小売業界をはじめとして日本中を震撼させた、2015年の「爆買い」現象からはや3年。この年を日本のインバウンドビジネスの目覚めとするのであれば、今年2018年は、2020年に向けた跳躍の年と言えるかもしれません。
「とにかく、中国人を始めとした訪日外国人を集客し、多言語対応や免税店対応で爆買いを狙う」…そんな時代は終了し、現在ではインバウンド需要の「コト消費」の流れをうけ、インバウンドビジネスも、日本のモノ・コト・文化を体験してもらおうという体験型ツーリズムがメインストリームとなっています。
それだけでなく、「外貨を稼ぐ」手段はインバウンドのみならずアウトバウンド、つまり越境ECや海外展開を含めた戦略をも含むべき時代となりつつあります。
そのような時代を捉え、昨年まで「インバウンド・ジャパン」として日経BP社が開催していたインバウンドビジネスの総合展が、今年は「海外&インバウンド マーケティング2018」としてパワーアップ。今回は、こちらの現場レポート総集編をお送りします。
インバウンド受け入れ環境整備を資料で詳しくみてみる
- 「翻訳・多言語化」を資料で詳しくみてみる
- 「多言語サイト制作」を資料で詳しくみてみる
- 「多言語化表示サービス」を資料で詳しくみてみる
- 「テレビ電話型通訳サービス」を資料で詳しくみてみる
- 「訪日外国人向け道案内」を資料で詳しくみてみる
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
「海外&インバウンド マーケティング2018」開催
日経BP社は、7月18日(水)から7月20日(金)の3日間で「海外&インバウンド マーケティング2018」(会場:東京ビッグサイト)を開催しました。
これは、2016年から開催してきた「インバウンド・ジャパン」をリニューアルしたもので、インバウンドのみならず、越境ECなど外国人に対して市場調査やPR活動、販路拡大するための海外マーケティングなども視野に入れた、「外貨を稼ぐ」ための総合展示会です。
さらに、海外展開を支援するソリューションなどを網羅した「グローバルビジネスサポート2018」、人口減少フェーズに入った日本において不可欠な外国人雇用などを扱う「グローバル人材2018」を同時開催。3展あわせて「グローバルビジネスWEEK」として開催し、今まで以上に網羅性・専門性のある展示会となりました。
昨年を大きく上回る17,529名の来場 80件のセミナー
昨今のインバウンドビジネスの盛り上がりと注目を表すかのように、来場者数は年々増加の一途をたどっており、2016年は合計14,478人、2017年は15,743人、そして今年の「グローバルビジネスWEEK」では17,529人と大きく客足を伸ばしました。
またセミナー開催数も、昨年の56件から80件と大きくパワーアップ。KEYNOTE(基調講演)においては、元観光庁長官・現大阪観光局の溝畑宏氏や、元英国政府インバウンド担当の手腕を生かして日本のインバウンド向けに活躍されているアシュリー・ジョン・ハーヴィー氏をはじめとした、インバウンド業界のトップランナーが集結。
出展では、
- 越境EC
- 多言語化
- リアルタイム通訳ツール
- 海外へ訴求するためのマーケティング
- ハラル対応など外国の食文化への対応
- 訪日外国人への情報提供
- インバウンド集客担当者への情報提供
- 自治体によるインバウンド集客の取り組み
など、インバウンドのみならず、海外展開も視野に入れた様々なソリューション・サービスが展開されていました。
ピックアップブースを見てみる(初日レポート)
【速報レポート】インバウンドで稼ぐためのビジネス展「海外&インバウンド マーケティング2018」初日の様子をお届け
2018年も7月を迎え、2020年まであと1年半を切りました。訪日外客数も年々増加傾向にあり、インバウンド市場は拡大の一途をたどっております。だからこそ、インバウンド対策を進めていくことは急務であり、各企業が取り組み始めています。そこで、日経BP社では、この激動のインバウンド市場において情報収集・交流の場として、「海外&インバウンド マーケティング2018」を7月18日(水)から20日(金)にかけて開催しています。今回は、この「海外&インバウンド マーケティング2018」の...
地方の名産品・工芸品を世界に!東急ハンズ特命バイヤーが解説する「海外での商品の売り方」
さて、それでは「海外&インバウンド マーケティング2018」で行われたセミナーについて、2セッションピックアップしてご紹介しましょう。
1つめが、初日に「海外進出や訪日外国人向けに成功している名産品の事例紹介および失敗研究」といったタイトルで行われた、東急ハンズ 特命バイヤー 泉徳之氏のセミナーです。
訪日外国人も、ちょっと通な訪日土産を求め来店する東急ハンズ。特命バイヤーの泉氏は、「地域の伝統品、農産物、食品などを国内外で売れるようにするにはどうしたらいいか?」を、ハンズの成功事例・失敗事例を踏まえて紹介しました。
『どこに・だれに売るのか』を明確にすべき
セミナーでは、外国人向けに”響く”商品について、さまざまな具体例を踏まえて解説。地域・国籍によって購買行動に違いがあり、特に欧米圏や準先進国と言われる国々のインバウンドやアウトバウンドでは、その消費マインドは”日本人の海外での購買動機”と似ているといいます。
「日本人に売るのと同様で、『どこに・だれに売るのか』を決めないと、商品がぼやけてしまう」「生活に溶け込まない製品はダメ」と、泉氏は力説します。わかりやすい例として挙げられていたのは「”有田焼のシーシャ(水タバコ)”がドバイで売れている」という事例。日本の技術と現地の生活が融合したものは、海外現地やインバウンドで売れる商品となるといいます。
大阪観光局理事長が解説 注目集める大阪の本気のインバウンド対策とは?
2つめにご紹介するのが、「世界の高みを目指して ~24時間国際観光都市大阪のチャレンジ~」と題した、元観光庁長官・現大阪観光局 理事長(局長)の溝畑宏 氏のセミナーです。
訪日ラボでも何度と無くお伝えしてきた、関西インバウンドの要・大阪のインバウンドへの取組みですが、その主導者である溝畑理事長が登壇したセミナーは、インバウンド対策の”本質”を雄弁するものでした。
「客数より消費」「データを見ていくこと、ターゲティングが重要」
「大阪は(インバウンドの)トップランナーとして他人のやらないことをやる・リスクをとっていく」とは溝畑理事長。その言葉とおり、IR誘致やナイトタイムエコノミーの発掘など、その先進的取組には枚挙にいとまがありません。
溝畑理事長が強調していたのは、”客数”よりも”消費”に注目すべきことです。そういった意味でもナイトタイムエコノミーは重要です。単純に新たな市場を掘り起こせるのはもちろんですが「家族連れなどクリーンな旅行客はカネを落とさない。この(インバウンド観光)業界では、”清濁飲んでいく”は必要。そのためには、受け入れる側も遊んでいる人の感覚を知らなければならない」と力説。
また、これらのセグメントごとの適切なアプローチをしていくためには「データを見ていくこと、マーケティングが重要」といいます。というのも、溝畑理事長の観光庁長官時代、「この(観光、インバウンド)業界は、データやマーケティングをやらなさすぎだった」といいます。
これを是正し、マーケティングや効果測定を提唱し続けてきた溝畑理事長の講演だけあって、スライドでも、数々のデータが提示されていました。ここに、なぜ大阪がインバウンドの中心になりつつあるのか?という回答があったように思えます。
まとめ:インバウンドは次のフェーズへ
東京オリンピックをわずか1年半後に控えた今回の「海外&インバウンド マーケティング2018」。昨年までのインバウンドのみに照準を合わせたものから、”外国人に売る”という、もう一段階広いレイヤーの展示会となり、さらなるパワーアップを感じました。
本当の意味での「観光立国」を目指すには、ポストオリンピックに向け、今までの”どうやって外国人を呼んだらいいのか”から、”どうやって外国人にお金を使ってもらうか”に考え方をシフトしなければならない段階に来たのかもしれません。
そういった意味で、「インバウンド・ジャパン」から「海外&インバウンド マーケティング」への模様替えは、時代に合わせた正当な進化とも言えるでしょう。今後のインバウンドビジネスにおいて成功をおさめるには、このような時代の変化をキャッチアップすること、そして、その変化に対応し続けることが重要になります。
問い合わせ
「海外&インバウンド マーケティング2018」に関する詳細情報はこちらから。お問い合わせは以下まで。
公式サイト:http://expo.nikkeibp.co.jp/gbw/mkg/
お問い合わせ:http://expo.nikkeibp.co.jp/gbw/mkg/inquiry.html
インバウンド対策なにから始めたら良いかわからない?
訪日ラボ 最新版セミナー&インバウンド情報まとめ
訪日ラボおすすめの記事をご紹介します。
【10/8開催】「飲食店の付加価値向上EXPO」—お客様に選ばれ続ける"5つの鍵"—
原材料費や人件費の高騰で、多くの飲食店が値上げを余儀なくされています。
しかし、人口減少などを背景に市場競争が激しくなる中で、ただ価格を上げるだけでは顧客離れのリスクが...。
そこで重要になるのが、「付加価値」を高めることです。
お客様が納得できる価値を提供し、競合との差別化を図ることで、持続可能な経営を実現できます。
今回のセミナーでは、飲食業界の第一線で飲食店経営を支援する5社の専門家から付加価値向上の具体的な方法と成功事例をご紹介します。
詳しくはこちらをご覧ください
→【10/8開催】「飲食店の付加価値向上EXPO」—お客様に選ばれ続ける"5つの鍵"—
【インバウンド情報まとめ 2024年9月後編】中国「国慶節」延べ19.4億人移動、海外旅行先の人気1位は日本 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に9月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国「国慶節」延べ19.4億人移動、海外旅行先の人気1位は日本:インバウンド情報まとめ 【2024年9月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!