中国は訪日観光客による消費額1位の国として、知られています。さらに、中国の越境ECの市場規模も世界1位であるため、越境ECを通した収益も期待できるでしょう。
中国の越境ECモールに自社商品を出店することで、訪日観光が不可能な昨今でもインバウンド効果を上げられるはずです。
本記事では、越境ECの現状や販売方法、中国で人気の越境ECモールについて解説します。
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中国の越境EC事情
中国は、世界1位のEC市場規模を誇っています。越境EC市場では、米国の約2倍以上もの金額で日本製品が購入されているほどです。また、イベントにあわせて爆発的にECサイトの売上が伸びる場合もあります。中国越境ECの市場は米国の約2倍の3兆円超え
経済産業省の発表によると、2019年のEC市場規模で中国は1兆9,348億米ドルを記録しています。国別のEC市場規模でみても第1位であり、日本の約10倍です。越境EC市場でみると、中国の越境BtoC-EC(日本・米国)の総市場規模は3兆6,652億円、また、米国の総市場規模が1兆5,570億円であることから、中国の越境ECにおける市場規模の大きさがわかります。
さらに、中国の消費者は日本から1兆6,558億円分を購入していることも明らかになっています。
このように、中国の越境EC市場は今後も拡大する見込みで、2023年にはEC化率が63.9%に上昇すると予想されるほどです。
インフルエンサーマーケティングが活発に
中国のECサイトでは、SNSやライブ配信アプリなどを活用したインフルエンサーマーケティングもよく用いられています。中国のインフルエンサーは「KOL(Key Opinion Leader)」や「網紅(わんほん)」と呼ばれ、専門知識に長けており、フォロワーからの信頼が厚いことが特徴です。
商品が一気に売れるチャンス?「独身の日」
中国では11月11日が「独身の日」とされており、ネット販売のセールが大体的に実施されます。「独身の日」はもともと、「光棍節(こうこんせつ)」と呼ばれており、1人を連想させる「1」が日付に多く並ぶことから、独身の方が自分にプレゼントを買う意味合いが広まりました。「独身の日」では毎年、多くのECサイトで大規模なセールが開催されて、莫大な利益を上げています。
2020年、中国ECサイト最大手のアリババ集団が実施したセール期間中の取扱高は、4,982億元(約7兆7,000億円)を記録するほどです。アリババ集団では、世界89か国と地域におよぶ商品の取り扱いがあります。特に、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で、海外に旅行できない消費者が日本や欧米などの輸入品をまとめ買いする傾向が顕著に現れました。
関連記事:中国最大のECセール日「独身の日」の光と影 「総流通取引額7兆円」のカラクリ
ECサイトで中国へ商品を売るには
ECサイトで中国人向けの商品を売るためには、中国の越境ECモールに出店することが必要です。なお、関税や配送方法などのポイントをおさえておかなければなりません。越境ECは2タイプ:「自社EC型」と「ECモール型」
越境ECサイトは、「自社EC型」「ECモール型」の2タイプに大きく分けられます。「自社EC型」とは、企業自身が独自ドメインを取得して、運営するECサイトのことです。自社型ECサイトの構築には複数の方法があり、それぞれ制作コストが異なります。
「自社EC型」は、ECサイトの立ち上げから自由に構築できるため、デザインやシステムを思い通りにカスタマイズできることがメリットです。さらに、出店の際に手数料がかかる心配もありません。ただし、ECモール型に比べると知名度が低く、また単独運営であるため、集客や宣伝のコストが大きくなることがデメリットでしょう。
ECモール型は、商品を出品する「マーケットプレイス型」と、店舗そのものを出店する「テナント型」の2タイプにさらに細分化されます。
知名度が高いECモールに出店すれば、消費者からの信頼や宣伝効果が期待できるはずです。しかし、「他店と競争しなければならない」「モールそのもののイメージが大きくなってしまう可能性がある」「自社EC型では発生しない諸経費がかかる」などのデメリットがあります。
中国のECモール出店は越境ECモールで
中国法人でない場合、中国の主なECモールに出店できない場合が多いでしょう。そのため、基本的には専用の越境ECモールに出店します。実際に、中国で最も大きい越境ECプラットフォームである「Tmall Global(天猫国際)」では、「中国市場で大きく成長しようとするブランドが、中国消費者のなかでも3億人の中産階級にアプローチできる」と発信しているほどです。なお、中国で法人登録すれば、越境ECモール以外にも出店できます。または自社で中国越境サイトを開設する方法も有効です。
気を付けるべきポイント:関税と配送方法
中国では、越境ECを利用して郵送などの手段で個人向けに購入される商品には「行郵税」が課されます。行郵税とは、入国する個人の荷物や、個人の郵便物に対する輸入税のことです。税率は、2018年11月1日以降、商品別に50%、25%、15%、3%の4段階に分けられます。配送方法は、直送モデルと保税区モデルの2通りです。直送モデルとは、日本のECサイトに出品した商品を中国の消費者から注文が入るたびに、日本から個人消費者に向けて配送する方法です。
一方で、保税区モデルでは、あらかじめ中国の保税区に商品をまとめて郵送しておき、中国国内で商品を保管します。そして、注文ごとに通関手続きを実施して出荷する方法です。注文を受けてから発送までの期間が短くて済むことや、通関手続きがスムーズなどのメリットから、越境ECでは保税区モデルがよく利用されています。
中国で人気の越境ECモールを紹介
中国で人気の越境ECサイトを2つ紹介します。どちらも日本との取引や提携があるため、安心して出品できるでしょう。Tmall Global(天猫国際)
「Tmall Global(天猫国際)」はアリババグループにより運営されており、中国で最も大きい越境ECプラットフォームです。さらに、アリババグループは中国ECプラットフォーム事業者のシェアで55.9%を占めています。Tmall Global(天猫国際)では、企業出店において高い出店基準を設けており、偽物や正規品が排除されています。利用者の特徴として、消費者の46%が「中間所得層」で、利用者の50%以上が30歳以下、23歳以下のデジタルネイティブユーザーが多いことが挙げられます。日本商品の人気も高く、越境ECにおける国、地域別流通総額ランキングでは、日本が4年連続1位を獲得するほどです。
JD WorldWide(京東国際)
JD WorldWide(京東国際)は、京東集団が運営している越境ECモールです。また、「京東(ジンドン)」は、中国のECモールで第2位の規模を持つ直販型越境ECとしても知られています。さらに、JD.comは2004年にeコマースに参入しており、成長著しい企業です。2019年に推定された中国ECプラットフォーム事業者のシェアでは、第2位の16.7%でした。ヤマトホールディングス傘下で国際物流を手掛けるヤマトグローバルロジスティクスジャパンが、京東と提携して、配送を担っていることが特徴です。
関連記事:越境ECの人気プラットフォームを比較、海外に日本のモノを効率的に販売するには
中国の越境ECでインバウンド効果を上げる
中国のEC市場規模は、EC大国と言っても過言ではありません。越境ECの市場規模も大きく、越境ECモールに日本製品を出品すれば利益を上げることも難しくないでしょう。コロナ禍の今だからこそ、越境ECでインバウンド顧客にアプローチすることが効果的です。
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