キャッシュレスはショッピングの専売特許ではない!日本の代名詞「富士山」はQRコードで入山料支払いを受け付け

政府は、2025年までに日本のキャッシュレス比率を40%まで引き上げる目標を掲げていますが、日本では未だに現金決済が主流であり、世界と比較してもキャッシュレス対応が遅れています。

近年、オンラインショッピングや公共料金・携帯電話などの引き落としにも使われるようになってから、日本でのクレジットカード利用者は増えてきました。しかし、日本と世界を比べてみると、他国の半分の割合にも達していないのが現状です。

特に2016年経済産業省データによれば、日本のキャッシュレス比率は20%未満であるのに対し、韓国では96%、中国では60%以上を実現しています。

インバウンド需要を取り込むためにも、キャッシュレス決済に慣れ親しんでいる訪日外国人旅行者に対して、自国と同じようにスムーズな電子決済サービスの提供を目指す必要があります。

そんな中、7月1日の富士山の山開きに際して、富士山でもこうしたキャッシュレス対応が開始されました。

富士山のインバウンド人気

富士山は、2013年にユネスコの世界遺産リストに登録された日本の世界遺産です。その美しい景観から、日本国内のみならず世界各国から多くの観光客が訪れる人気名勝地として知られ、訪日外国人の王道観光ルート(日本の定番観光地)「ゴールデンルート」にも含まれています。

登山シーズン中は、新宿バスターミナルから富士山五合目までバスが運行されており、訪日外国人にとって重要なアクセス面をしっかりカバーしていることが、富士山を訪れる外国人が増え続ける理由の一つと言えるでしょう。

継続的な調査データはありませんが、環境省の「平成27年度富士山における外国人登山者動向把握業務調査」によれば、72%の山小屋が「外国人客数が増えた」と回答しており、さらに登山者の外国人比率を見てみると、吉田口ルートでは土日21%・平日28%、富士宮ルートでは土日11%・平日10%となっています。国別では、最も多い外国人登山者は台湾で、次いで2位アメリカ、3位中国、4位フランス、5位韓国と続きます。

同調査の富士山登山の満足度を調べるアンケートでは、8割以上が「満足」と回答しており、非常に高い割合です。山小屋や救護施設、トイレなどの登山をサポートする設備が整ってる点や独立峰の美しい景観を比較的に手軽に体験できる点などが、満足度を高めている理由とされています。

登山料金

登山や観光などのために、国内に限らず、海外から多くの人が訪れることで、自然環境に大きな負担がかかっています。

そのためオーバーツーリズムによって美しい富士山の自然が失われないよう、富士山の道・トイレの整備や安全対策・保全などを目的として「富士山保全協力金」を登山者に求める制度を2014年より導入しています。原則一人千円で、協力金であり入山料ではないため強制力はありません。現地支払い以外にも、事前にインターネットやコンビニエンスストアでも支払い可能で、2018年度の協力率は58.6%という実施結果でした。

キャッシュレス対応を開始

2019年富士山の山開きとなる7月1日より、吉田口登山道に設けられている「富士山保全協力金」の支払い窓口に、Airレジ・Airペイが導入され、キャッシュレス化を推進しています。

これにより登山者は、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済での支払いが可能となりました。このAirレジ・Airペイは、山梨県営5合目総合管理センター内と吉田口6合目富士山安全指導センター付近の任意協力金の支払い窓口に設置されています。

また、吉田口登山道の山小屋8カ所のうち、6カ所がAirペイを導入し、5合目から8合目にまでの山小屋で、キャッシュレス決済に対応しているようです。

日本人と外国人の割合は、およそ平日7:3、休日8:2となっており、外国人観光客は増えてきています。彼らにとって、日本円のキャッシュ支払いは両替が必要になるため、やや難しい場合もあるそうです。

実際に、外国人のクレジットカードや電子マネーの利用は多いため、これらに対応する支払方法は、協力金や山小屋での宿泊、食事の際にも支払いのハードルを下げ、利便性を高めるといえるでしょう。

キャッシュレス比率 日本20%・中国60%・韓国96%/もはやキャッシュレス後進国の日本

2018年に入って、ここ日本でも、コンビニなどでのお支払いをスマートフォンで済ませる人の姿をよく見かけるようになりました。モバイルQRコード決済サービスも続々と誕生しています。そんな日本のキャッシュレス比率は、なんとまだ2割程度。ところが、訪日大国であるお隣の中国では、その比率は60%を超え、韓国は限りなく100%に近いと言われています。まだまだ現金のみでの支払いが必要なシーンが多い日本での旅行。海外からのお客様をお迎えし、いざお支払いの際に「現金がない!」…などというエピソードもよく聞き...


もはや導入しない理由がない?!インバウンド対策にも必須、キャッシュレス決済5つのメリット

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キャッシュレス対応のハード整備「Airレジ」「Airペイ」とは

Airレジは、リクルーチライフスタイルが提供するPOSレジアプリのことです。レジ業務がiPadまたはiPhoneなどのモバイルデバイスで行えます。また、同社のAirペイは、iPadまたはiPhoneと専用カードリーダーを用いてクレジットカード・電子マネー・QRコード決済などを利用できるツールです。

現在、中国のスマホ決済Alipayのユーザー数は5.2億人以上で、1日平均1億6,000万件を超える取扱件数を誇ります。訪日中国人旅行者のおよそ9割以上がスマホ決済を利用していると言われ、また中国人はインバウンド市場のうち人数でも旅行消費額でも最も多い割合を占めています。インバウンド需要を取り込むためには、電子決済に対応しておくことはもはや必須でしょう。

同社のサービスは、この中国スマホ決済Alipayにも対応しています。このため、インバウンドを想定した店舗や施設でも導入されています。

外食大手のワタミが経営する「和民」他3業態では200店舗以上、そして銀座の商業施設「GINZA SIX」にも導入されています。

ある利用店舗では、導入により訪日中国人のAlipay決済単価が中国客平均の2.6倍にも上昇したケースもあると言います。スマホ決済への対応は、もともと旅行消費額の大きな訪日中国人の消費意欲をさらに高めることのできる策と言えるかもしれません。

最強のマルチ決済「Airペイ」とその仲間たち

オダギリジョーのCMでおなじみの「Airペイ」。シンプルでコミカルな外国人とのやり取りは目を引きます。しかしあのCMを見ただけでは、一体何をアピールしたいのかよくわからないかもしれません。そこで今回は「Airペイ」について詳しくご紹介します。Airペイとは「Airペイ」はリクルートがプロデュースするカード決済サービスです。iPadもしくはiPhoneとカードリーダーを用意すれば、さまざまなブランドのクレジットカードや電子マネーを簡単に導入できます。姉妹サービスの「AirペイQR」は今話題の...


インバウンド需要に対応した体制づくりを

富士山の入山料支払いをキャッシュレス化したことにより、その場に現金を持ち合わせていない訪日外国人にとっては支払いのハードルが低くなりました。これにより資金協力をスムーズにした今回の取り組みは、今後の日本観光を持続可能にするための良い事例になるでしょう。

現在、全国の人気観光地ではオーバーツーリズムが問題視され、インフラ整備や環境破壊などが起こっています。インバウンド対策におけるキャッシュレス化の促進は、買い物消費に注目が集まりがちですが、こうした場面での活用も日本全国で進めていく必要があります。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!