「聖地」多い埼玉県のインバウンド対策3事例 | アクセスの良さも訪日外国人にとっての魅力

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埼玉県は東京に隣接し、ベッドタウンとして発展しています。

訪日外国人にはアニメの聖地としても有名で、自然環境や古風な街並みといった観光資源と、東京都との好アクセスが両立することでも人気を集めます。

この記事では、埼玉県のインバウンドの現状と課題を振り返り、近年注目を浴びるエコツーリズムを成功させた飯能市の事例や、効果を挙げているインバウンドプロモーションの事例などを紹介します。

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埼玉県のインバウンドの現状

日本の首都・東京の隣県である埼玉県を訪れる訪日外国人はどれくらいいるのでしょうか。

東京とのアクセスも良く、有名な観光スポットも擁する埼玉県ですが、訪問率は全国で平均程度です。

県内の多言語化対応やフリーWi-Fiの整備は進んでおり、埼玉県はインバウンド対策へ力を注いでいることがわかります。

埼玉県の強み:アニメの聖地、アクセスの良さ

埼玉県にはアニメの聖地が多く、若年層を中心に多くの訪日外国人聖地巡礼に訪れます。「クレヨンしんちゃん」の春日部、「らき☆すた」の鷲宮、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」の秩父などが有名です。

また、東京駅から埼玉のターミナル駅である大宮駅へは在来線1本、40~50分程度の所要時間で行き来でき、アクセスの良さも大きな魅力です。

埼玉県のインバウンドデータ

2018年の訪日外国人消費動向調査によると、埼玉県のインバウンド訪問者数は31万2,168人であり、全国第27位でした。

一方で、1人1回当たり旅行消費単価は80,219円であり、全国第3位と高い水準です。これには平均宿泊日数が14.9泊という長期滞在傾向が関係していると考えられます。

国別訪問者数は1位は中国の21.66%、2位は台湾の18.64%、3位は韓国の13.57%でした。 

埼玉県のインバウンド需要

埼玉県は訪日外国人の訪問率、訪問数や宿泊人泊数は全国平均前後ながらも、消費金額が全国第3位の51,030円となっています。

埼玉県のインバウンド対策状況

埼玉県では、全国平均と比較してインバウンド対策が進んでいるといえます。

Japan.Free Wi-Fi登録施設は4,246施設であり、全国第9位に位置しています。

施設内案内表示の英語化率は75%以上であり、おもてなし認証規格登録事業者の数は960件で全国第6位です。

訪日外国人が安心して旅行を楽しめる環境が整備されつつあるといえます。

埼玉県のインバウンド対策事例

埼玉県ではインバウンド対策に力を入れています。

県内の各自治体でもインバウンド需要を積極的に取り込むべく、さまざまな施策を展開しています。

各自治体それぞれの、ユニークなインバウンド対策の一例を紹介します。

1. 飯能市の事例:エコツーリズムで観光客のリピーター率50%超え

埼玉県南西部に位置し、豊かな山林を擁する飯能市では、市民の提案からユニークなツアーが生まれています。

飯能市では年間150本のエコツアーを扱っており、市役所内にエコツーリズム推進課を設置していることなどから、エコツーリズム先進地区といわれています。

飯能市は住民や事業者、NPO法人が協力してエコツーリズムを推進する、「エコツーリズム全体構想」第一号として環境省に認定されました。

古民家でのクリスマスリース作りや、各1,500名を集める春と秋の「お散歩マーケット」、女性専用の滝行などが住民目線で企画・実施され、それらの個性ある体験型観光が好評を得ているようです。

飯能市を訪れる観光客のリピーター率は50%を超えています。世界の観光トレンドを見渡してみると、環境負荷の少ない移動手段に対する評価の高まりなどがみられています。今後日本の観光業界でも、「持続可能性な社会」に対する意識の高い観光客への訴求してくことになるでしょう。

こうした中で、都心からのアクセスも良い飯能市の取り組みは、今後のインバウンド誘客にもポジティブな影響を発揮すると考えられるでしょう。

【埼玉・飯能】山奥なのに外国人で盛況、なぜ?環境保全と観光客満足度が両立する観光の「エコツーリズム」インバウンド誘客への応用例3選を紹介

インバウンドの地方誘客促進が叫ばれる中、エコツーリズムを活用し地域活性化を目指す動きが活発化しています。エコツーリズムとは、自然環境、そして文化・歴史等を観光の対象としながら、環境の保全性と持続可能性を考慮する観光のことです。エコツーリズムを主軸においた観光業を展開している一つが埼玉県飯能市です。飯能市を訪れる観光客のリピーター率は50%を超え、インバウンド誘客にも効果を発揮しているといいます。今回は、エコツーリズムを取り入れインバウンド客の誘致ならびに地域活性化を目指す、埼玉県飯能市・京...

