外国人観光客の不満ポイントは?コミュニケーション・言語・ネットと決済(観光庁アンケート調査)

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海外旅行先で異なる国の文化を体験することは旅の醍醐味ですが、環境整備が不十分でせっかくの旅行を満喫できないということもあります。日本でも、知らぬうちに訪日外国人にとって過ごしづらい環境ができあがっているかもしれません。

今回の記事では、訪日外国人が実際に感じた不満についてのアンケート結果を紹介し、その対策方法についてご紹介していきたいと思います。


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訪日外国人の抱く不満とは?

日本に来る訪日外国人はどのようなことに不満を抱いているかを理解することで、より外国人目線に沿ったおもてなしをすることが可能になります。

これから、訪日外国人はどんな不満を感じているか説明します。

観光庁「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関する現状調査」

観光庁は「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関する現状調査」を発表しています。2018年に行われたこの調査では、訪日外国人が抱く不満が明らかになっています。 

ここ数年、LCCの増加、漫画、アニメ文化の浸透やオリンピック効果などに後押しされ、日本を訪れる訪日外国人の数は増加しています。 今後の受け入れ環境の整備に活かすことが必要でしょう。

不満の内容は?

一番多くの訪日外国人が抱いた不満は、20.6%で「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」でした。続いて18.7%の「無料公衆無線LAN環境」16.4%の「多言語表示の少なさ・わかりにくさ(観光案内板・地図等)」と続きました。

このように言語に関する不満を感じる訪日外国人が多かったことがわかります。

これらの不満はそれぞれ2016年の調査から比べると減少傾向にはありますが、3年連続で上位3位を占めていることを踏まえると根本的な解決には至っていないように思われます。

様々なインバウンドの不満の原因は?

今後さらに増えると考えられるインバウンド需要を増加させていくためには、これらの訪日外国人が感じる不満に対する解決策を講じる必要があります。

ここではそれぞれの不満の内容について、どのような原因が考えられるかを解説していきます。 

1. 無料公衆無線LAN環境が足りない

一般的に他の国の主要観光スポットでは、駅やカフェにも無料Wi-Fiが利用できる場合が多く、同じ要領で日本を訪れた多くの訪日外国人が困ったと解答しています。

日本でも近年都市部を中心に無料Wi-Fiの環境が整えられてきていますが、それでも日本語での細かい登録が必要な場合があるなど、無料Wi-Fiスポットの少なさや利用しづらさは否めません

訪日外国人が日本でネット利用するためには、日本でSIMカードを購入するか、ポケットWi-Fiレンタルをレンタルするなどの通信手段が必要となります。

しかし、それらを利用せず無料Wi-Fiだけで旅をするというスタイルの人が多くいるのも事実です。それらの訪日外国人がストレスなく観光ができるようにするには、無料Wi-Fiの充実が必須だと言えます。

2. コミュニケーションがスムーズでない

訪日外国人の多くは、日本語が分からない状態で日本に観光に訪れます。なぜなら、多くの人は英語があれば最低限のコミュニケーションができると考えているからです。

しかし、東京や京都などの一部の観光地を除き、日本はまだまだ英語表記後進国であると言えます。

特に訪日外国人の多くは、以下の状況でコミュニケーションへの不満を感じているようです。 

  • 商品やメニューを探すとき
  • 目的地への行き方を知りたいとき
  • 大浴場など日本独特の館内設備を使用するとき
  • 会計や免税手続きのとき
  • 周辺の観光情報を尋ねるとき

日本人は英語に自信がなく、英語を話すことに抵抗を持っている人が多い傾向にあるということも、これらの不満が生まれる原因であると考えられます。

3. 多言語表示や多言語地図、パンフレットに欲しい情報がない

欧州などの主要観光都市では、街の中心地にインフォメーションセンターがあったり、駅に大きなパンフレット置き場があるなど、外国人にとって快適な環境となるよう努めています。

それに対し日本では、パンフレットの場所がわかりづらく、不要な情報が多かったり、表記がわかりづらいものが多いという不満が多いようです。

また、日本の地図記号での表記になっていたり、多言語表記を中心にした場合に日本語表記がないことがあり、結果的に場所を見つけることが困難になる場合があるようです。

4. 両替やクレジット/デビットカード利用ができない

日本は海外の多くの先進国に比べて現金主義であることが、訪日外国人がこれらの不満を抱く原因となっているようです。

他の先進国では、現金を持ち歩かないという人がいるほど、少額でもカード支払いやスマホ決済が浸透している一方、日本では都市部であっても個人商店の場合クレジットカード非対応であることが多いのが実情です。

また、外国のクレジットカードで現金を引き出せる場所が少なく、観光地であっても両替所が少ないというのも残念に感じるようです。 

5. 公共交通の利用方法、利用料金がわかりづらい

公共交通機関の分かりにくさも不満の一つに挙げられています。特に東京の鉄道はかなり複雑で、メトロだけでなく直通列車や路線の多さも訪日外国人を困らせる要因になっているようです。

慣れていない訪日外国人が、切符の購入方法がわからず、近くの人や駅員さんに訪ねている様子もよく見かけられます。 

インバウンドの不満を解消するには?

インバウンド需要を狙う企業にとって、これらの不満を訪日外国人が持っていることは問題です。

ではインバウントを促進するためには、どのような対策を打つべきでしょうか?

ここからは、以上で紹介した不満を解消するための方法を紹介します。

1. 無料公衆無線LAN環境の構築

無料公衆無線LANが少ないという不満に対しては、店舗にも無料のWi-Fiを設置すれば解決できます。Wi-Fiを設置するだけで、何もしないよりも、お客様目線に沿うことができます。

お店を利用したお客様などが口コミサイトに「Wi-Fiがあるから気軽にネット接続できる」と書き込みをすることで、それを見たユーザーも訪日旅行の際の行先として検討するでしょう。

無料Wi-Fiを取り入れることが訪日外国人に与える影響について知りたい方は下記のリンクもご確認ください。

訪日外国人のために無料Wi - Fiが必要な4つの理由|インバウンド対策にオススメの店舗向けWi

訪日外国人にとって、自国で無料Wi-Fiを利用できることが当たり前となっています。日本は諸外国に比べ無料のWi-Fi環境の整備が遅れています。そのため観光庁が2017年2月に発表した「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート」によると、訪日外国人観光客が感じる「訪日旅行で最も困ったこと」の第2位に「無料公衆無線LAN環境」がランクインしています。この記事では、インバウンド対策のために無料Wi-Fiの導入が必要不可欠な4つの理由と、店舗向けのオススメWi-Fiサービスをご...


2. コミュニケーションの補助ツールを導入する

コミュニケーションがとれない一番の問題は語学力でしょう。

語学が苦手な人は、あらかじめ翻訳機や翻訳アプリ、指さし会話などを用意しておくというのも一つの方法です。Google翻訳などの翻訳アプリ・サービスを利用することも可能です。

翻訳の精度を求めるなら有料、手軽さを求めるなら無料のものがおすすめです。

翻訳機について詳しく知りたい方は下記の記事も参考にしてください。

訪日客のおもてなし

訪日外国人観光客を誘致・集客するうえで欠かせないのが「外国語対応」です。2017年2月7日に観光庁により発表された「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート結果」によると、2016年に訪日した外国人観光客が困ったこととして上位にランクインしたのは、 「コミュニケーションの取りずらさ(32.9%)」。「多言語表示の少なさ・わかりにくさ(23.6%)」 など外国語対応に関するものでした。2020年に向けてさらに多くの訪日外国人観光客を誘致・集客していくうえで、「外国語対応」...

話しながら翻訳したい場合は音声翻訳機がおすすめです。ポケトークやイリ―などの翻訳機が日本国内でも浸透してきています。双方向や一方向、言語の数も翻訳機によって様々なので、自社の活用の方法や場面に合ったものを選びましょう。接客であれば双方向でオンライン、言語数の多いものがおすすめです。

指さし会話は、指をさして相手に見せることで言いたいことが伝わるシンプルなものなので、誰でも簡単に使うことができます。より多くの言語に対応しているほど良いでしょう。

外国人とのコミュニケーションについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

外国人観光客が日本で困ったこと1位は「コミュニケーション」/4割がスマホで解決

目次外国人はコミュニケーションに困っている…もはやWi-Fiが一番の困りごとではない日本人は英語が話せない? 訪日外国人が困ったこと1位は「コミュニケーション」一方で外国人は自分のスマホを使って「言葉の壁」を解決まとめ外国人はコミュニケーションに困っている…もはやWi-Fiが一番の困りごとではないゴールデンルートと呼ばれる東京、大阪、名古屋の観光名所のみならず、地方の田舎町を訪れる訪日外国人観光客が急増しています。しかし、「英語ではなしかけられたけれど対応できない」「メニューの説明ができな...


