表されており、どのような成果があがるのか注目が集まるのではないでしょうか。

今回は訪日外国人観光客の動きを可視化してくれる「ソーシャル・ビッグデータ駆動の政策決定支援基盤」についてご紹介します。

 

インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)

インバウンドビジネスの政策決定に、ビッグデータを活用!

国立情報学研究所は、平成12年(2000年)に「学術情報センター」として設置され、学術文献データベース「CiNii」の運営などを行っている東京都の大学共同利用機関法人。教育機関としての性格を持ちながら、「日本で唯一の情報学の学術総合研究所」として研究活動を行っています。

国立情報学研究所「ソーシャル・ビッグデータ駆動の政策決定支援基盤」

国立情報学研究所「ソーシャル・ビッグデータ駆動の政策決定支援基盤」

発表された「ソーシャル・ビッグデータ駆動の政策決定支援基盤」は、曽根原登氏らによる研究チームが開発。あまり耳慣れない「ソーシャル・ビッグデータ」という表現は「ビッグデータの中でも特に公共性を有し、社会のさまざまな分野において社会的課題の解決や新たなサービスの創出などに貢献できるもの」を意味しているそうです。

「ソーシャル・ビッグデータ駆動の政策決定支援基盤」を分かりやすく言うならば、「公共性が高く、膨大な数にのぼるデータで、さまざまなシーンでの意思決定をサポートしてくれるツール」くらいの言い回しになるのではないでしょうか。

 

ホテルの予約状況、Wi-Fiの利用状況などから訪日外国人観光客の流れを明らかに

曽根原登氏らによる研究チームは平成25年(2013年)にも、観光協会、商工会議所の観光関連産業に対する支援を目的として、類似のシステムを発表しています。

これは従来は不可能だった、日ごとの宿泊施設利用に関するデータ収集をできるようにしたもので、具体的には複数のWebサイト上に掲載されたデータを利用しています。観光統計との比較などを行うことでデータの信頼性を高めており、以下のような目的で使えるとしていました。

  • 観光ビジネスでの機会損失
  • イベント開催による経済効果の推定
  • ホテルの料金予測
  • ホテルの空室数予測
  • 災害時に発生する帰宅困難者の宿泊支援、避難誘導支援

今回発表された「ソーシャル・ビッグデータ駆動の政策決定支援基盤」では、さらにソフトバンクが提供している無料Wi-Fiサービス「FREE Wi-Fi PASSPORT サービス」から取得されたWi-Fiアクセスポイントのログデータを活用。これにより、Wi-Fiを使用している訪日外国人観光客の流れが可視化できるようになったうえに、ホテルの予約状況などのデータの解析結果とリアルタイムに組み合わせる仕組みも用意されています。

現時点で明らかにされている利用例は以下の通りとなっています。

  • 「東京マラソン」のコース沿道(500m以内)にいる訪日外国人観光客の動態を可視化(地図上)
  • 東京から他の地域に移動した訪日外国人観光客の動態を可視化(地図上)
  • 他の地域から東京に移動した訪日外国人観光客の動態を可視化(地図上)
  • 訪日外国人観光客の動態をダイアグラム形式で可視化
  • 長崎市中心部における訪日外国人観光客の動態、ホテルの予約状況、観光スポットを同時に地図上に表示

長崎大学は国立情報学研究所の共同研究パートナーとなっており、今後、同大学に「ソーシャル・ビッグデータ駆動の政策決定支援基盤」の技術移転が行われる予定。かねてから訪日外国人観光客に関するデータ解析を行っていた長崎県や同県長崎市で、来年度以降活用される予定です。

 

まとめ:ビッグデータがインバウンドビジネスを加速させてくれるかも……?

