中国人が夢見る「超庶民的」日本食とは!?ドラマで加熱する「日本食ブーム」

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中国で日本食と言えば「うなぎ」「かつ丼」「寿司」「お好み焼き」などが有名です。こうした料理が食べられるお店も増えてきています。

近年日本食ブームに沸く中国では、居酒屋風の日本料理屋も見かけます。枝豆や焼き鳥や唐揚げといった、さながら日本の居酒屋のような料理が提供されています。

現地でこうした日本料理店が営業している背景には、少なくない中国人にこのような大衆的な日本料理を食べたいという欲求があるからと考えられます。

さらには、中国人は日本旅行中に本格的「大衆」日本料理を食べることを楽しみにしているとの情報もあります。庶民的な日本料理に惹かれる中国人心理はどのように出来上がったのでしょうか。

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中国で急増日本食レストラン「日本食ブーム」到来

農林水産省発表の資料によると、2019年の海外における日本食レストランは、2017年の約11.8万店から3割増の約15.6万店となっています。

これまでも日本食ブームは世界各地で何度も起こっていましたが、近年は訪日観光客が増えており、日本食に親しむ機会が増えていることはこの傾向を後押しすると考えられます。

また中国では、食をテーマにした日本のドラマ・映画の影響など様々な理由が後押しとなり、日本食への関心がますます強まっている傾向にあります。

「孤独のグルメ」など日本ドラマの影響

昨今の中国における日本食ブームのきっかけの一つとして、「深夜食堂」「かもめ食堂」「ごちそうさん」といった日本ドラマ・映画が大きく影響しています。これら日本ドラマは「iQIYI」といった中国の動画配信サイトで配信されています。動画の視聴は、中国人の主要な娯楽の一つです。

日本でも人気のグルメドラマ「孤独のグルメ」は、長らく中国で多くの視聴者から支持されています。主人公による店・メニュー選びから始まり、見るからに美味しそうな料理、さらに美味しさが伝わる食べ方の描写は秀逸で、画面越しに料理の魅力がダイレクトに伝わってきます。

ドラマに登場するのは庶民的なお店ばかりです。素朴な美味しさともりつけの料理で派手さや豪華さとは一線を画していますが、それでも食材や味付けの良さがあります。

昔ながらの日本情緒溢れる居酒屋で、焼き鳥・卵焼き・ビールといった日本でお馴染みの食事・飲み物を堪能する姿は、視聴者に「実際のお店に行って食べてみたい」と思わせる魅力があります。

食の安全性の重視

日本食は、盛り付けが美しい・ヘルシー・安全・高品質といったイメージを持たれています。特に中国では、食の安全性を脅かす問題が度々起こっているため、消費者の食に対する安全意識は高い傾向にあります。

2016 年に中国の国家食品薬品監督管理局が発表した「食品安全意識調査」の結果によると、消費者が食の安全において注目する項目として、有毒・有害物質、病気や病死の家畜肉、残留農薬、排水溝や下水溝に溜まった油を濾過して精製した地溝油などが挙げられています。

一方日本にある飲食店では、食材の安全性や衛生面への配慮は高水準であり、中国の消費者からの信頼も厚い傾向にあります。また、中国にある和食レストランの多くは、調理から提供まで客の目の前で完結スタイルをとっており、安全・安心を求める人にとってはお店を選ぶ際の重要な決め手の一つとなっています。

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寿司やラーメンだけじゃない、中国人が求める日本食

世界で有名な日本食と言えば、寿司・ラーメン・天ぷらなどが思い浮かびますが、今中国人が求めている日本のグルメは必ずしもこれらの代表的なグルメばかりではありません。

中国では日本食レストランの数・種類が増えています。上海や北京では本格的な寿司屋も存在します。

訪日中国人の増加に伴い、口コミを通じて以前なら知られていなかった日本食に対する認知も広がっているようです。また日本ドラマのヒットでも、中国人はリアルな日本食について見聞を深めています。

Weiboから読み取る人気の和食とは?

▲訪日中国人が「日本で食べた・飲んだ物」ランキング: トレンドExpress調査より引用
▲訪日中国人が「日本で食べた・飲んだ物」ランキング: トレンドExpress調査より引用


上の表は、トレンドExpressが、中国のSNS「Weibo」にユーザーから投稿されたコンテンツについて調査した結果です。「日本で食べた・飲んだ物」のTOP10には、寿司やラーメンといった代表的なグルメ以外に、焼き鳥・串カツ・日本のビールなど居酒屋で定番のメニューがランクインしています。

こうしたメニューがランクインする背景には、「深夜食堂」「孤独のグルメ」といった日本のテレビの影響があるようです。

日本の居酒屋で「とりあえず生ビール」と店員に告げ、よく冷えたビールで乾杯し、喉を鳴らしながら美味しそうに飲む姿は、日本の日常としてドラマや漫画に描かれてきました。