2. 川越市の事例:「外国人目線」のインバウンドプロモーション

外国人にも親しみやすい「小江戸」の愛称で知られる川越市は、古い街並みや老舗の名店、縁結びで知られる「川越氷川神社」などが人気を集めています。

同市の2019年の外国人入込観光客数は31万3,000人で、6年連続で増加しています。

川越市は継続的にインバウンド対策に取り組んできました。国ごとにアプローチを変え、効率的にアピールする作戦をとっています。

具体的には、台湾・香港向けにはインフルエンサーやウェブサイトを通じたPR活動を、タイ向けには観光アンバサダーを起用するプロモーションを展開しています。

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埼玉県では、県内の旅行者宿泊予約が伸びています。 旅行に関するオンライン予約を扱うエクスペディアグループが3月に発表した調査結果によれば、外国人観光客の人気も高まっており、2018年の宿泊予約件数は去年と比較して170%成長となっています。特に川越市を訪れる外国人観光客は、前年比42%と大幅に増加しており、川越市の過去最多記録を更新しました。各都道府県でインバウンドの需要は高まっていますが、埼玉県の数字はひときわ目立っています。外国人観光客をとりこにするエッセンスを探りました。インバウンド...

3. 秩父地域の事例:中核組織を立ち上げ、地域のブランディングを図る

秩父地域では、秩父市・横瀬町・皆野町・長瀞町・小鹿野町が共同で中核組織「秩父地域おもてなし観光公社」を立ち上げました。各自治体の観光面での協力や民間との連携をすすめ、秩父地域のブランド化に取り組みます。

台湾、アメリカ、フランス、タイの4か国をターゲットとして選定し、国別プランを考案・実行しています。駅前のアンテナショップ「LOVE CHICHIBU」を通じ、地域ブランドの確立を特産品の販売促進を目指します。

同時に、Wi-Fi整備や飲食店の多言語対応、交通手段の充実といった訪日旅行客の受入れ環境の整備も推進しています。

埼玉県が訪日外国人の人気を生む3つの要素

増加する訪日外国人を確実に取り込み、埼玉県のインバウンド需要は急速な高まりを見せています。

埼玉県を支持する訪日外国人の背景には、行政と事業者がともに外国人のニーズを察知し、環境の整備や効果的なプロモーションに取り組んだ結果があるといえます。

以下、埼玉県が訪日外国人の数を順調に伸ばすことに成功している理由を紹介します。

1. 整備された交通手段

東武鉄道は、訪日外国人観光客専用の割引乗車券「KAWAGOE DISCOUNT PASS」を販売しています。

池袋-川越間の割引乗車券に飲食店や土産物店で利用できる割引クーポンの特典が付いた商品です。「KAWAGOE DISCOUNT PASS Premium」では上記に加え、川越市内のバス・鉄道のフリーパスも付加されています。

2. 鉄道会社と連携したプロモーション活動

東京からのアクセスが良好な埼玉県では、鉄道を利用して訪れる外国人の割合も高い傾向にあります。そのため、鉄道会社の各種取組みが集客に好影響を与えています。

埼玉県と西武鉄道が共同で、タイ人の人気女優2名を招き、「観光アンバサダー」に任命した連携事業はその好例です。SNS投稿や現地メディアへの出稿をはじめ、幅広いPR活動を担います。

ほかにも、県と各鉄道会社が協力しアジア圏観光客を意識したSNSに「映える」スポットのプロモーションを展開しています。

3. 伝統的な日本文化を感じられる観光資源

訪日外国人は、伝統的な日本文化を楽しみたいと思う人も多くいます。江戸時代から残る情緒漂う観光資源が多く存在する埼玉県は、伝統的な日本の雰囲気を味わえる場所といえます。

特に川越市では、蔵造りの街並みが人気を博し、和装用のアクセサリーショップやレンタル着物店も盛況です。見る・歩くだけでなく和装を身に着ける「体験」型のサービスも喜ばれています。

埼玉の中心地である大宮市でも、日本の伝統文化を楽しめるスポットは存在します。大宮公園北側エリアの総称である「大宮盆栽村」は、関東でも有数の盆栽郷として知られており、訪日外国人にとっては日本の伝統文化である盆栽を観賞できます。

東京からのアクセスの良さと観光資源で勝負

埼玉県は、アジア圏を中心とした訪日外国人から広く人気を得ています。古き良き日本文化を満喫できる街歩き、豊かな自然の中で楽しむアクティビティ、アニメの聖地巡礼など、他の地域にはないユニークな体験が支持されています。

東京の隣県であり、電車一本で訪れることができる良好なアクセスも大きなアドバンテージです。県内は全体的に交通網が発達しています。自然のあふれる地域でありながら都心から足を運びやすく、訪日外国人にとって観光しやすいエリアといえます。

埼玉県ではインバウンド需要の取り込みに意欲を見せており、環境の整備や訪日外国人向けプロモーションに前向きです。埼玉県のインバウンドの、今後の更なる伸びが期待されます。

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2023年は2,500万人の外国人旅行者が訪れた日本のインバウンド市場。コロナ前の2019年に迫る勢いの回復をみせており、2024年の訪日外国人数は3,000万人を上回るとの予想もあります。

日本を訪れる外国人旅行者の間で、特に人気が高いアクティビティが「桜の鑑賞」です。桜の開花時期に合わせて日本を訪れる外国人も多く、日本の重要な観光資源の一つとなっています。

そこで訪日ラボでは、「『桜シーズン』に向けたインバウンド施策のポイント」と題したセミナーを開催しました。
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【インバウンド情報まとめ 2024年3月】2023年年間宿泊者数 1位は韓国 他

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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