2019年7月25日から、羽田空港の一部店舗に東南アジアを中心に展開するQRコード決済「VIA(ヴィア)」が導入されました。利用できるのは国際線ターミナル27店舗と国内線ターミナル7店舗の計34店舗です。「VIA」が国内の空港に導入されるのは初めてです。
羽田空港の対象店舗ではシンガポールの通信大手シンガポール・テレコム(シングテル)の「Dash(ダッシュ)」と、タイの通信大手アドバンスト・インフォ・サービス(AIS)の「AIS Global Pay(AISグローバル・ペイ)」が利用できるようになりました。
これにより東南アジアからの旅行者が日常的に利用している決済手段を、そのまま日本でも使えるようになります。
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東南アジアからの旅行客は増加傾向
観光庁の統計によると、訪日外国人の割合は中国や韓国などの東アジアが7割以上を占めています。次いで多いのはタイやシンガポールといった東南アジアからの旅行者で、年々増加しています。
イスラム教徒が多いマレーシアやインドネシアからの旅行者も増加傾向にあります。空港に礼拝室を設けたり、飲食チェーンがハラール食を提供するなど、国内で訪日ムスリムへの対応事例が増えており、こうした点にも東南アジアからの旅行者に対する国内の関心の高まりが表れています。
シングテルが主導する電子決済連合「VIA」
羽田空港に導入された東南アジアのスマホ決済「VIA」は、シンガポールのシングテルを中心に結成されたアジア初の越境モバイル決済業者アライアンスです。「VIA」は2018年10月にスタートしたばかりですが、2019年7月時点で既に4000万人以上が利用しているそうです。
シングテルはアジアやオーストラリア、アフリカなどで約7億人のモバイルユーザーを有しています。
また「VIA」には、タイのAISが参加しており、今後はインドネシアやマレーシアの決済アプリも合流する見通しです。「VIA」は自国以外でも決済アプリが使えるようにシステムを共通化しています。現在はシングテルの「Dash」のほか、AISの「AIS Global Pay」が利用できます。
鍵になるのはネットスターズの「StarPay」
今回「VIA」の導入を可能にするのは、国内でいち早く複数のQR決済対応を始めたネットスターズです。同社は2019年3月にシングテルおよびAISとの提携を発表し、国内で展開するマルチ決済サービス「StarPay(スターペイ)」上で「ダッシュ」と「AISグローバル・ペイ」のサービス提供を開始しました。
「StarPay」は「LINE Pay」や「PayPay」といった国内の主なQRコード決済7ブランドに加えて、中国の「WeChat Pay」と「Alipay」にも対応できるマルチ決済サービスです。「StarPay」にはレシートプリンタ内蔵の専用端末やスマホ向けアプリが用意されています。
まとめ
中国に端を発したQRコード決済はアジアを中心に急速な拡大を見せています。日本国内でもQR決済ブランドが乱立し、コンビニではクレジットカードや電子マネーなど数十種類ものブランドに対応を強いられています。
消費増税にあわせて始まったキャッシュレス還元制度によって、小規模店舗でもキャッシュレス決済への対応が迫られています。インバウンド対策も可能な決済サービスは、1契約で複数のブランドに対応できる点が最大の利点です。まだキャッシュレス化できていない店舗は早急に対応することで、機会損失を防ぐことにもつながるでしょう。
<参照>
日本政府観光局:訪日外客数(2018 年 12 月および年間推計値)
羽田空港プレスリリース:国内空港初!東南アジア向けモバイル決済「VIA」を導入
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