作品を通じてこうした習慣を目にした中国人は、描かれる食材や料理だけでなく、その空間での食事全体に魅力を感じるようです。こうして、訪日旅行の際には日本の居酒屋で実際にドラマのシーンを体験してみたい、と思う人が出てきました。

中国ではジョッキに入った生ビールは少なく、瓶ビールが一般的です。基本的には常温で提供され、冷えた商品を準備している店も全体としては多くはありません。またアルコール度数が低い・炭酸が控えめという、日本のビールとは異なる特徴があります。

こうした食文化の違いもあり、日本のビールには多くの付加価値が生まれています。

無形文化遺産の和食

2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されてから、世界ではますます和食への注目が高まり、和食人気を後押しする結果となりました。

文化遺産登録された「和食」は、新鮮な食材と調理方法・装飾や食器も含めた季節感の表現・健康的な栄養バランス・日本の年中行事との密接な関係という4つのポイントが特徴とされています。

ユネスコ無形文化遺産に登録されている食文化は、地中海料理やメキシコ料理など世界でも限られており、アジアでは和食と韓国のキムチ作りの習慣のみが登録されています。(2020年1月現在)

数少ないユネスコ無形文化遺産の食文化に登録を果たした和食は、世界中の旅行客に対する訴求ポイントとなっているでしょう。

訪日中国人に人気のグルメスポット

観光庁が2018年に発表した「訪日外国人消費動向調査」によると、訪日中国人の旅行消費額は1兆5,450億円と他国の観光客と比べ群を抜いて高い結果となっています。

内訳は、1位の買い物代が8,110億円、2位の宿泊代3,100億円、3位の飲食代2,619億円です。飲食費も非常に大きな市場を形成しています。

中国人は常日頃から食べることを大切にしています。また、美味しいものを味わうことに価値意を見出す人も少なくありません。訪日中国人は、日本で美味しい料理を食べたい時にはどのような場所に足を運ぶのでしょうか。人気のグルメスポットの一例を紹介します。

1. 「思い出横丁」「新世界」などの大衆居酒屋

日本には個人店からチェーン店まで、多様な店構え、品ぞろえの居酒屋が至るところにあります。東京の新宿区にある「思い出横丁」、また大阪の大阪市中央区にある「新世界」には大衆居酒屋や料理屋が所狭しと並ぶエリアです。こうしたエリアが、訪日中国人から人気となっているそうです。

日本の昭和期を思いださせる、味のあるたたずまいの店が多く並びます。生ビールを飲みながら唐揚げや焼き魚といった一品料理をつまみ、賑やかな雰囲気の中で会話に花を咲かせるのは、日本らしい居酒屋体験ととらえられ、中国に限らずこうした体験にあこがれる訪日外国人を呼び寄せています。

訪日外国人が多く訪れる店舗では、インバウンド向けに外国語メニューを用意したり、注文方法や食べ方の説明などを掲示したりといった取り組みも重要になります。

店舗や料理の質の高さはもちろん集客の一因となりますが、積極的なインバウンド集客対策を実施することでより多くの来店の可能性もあるでしょう。

2. 富裕層向けの高級料理店

日本の日常的なリアリティ溢れる飲食体験ができるリーズナブルな居酒屋とは対極に位置するような高級な和食店にも、中国の富裕層が好んで訪れているそうです。

訪日中国人が高級料理店に足を運ぶ背景には、単に富裕層だからという理由だけでなく、中国独特の「最も値段が高い=最も良いもの」と認識する価値観の違いがあります。

日本では良いものをリーズナブルに食べられるお店は数多くありますが、日本の食事情をよく知らない富裕層にとっては、値段が安いことはむしろ不安を覚える要素となります。

値段が高いということは良いものを食べている証拠と信じるタイプの富裕層にとっては、高級料理店に行くことは間違いなくステータスの証明です。

中国の富裕層をターゲットにするならば、食材の安全性・高品質・美味しさだけでなく、いかに「高級」であるのかを同様にアピールすることも重要です。

来店してもらえた場合には、「おもてなし精神」の質の高いサービスを提供することで、リピーターの獲得や高評価の口コミの拡散につながることが期待できます。

訪日中国人にとって日本食は「コト消費」コンテンツの一つ

日本食への関心をますます高めている訪日中国人にとって、日本で飲食するということは美味しい料理を食べるだけでなく、飲食を通じて日本らしい体験をすることも目的の一つです。

爆買い」に挙げられるように「モノ消費」が活発だった数年前に比べ、現在はより日本らしい経験を重ねる「コト消費」へと移行しています。飲食体験も「コト消費」の対象になりえます。

訪日中国人を取り込むには、いま中国人が求める日本食のトレンドを知ることがまず重要です。そして、ホームページやSNSなどを活用して、豊富な写真を使いながら料理の魅力を発信したり、日本らしい食事体験ができることを全面的アピールすることで、「食べに行きたい」「体験したい」と思ってもらうことが集客の大事な一手となるでしょう。

<参照>

ITmediaビジネス:中国人客は日本で「取りあえずビール」をやってみたい……なぜ?

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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