国立情報学研究所が「ソーシャル・ビッグデータ駆動の政策決定支援基盤」を発表。これは2013年に発表されたシステムの改良版にあたり、ホテルの予約状況、Wi-Fiの利用状況などから訪日外国人観光客の動態を可視化することが可能です。長崎大学に技術移転されたのち、長崎県、同県の長崎市で実際に活用される予定。

同システムでは訪日外国人観光客の動態を把握することが可能。ビッグデータを活用しなければ、この手の調査を行うことは困難なのではないでしょうか。「ソーシャル・ビッグデータ駆動の政策決定支援基盤」が具体的にどのような形で民間の役に立つのかまでは明らかにされてはいませんが、今後の動向に期待したいところです。

<関連>

国交省、訪日外国人観光客の「動き」が可視化できる「FFデータ」発表 国籍、利用機関、周遊ルートなどの分析に対応

国土交通省は平成29年(2017年)1月10日、訪日外国人観光客の国内流動について詳細な分析ができる「FFデータ(Flow of Foreigners-Data/訪日外国人流動データ)」を公開しました。これまでにも秋期1週間に限って作成していた「訪日外国人流動表」を拡充し、四半期、年間での流動量の分析を行うことができるもの。今回は、この「訪日外国人流動データ」がどのように活用できるのかを見ていきましょう。 目次訪日外国人観光客の動向が可視化できる「訪日外国人流動データ」制作できる資料例:流...

【無料で利用可】詳細なインバウンド分析が出来るすごいサービス 地域経済分析システムRESAS(リーサス)とは

地方自治体、インバウンド事業者の皆さん、 地域経済分析システムRESAS(リーサス)についてご存知でしょうか?これは人口急減・超高齢化という日本が直面する大きな課題に対し政府一体となって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会を創生できるようにということで、内閣に設置された「まち・ひと・しごと創生本部」が、平成27年4月1日より、地方自治体による様々な取り組みを情報面・データ面から支援するために供用を開始したものです。地域経済分析システムRESAS(リーサス)には、地...

訪日香港人は和歌山県白浜町で320億円消費してる!?inbound insightでわかる本当のインバウンド消費

観光庁より発表される訪日外国人消費動向調査。これにより、訪日外国人観光客の消費額や訪問率などから、どの地域にどれくらいのインバウンド消費が落ちているのかをある程度推定することができます。訪日ラボでも、これらの調査をもとにして各都道府県別でインバウンド消費を算出してみました。しかしながら、これらの調査では県単位レベルでしか把握できず、市町村レベルや観光スポットレベルで、どれくらいのインバウンド消費があるのかを算出するのは難しいものです。そこで役に立つのが、株式会社ナイトレイが提供するinbo...

<参考>

訪日ラボ セミナー紹介&最新版インバウンド情報まとめ

「稼ぐ観光・地域活性化」のヒントがわかるセミナーが目白押し!


RX Japan株式会社は、2024年5月8日〜10日に東京ビックサイトにて、「観光業/宿泊業」「ツーリズム」に関わるBtoB商談展「国際ツーリズムトレードショー」(iTT)を開催します。

この構成展である「観光DX・マーケティングEXPO」と「国際ウェルネスツーリズムEXPO」内では、セミナーが開催されます。

訪日ラボを運営する株式会社movも、「インバウンド×観光DX戦略」のテーマで登壇します!ご興味のある方はぜひご参加ください。

※訪日ラボは、「観光DX・マーケティングEXPO」「国際ウェルネスツーリズムEXPO」の公式メディアパートナーです。


詳しくはこちらをご覧ください。
「稼ぐ観光・地域活性化」のヒントがわかるセミナーが目白押し!観光DX・マーケティングEXPO / 国際ウェルネスツーリズムEXPOセミナーのご紹介

【インバウンド情報まとめ 2024年4月】3月訪日外国人数「300万人」突破 他


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。

この記事では、2024年4月版レポートから、3月〜4月のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。

最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください!

本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。
3月訪日外国人数「300万人」突破 / 2月の世界航空需要、コロナ前から完全回復【インバウンド情報まとめ 2024年4月】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる4月から観光・インバウンドに関わる仕事に就いたり、関連部署へ異動となり、知識のインプットに追われていませんか? また、より一層事業を推進するために必要な学び直しの機会を設ける担当者も増えてきております。
このセミナーでは、
新担当になって、インバウンドの何から始めたらいいか分からない
インバウンド推進が本格化し、改めて情報やノウハウを学び直したい
そもそもインバウンドに興味があるが、情報を収集できていない
方にとって必要な基礎情報と、知っておきたい新情報をお届けする機会となっております!
詳しくはこちらをご覧ください。
→4月までに学んでおきたい!【基礎から始めるインバウンド対策】 〜ラーチーゴー & ジャパンガイドが教える市場別最新データ〜

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに