あなたのスマホにも...実はそれ「中国アプリ」です:TikTok、Simeji、荒野行動、アズレンも…海外でも規制の動きが加速

中国では数多くのスマートフォンアプリが開発されており、その一部は日本はじめ各国のApp StoreやGoogle Playなどにも公開されています。

若年層を中心に多大な人気を持つショートムービーSNS「TikTok」やスマートフォン向けTPSゲーム「荒野行動」なども中国産アプリの一つです。TikTokを運営するバイトダンスは、同中国事業を分社して株式市場に上場する見込みであることが、2020年10月末日本経済新聞により報じられています。

中国国内での好調な展開と対照的に、2020年に入り、TikTokはじめとした中国のITサービスへの世界での風当たりが強くなっています。政治的関係悪化を背景に、インドでは6月末に国内でのTikTokの使用禁止を発表し、実際にアプリストアからの削除が見られました。

今回は中国産のアプリに対する各国の規制について、また中国産であることはあまり知られていないアプリについて有名なものを紹介します。

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日本でも身近な中国生まれのアプリ

日本のスマートフォンユーザーにも受け入れられている中国産のアプリは数多く存在し、特にSNSアプリゲームアプリは若年層を中心に人気を博しています。

日本市場への進出に成功したアプリメーカーが日本支社を設立する例もあり、中国のアプリメーカー各社が日本のアプリ市場にそれなりの価値を見出していることが分かります。

ここでは、日本への進出に成功した中国産アプリの一部を紹介します。

1. TikTok

TikTokは、北京に本社を構えるByteDance(字節跳動)により開発、提供されている「ショートビデオ」と呼ばれる短い動画をシェアするためのSNSです。

中国では2016年9月よりサービスが提供されており、日本には2017年8月に進出しました。

10代と20代の若年層を中心に人気を博しており、2019年11月時点の月間アクティブユーザー数は約950万人と、後発のSNSであるにもかかわらず多くのユーザーを抱えています。

独特の動画編集機能と多くの有名人(TikToker)が存在することが、TikTokの人気を後押しする一因となっているようです。

中国では「抖音」(ドウイン)の名前でサービスを展開しており、こちらのサービスを利用するには中国のアプリストア(App StoreGoogle Playを含む)からアプリをインストールする必要があります。

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2. Simeji

Simejiは、Baidu Japan(バイドゥ株式会社)により開発されている日本語入力ソフトです。

2008年11月、Google Playの前身となるAndroid Marketにて提供が開始され、Android黎明期の日本語入力を支えました。初期のSimejiは足立昌彦氏と矢野りん氏という2名の日本人により開発されていましたが、2011年12月にバイドゥ株式会社へ売却されてからはバイドゥにより開発が進められました。

2013年には情報を中国に送信する不具合が発覚するなどの不祥事もありましたが、現在では多くの顔文字着せ替えに対応しており、10代女性を中心に広く使われているようです。

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3. 荒野行動

荒野行動は、NetEase(ネットイース、網易)により開発されているTPSゲーム(※)です。

※サードパーソン・シューティングゲーム:シューティングゲームの一種。主人公を追う第三者視点でゲーム中の世界・空間を任意で移動でき、武器もしくは素手などを用いて戦うアクションゲームのこと。

2017年12月より日本を含む全世界で提供されています。100人のプレイヤーが最後の1人になるまで戦闘を繰り広げるゲームの刺激はもとより、ゲームにはチームを組むための友人申請機能やチャット機能も備わっており、出会い系の要素があるという見方もあります。日本にも多くのプレイヤーが存在します。

2018年4月に韓国のゲーム会社が、荒野行動が同社のゲーム「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」の著作権を侵害しているとして訴訟を起こしました。両社は2019年3月に和解していますが、中国企業による「パクリ」騒動はまだまだ健在のようです。

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4. アズールレーン

アズールレーンは、Manjuu Co., Ltd.(上海蛮啾網絡科技)とYongshi Co., Ltd.(厦門勇仕網絡技術)により開発、動画共有サービスのBilibiliにより配信されているシミュレーション・シューティングゲームです。日本では、株式会社Yostarにより配信されています。

中国では2017年5月、日本では2017年9月から配信が開始されており、日本におけるユーザー数は600万人を超えています。

アズールレーンは中国企業により開発されていますが、いわゆる「日系」ゲームとしての体裁を整えており、声優、楽曲、イラストの制作には日本人が携わっています。

またスピンオフアニメが2019年10月よりTOKYO MXにて放送されるなど、中国産アプリの中では最も日本を意識していると言っても過言ではないほど、日本文化を活用した開発が行われているのが特徴です。

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こんなアプリも中国生まれ

ここまで、日本でも人気のある中国産アプリを紹介してきましたが、他にも多くの中国産アプリが日本の市場で切磋琢磨しています。

例えば、Android向けファイル管理アプリ「ES File Explorer」はBaidu(百度)、スマートフォン最適化アプリ「Clean Master」や画像管理アプリ「QuickPic」はCheetah Mobile(猟豹移動)によりそれぞれ開発されています。

また、女子高生を中心に人気を集めている画像加工アプリ「BeautyPlus」や「Meitu」はMeitu(美図)により開発されており、これらも日本市場への参入に成功したアプリの一例です。

最近では、ライドシェアサービス「DiDi(滴滴出行)」も2018年9月から日本に進出しています。日本では二種免許を持たない運転手によるタクシー事業(白タク)が法律で禁じられているため、中国とは異なり一般のタクシーを配車するサービスとして日本市場に展開しています。

動画共有サービスの「BuzzVideo」やショートムービーサービスの「快手」、ゲーム「IdentityV 第五人格」、写真加工アプリ「Ulikeユーライク」など、日本市場でも認知されている中国製アプリは枚挙にいとまがありません。

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中国ではスマートフォンなどの情報端末を通じた通信は政府の検閲対象です。中国企業が開発したスマートフォンやパソコンなどで中国へ情報を送信するスパイウェアが発見された例もあります。

そのため、中国産のアプリも個人情報などを中国に送信しているのではないかという懸念の声も見受けられます。

しかし、App StoreやGoogle Playなどからダウンロードできるアプリは全てAppleやGoogleの審査を経ているため、基本的には安全であるとの見方もできます。

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2020年は各国で中国製アプリ規制が強まる

2020年に入ってから、各国が中国製アプリの危険性について懸念を示しはじめました。

インド:9月には118のアプリを規制対象に

インド政府は、TikTokを含む59の中国製アプリの使用禁止を6月29日に発表しました。使用を禁止した理由については「インドの国家安全と防衛を脅かし、最終的にはインドの主権と倫理を侵害する」としています。

2020年9月3日には、当初の発表よりも多い118個のアプリに対し、使用禁止の措置を取ったことを発表しています。 中国IT企業への打撃はかなり大きくなると予想されます。

インドにおける中国製アプリ規制に関するTwitter投稿
▲Asian News InternationalのTwitterより:編集部スクリーンショット

Twitter:Asian News Internationalの投稿(https://twitter.com/ANI/status/1301127326122438657)

アメリカ:マイクロソフトは買収交渉を断念、オラクルとウォルマートが株主になる見通し

7月にはアメリカも中国企業製のアプリの使用禁止を検討しています。本件に関してポンペオ国務長官は中国製のアプリを使用することで「中国政府に利用者の個人情報やデータが流出する可能性がある」としており、中国製のアプリの情報流出のリスクへの懸念を強めています。

8月にはマイクロソフトによる事業買収の可能性が報じられましたが、同社は運営企業のバイトダンスより売却交渉を受け入れられなかったことを9月14日に発表しています。

9月20日には、バイトダンスはTikTokのアメリカを含む国際事業に対し、オラクルとウォルマートの出資を受けることが報じられました。TikTokのアメリカでの事業については、バイトダンスがソフトウエア大手オラクル等と提携する見通しでアメリカと中国での審査が進められていますが、その主導権争いも起きていることが伝えられています。

アメリカのトランプ政権はアメリカ国内でのTikTokのダウンロードや更新を9月27日深夜から禁止することを決定していました。運営する中国企業のバイトダンスが差し止めなどを求める訴えを起こし、首都ワシントンの連邦地方裁判所がこれを認める命令を出していましたが、10月に入るとアメリカ政府はこれに対し上訴しました。

オーストラリアも国家安全保障上の脅威を懸念し、同アプリの利用禁止を検討中とのニュースもありましたが、同国首相は利用制限する根拠が不足していると発表しています。

日本:7月末、法整備を含む利用制限を提言

さらに、日本でも規制の流れが見られています。

自民党は、TikTokをはじめとする中国製アプリについて、法整備を含む利用制限を検討すべきとする日本政府への提言を、8月にもまとめる方針であることが明らかになりました。

7月28日には、自民党の甘利明税政調会長が会長を務める「ルール形成戦略議員連盟」が専門家を招き、中国製アプリの利用者の個人情報や政府の情報が中国政府に流れるリスクについて検討を行っています。

香港:7月中旬、TikTokが撤退

7月11日以降、バイトダンスが運営するTikTokが香港市場から撤退しました。

この撤退は、香港国家安全維持法案の成立により、取り締まり強化の対象となることを避けるためといわれています。

パキスタン:10月、TikTokへの通信をブロック

2020年10月にはパキスタンも「社会の多方面からの苦情」と「投稿されるコンテンツの特性」を問題として、同国内からTikTokへの通信をブロックすることを発表しています。

中国企業の日本と世界への進出は止まらない

中国産アプリの日本進出はとどまるところを知らず、日本のアプリメーカーは海を越えてやってくるライバルに策を講じる必要に迫られている状況と言えるでしょう。

同時に、スマートフォン業界においても、中国ブランドの進出が目立ってきました。以前から日本向けにスマートフォンを発表していたHuawei、ZTEのみならず、2018年にはOPPO、2019年にはXiaomi(小米)と、続々と日本進出を果たしています。

こうしたメーカーはコストパフォーマンスの高い商品に強みを持ち、また消費者の中国製品に対する評価の転換を経て、国内メーカーに対する脅威となりつつあります。

中国企業の日本市場進出にあたっては、その製品の独自性だけでなく、販促手法やスケールの日本との違いが目立ちます。

今後もIT業界では、ソフトとハードの両方の領域で、中国企業の勢いが目立ちそうです。日本企業は戦略やその有効性などから学べる部分があるのではないでしょうか。

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<参照>

Government Blocks 118 Mobile Apps Which are Prejudicial to Sovereignty and Integrity of India, Defence of India, Security of State and Public Order

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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