3. 多言語表示や多言語地図、パンフレットの入手場所の少なさをツールで補う

現在、首都圏を中心として大手鉄道会社は多⾔語案内体制の強化に取り組んでいます。例えば、JR東日本においては、タブレット端末を活用して多言語案内への対応を行っています。

タブレット端末から発信される様々な情報により、駅係員・乗務員がオペレータを仲介して輸送障害時の案内や災害時の避難誘導などを⾏います。

多言語表示アプリや翻訳機などを使うのであれば、外国人の目線で使いやすいものを作ることを心がけましょう。 

4. 両替やクレジット/デビットカード、QRコード決済利用ができるように準備

小売や飲食店など、店舗で優先すべきは、クレジットカード、QRコード決済対応にすることです。世界的なキャッシュレス化の流れにより、国によってはまったく現金を持ち歩かないでにいt上生活を送る人もいるほどです。

クレジットカードであれば、VISAやマスターカードなど、主要な国際ブランドに対応していれば、多くの国の訪日客に対応が可能です。さらに、QRコード決済も導入すればさらに効果が出るでしょう。

訪日外国人数の約4分の1を占める中国では、普段からアリペイWeChat Payでの支払いが習慣化しています。QRコード決済は購買意欲の高い訪日中国人を取り込むうえでとても重要と言えるでしょう。

中国のQR決済越境ECでも利用できます。またQRコード決済の利用者に、店舗の公式アカウントをフォローさせてメッセージを送ることも可能です。帰国後のユーザーにメッセージを送り、ECサイトを通じて継続購入を促すという施策も打ち出せます。こうした機能を通じて、顧客との関係も長期的に維持することができます。

QR決済導入のメリットについて詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

インバウンドで決済対応・導入は必要?

2018年の訪日外国人数は3,000万人を突破しました。国が掲げる2020年までの目標4,000万人は確実に射程に入りつつあります。外国人観光客を誘致し、全国津々浦々で消費してもらうことで、地方経済を活性化させようというのが政府の目論見です。今後、外国人旅行者は都市部から地方へさらに関心を移していくことが予想されます。地方では早急にインバウンド対策を講じ、来るべき時に備えておく必要があります。そのためにインバウンド受け入れ体制整備としての決済対応はどのようなものがあるのでしょうか?クレジッ...

5. 公共交通の利用方法(乗り方)、利用料金について多言語で情報提供

公共交通機関では、券売機や駅構内での多言語表記をつくることが重要です。また、観光案内所の設置をすることで、訪日外国人がより安心して公共交通機関を使用できます。

そこまでのコストがかけられない場合は、指さし会話のパンフレットを駅構内で用意するなど、何かしらの対策をとる必要があるでしょう。

公共交通機関でのインバウンド対策について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。

訪日外国人の移動手段は電車?バス?タクシー?

観光庁が発表した「外国人旅行者に対するアンケート調査結果」を見ると、

効率的な対策をしてインバウンド消費の増加を

今回は訪日外国人が日本を訪れた際に抱きがちな不満と、その解決方法について紹介しました。日本を訪れる外国人がより滞在を楽しみ、旅行消費を拡大させるためには、こうした不満を解消できる対策を早急に講じていくことが必要です。

人はだれしもストレスフリーな環境を好むものです。全ての問題を一度に解消するのは難しいかもしれませんが、快適な環境構築は少なからず客足に影響してくるでしょう。オリンピックの開催など節目を目標にして、少しずつ改善策を実施していくことも検討に値するはずです。

<参照>

観光庁:「訪日外国人旅行者の受入環境整備に 関するアンケート」結果

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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