「中国人による訪日中国人向けビジネス」がインバウンドではびこるワケ:ヤミ民泊、観光地の不動産買い占め、白タクの横行などの違法行為も

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訪日中国人が日本のインバウンド市場において、訪日外客数および消費額ともに最も大きなシェアを占めていることは、インバウンド業界の方のみならず、もやは一般常識となりつつあるでしょう。このような状況のなかで、日本での中国人によるインバウンド消費が今後ともどんどん増えていく事に目をつけているのは、日本人だけではありません。そう、中国資本の企業、中国人のビジネスマン達も、この日本のインバウンド需要にあやかろうと動いているのです。

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訪日中国人の旅行支出額は右肩上がりで上昇を続けている。

JNTO(日本政府観光局)が発表しているデータによると、平成27年(2015年)の国籍・地域別の訪日外国人旅行消費額と構成比の中から中国を見ていくと、平成27年の訪日外国人旅行消費額の合計3兆4,771億円のうち、40.8%にあたる14,174億円が訪日中国人による消費 でした。

訪日外国人消費動向調査 平成27年(2015年)年間値(確報)より

訪日外国人消費動向調査 平成27年(2015年)年間値(確報)より

平成28年には全体で3兆7,476億円だった訪日外国人旅行消費額のうち、訪日中国人によるものが14,754億円で全体の39.4%、平成29年には全体で4兆4,162億円だった訪日外国人旅行消費額のうち 訪日中国人によるものが16,947億円となり、全体では38.4% となりました。

訪日外国人消費動向調査 平成28年(2016年)年間値(確報)より

訪日外国人消費動向調査 平成28年(2016年)年間値(確報)より

訪日外国人消費動向調査 平成29年(2017年)年間値(確報)より

訪日外国人消費動向調査 平成29年(2017年)年間値(確報)より

年度ごとに、徐々に中国の締める割合が減少しているとは言え、2番目に訪日外国人旅行消費額が多い台湾は、平成27年は全体の15%、平成28年は14%、平成29年は13%となっており、いかに中国の訪日外国人旅行消費額が大きいかがわかります。

全国に蔓延る中国人経営による闇民泊

厚生労働省 日本の人口ピラミッドの変化より

厚生労働省 日本の人口ピラミッドの変化より

日本は現在、物凄いスピードで高齢化社会への道を歩んでいます。厚労省が発表しているデータによると、2025年には総人口1億2,066万人のうち、75歳以上が全体の18%、65~74歳が全体の12%、2060年には総人口8,674万人のうち、75歳以上が27%、65~74歳が13%になるとされています。特にこうした高齢化の波は都心部もさることながら、地方部では更に加速度的に進んでいきます。

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なぜ地方創生にインバウンドが重要なのか?交流人口から考える訪日客地方誘致の重要性

2017年7月19日の観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、2017年前半期のインバウンド消費額は史上初めて 2兆円 を突破しました。また、2017年に入ってからも 7カ月連続で前年を上回る訪日外国人観光客数を記録 しており、日本国内で「インバウンド誘致」はホットなキーワードになっています。加えて、インバウンド誘致は地方の過疎化・人口減少など 日本の抱える諸問題を解決する手立てとしても注目を集めています。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが...

ここで問題となっているのが、地方はもちろん、都心であっても郊外であまり人気のない高年式マンションなどが、次々と中国人、もしくは中国資本の会社に買い占められている ということです。

日本は世界でも外国人が不動産を所有することに関して制限のない国 ですので、こうした中国人による不動産の買い占めは、実は日本各地で進行していると言われています。特に 北海道では土地はもちろん、スキー客で人気のニセコ周辺のリゾートマンション、また、別荘地として人気の軽井沢のリゾートマンションなども近年は中国人による買い占めが増えています。

日本では地方部、都心でも人気のないエリアの不動産の供給が需要を上回っていくことが予想されていますが、こうして日本人が誰も住まわなくなった不動産が中国人によって買い取られていくケースも多く、こうして中国人に買い取られた不動産やマンションの多くが、本国の中国人向けの日本国内の投資用物件となるか、闇民泊用の物件として使われる こととなります。

特に最近は殺人事件も発生した闇民泊に関しては、当然法律で定められている届け出もされておらず、マンションの管理組合側で不特定多数の外国人が利用しているようだという事に気づいたとしても「中国から親戚が来ている」などと言われれば、借り主の立場が非常に強い日本では、それ以上追求もできないなどの問題があります。こうした中国人経営による闇民泊の場合、中国国内のウェブサイトやサービスから中国語で予約が可能。民泊の対応窓口も中国語が通じるなどの使い勝手から、中国人観光客からすると安心で非常に使いやすいという宿泊施設となっています。

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民泊の全国解禁に合わせてトラブル対策も本格化 観光庁、民泊の相談を一手に担う相談窓口開設へ

違法業者の横行やホテル、旅館への悪影響、近隣住民とのトラブルといった懸念から、日本では慎重な導入が進められている民泊。本格的な解禁に向け、今年平成29年(2017年)に新たな法案が提出されると見られていますが、それに合わせて観光庁が民泊の苦情や相談を一元的に担う民泊相談窓口を設ける方針であることを日経新聞が報じています。右肩上がりに増加を続ける訪日外国人観光客によって、大都市圏を中心に宿泊施設が供給不足が発生しています。民泊はその解決策として注目されている一方、違法な民泊により物件価値の低...

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京都で人気の着物レンタルでも中国人経営の店が存在

訪日外国人にとっては、東京や大阪に続いて人気の観光地である京都。訪日中国人にしてもこれは例外ではなく、多くの中国人が京都に訪れています。そして京都で訪日外国人に向けて人気のサービスとなっているのが、着物のレンタル です。これは着物をレンタルして、着物姿で京都の町並みを観光するという「コト消費」ですが、この着物のレンタルを行う会社に関しても中国資本の会社が増えているようです。

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もともと、こうした着物のレンタルに関しては、日本人が外国人向けに始めた商売です。しかしながら、本当の着物ではない、印刷などで柄がプリントされた低価格の着物が登場したことなどから、外国人資本の着物レンタル業者に参入の機会を与えてしまったとも言えます。

訪日中国人からすると、着物を選ぶ際にも中国語で話せるほうがサービスに関する満足度は高いでしょうし、レンタル業者側も、中国国内向けに中国語でホームページを設けるなどして集客が可能です。またさらに、日本の伝統的な落ち着いた柄よりも、中国人が中国人の好みに合わせて作った派手なデザインの着物のほうが受けているという事もあるようです。

特に九州・関西地方で横行する白タク

日本では、自家用車でタクシー営業をする事は法律で禁じられています。タクシー行為をする場合は、営業許可を受け緑字のナンバープレートをつけるのですが、これにかけて、白地ナンバープレートの自家用車でタクシー営業をすることを「白タク」行為と呼んでいます。実はこの白タクが訪日中国人が多い九州、関西地方で増えており、関西国際空港などの主要空港では、中国で既に配車予約をウェブ、アプリを通じて済ませた客を待っているであろう白タクが見受けられます。

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11月30日に、中国版Uberと言える中国の配車サービス最大手、滴滴出行(ディディチューシン) が2018年に日本進出を検討しているということが明らかになりました。これは日本のタクシー会社最大手である第一交通産業(本社:北九州市)との連携によるもので、2018年春にも東京都内でスマートフォンアプリを利用して配車サービスを始めるとされています。このニュースについて詳しく見ていきましょう。インバウンド最大の中国市場は「旅マエ」にアプローチするが重要!おすすめのインバウンド対策についてより詳しい...

中国の富裕層、中間層にとって、電車は貧民層が移動に使う手段というイメージ が根強く、さらに多数のスーツケースを持っていたり、3世代での旅行などが増えている状況もあり、電車観光よりは車での観光を選ぶ人が一定数以上存在します。こうした訪日中国人にとって、中国人が運転する白タクは、中国語が通じる、AlipayやWeChatでの支払いが可能、さらに日本タクシーよりも安い、といい事ずくめであり、日本のタクシーを選ぶ理由がないのは当たり前でしょう。

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地方創生の成功に絶対に必要なもの それは「二次交通」の充実:そもそもなぜインバウンドの地方誘致で二次交通が重要なのか?

2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催され、これを機に多くの訪日外国人が日本を訪れることが期待されており、政府も訪日外国人旅行者4000万人を目標としているのはご存知の通りです。また、将来的に現在のゴールデンルート中心の観光から、地方部へも多くの訪日外国人を呼び込んで地方創生を行うことが必要 だと考えられており、これについては国土交通省も様々な形で「魅力ある観光地域づくり」を進めています。こうした地方部へも訪日外国人に回遊してもらうために必要だと考えられているのが 二次交通の充...

まとめ:増加するインバウンド消費を受けて急増する中国人による中国人観光客向けビジネス

今まで見てきたように、日本国内で右肩上がりの成長を続けるインバウンド関連の消費の中でも、特に訪日中国人がこれを牽引しています。こうした状況にあっても、日本のサービス業の多くが掲げる外国語対応は英語がメインとなり、ここに中国資本が中国語で、日本で中国人相手にサービスを提供する下地が出来てしまいました。

当然こうした中国人資本の会社があげた利益が日本に還元されることは少なく、こうした違法な形で日本でビジネスを展開する中国人資本の企業こそが責められるべきですが、訪日中国人の行動パターン、実際の声である「中国語が完璧に通じるお店で買い物をしたい、中国語で案内してくれるタクシーに乗りたい」に応えたサービスがほとんど存在しないという事は日本側の問題と言えるでしょう。2020年を目前に控えた今、こうしたリアルな中国人観光客の声に答える合法的なサービスが登場していくでしょうか。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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