先日開催された台湾最大の国際旅行博「ITF(台北国際旅行博)」での取材内容をもとに、台湾市場の最新状況や、各社・自治体のプロモーションの動きなどをお届けする「台湾市場のインバウンドプロモーション最前線」。
第二弾の今回は、TSMC(台湾の半導体メーカー)が熊本に進出することから、さらなる台湾市場の誘客に期待がかかる九州エリアへのインタビューをご紹介します。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
TSMC進出の九州エリア、台湾市場への期待感は
TSMCは、先述した通り台湾の半導体メーカーです。近く熊本への進出が予定されており、その経済効果は非常に大きなものになると期待されています。
元々地理的にも近いことから、台湾からの観光客も多い九州エリア。インタビューでは、担当者の方々の期待感も高まっている様子がみられました。
一般社団法人九州観光機構 海外誘致部 次長 加納孝康さん
今回は九州全県で1つのブースを出展しており、「オール九州」でのプロモーションを行っています。
今年は、今回のプロモーションの前段階として7月に台湾で商談会を行いました。今後、熊本にTSMCが来るので、熊本を中心に九州全体を広域周遊してもらえるようなプロモーションも行っていこうと考えています。

(訪日ラボ編集部:来場者の反応は?)
九州の具体的な情報はまだ知られていないようです。こことここはバスで移動できるのかとか、旅行の効率の良さとかを聞かれますね。
(注目されているコンテンツは?)
キャラクターは、熊本のくまモンが人気です。また、今の時期のイベントでは、佐賀のバルーンフェスタや各地域の紅葉も人気ですね。あとはまだニッチですがツール・ド・九州が10月にあったので、サイクリングの情報も発信中です。他にも、観光列車が多い土地柄で、そちらも大変人気を集めています。
(今後のプロモーションは?)
今後もできれば出展していきたいと考えております。さらに検討したいのが「テーマを絞る」というやり方ですね。例えば今年福岡にザ・リッツ・カールトンがオープンしましたので、富裕層に向けてアプローチするなど、幅広くやるだけでなくテーマを決めた発信の仕方もあるのではと考えております。
その他、来場者の方にアンケートも取っているのですが、現時点の集計結果では、九州に「行ったことがない」と答えた方が半数を超えています。成熟市場と言われている台湾市場であっても、まだまだ九州を訪れたことがない人が多いと感じました。今後その方々を取り込んで、リピーターになっていただけるよう、関係を深めていければと思っております。

公益社団法人ツーリズムおおいた 誘致営業部 海外誘致営業課 課長 川上武士さん
大分県では、韓国に次いで2番目に多いのが台湾です。コロナ後も大切な市場であり、コロナ前以上にたくさんの方に来ていただきたいと思っております。熊本にTSMCの工場ができることもあって、九州全体での誘客が進みそうです。
(来場者からの質問は?)
「年が明けたら行くが、どこに行ったらいいか」「スキーをしに行く。レンタカーで行くが、雪がどのくらい積もっているか。運転は大丈夫か」といった、より具体的な質問になっている印象があります。
(今後の取り組みは?)
引き続きこういったイベントがあれば出展したいですし、SNSを使った情報拡散にも取り組みます。団体旅行も誘致したいと考えているので、旅行会社との繋がりも大切にしていきます。

福岡県 商工部 観光局 観光振興課 観光地域づくり係 事務主査 岩尾大吾さん
県として台湾の旅行者が多いため、旅行博の効果にも大変期待しています。ブースとしてはスタンプラリーをやっていて、九州全部を回ってくれるのが大きいですね。福岡だけでは誘客力にも限界があるので、九州全体でアピールしていきたいと思っています。
(力を入れているコンテンツは?)
様々取り組んでいるものがありますが、サイクリストを呼ぶというのが一つで、まずは台湾からということで取り組んでいます。令和3年度に市場調査を実施し、4年度から誘客しています。
(誘客の成果は?)
すでに100名以上に来ていただいています。一方で受け入れ側にもレンタルできる自転車が不足したり、場所が見つかりづらかったりといった課題がありますので、整備を進めていきます。

福岡市経済観光文化局 観光コンベンション部 観光マーケティング課 デジタルマーケティング係長 大島瑛一郎さん
台湾は重要なターゲットです。旅行博をきっかけに、福岡だけじゃなく九州全体、西日本全体が盛り上がってほしいと考えています。
(来場者の反応は?)
「この頃にツアーがあるから、観光スポットを紹介してほしい」といったことを聞かれます。やはりより質問が具体的になり、旅行が活発化している実感がありますね。
(どのような旅行商品が人気か?)
修学旅行、インセンティブツアーの増加が目立ちます。特に博多旧市街が人気です。屋台もコロナ後に新しいものができており、フレンチが楽しめる屋台や、長浜エリアにも屋台が復活したので、引き続きプロモーションを行っていきたいと考えております。

熊本市、上天草市、阿蘇市
- 熊本市経済観光局 観光交流部 観光政策課 主幹 石松祐一さん
- 上天草市 経済振興部 観光おもてなし課 小﨑あすみさん
- 阿蘇市 経済部観光課 課長補佐 宮川豪さん
台北ー熊本便が就航するのと、TSMCができるのもありますので、台湾市場を主要ターゲットにしています。熊本市だけだと街中という感じなので、自然のコンテンツを持っている上天草市、阿蘇市と連携して出展することにしました。
(来場者の反応は?)
結構な人気で、パンフレットは初日で3分の2を配布し終わってしまいました。質問は直行便に関して聞かれました。飛行機がどれくらいで着くのか、とかですね。
(今後はどういったプロモーションを?)
現地の旅行博もそうですし、デジタルプロモーションとしてラーチーゴーさんを使ったり、現地でイベント売ったりといった発信を続けていく予定です。また、上天草市ではサイクリングをされてる方にピンポイントにプロモーションをしていくほか、阿蘇市ではヘリコプターを使った富裕層向けのツアー商品を販売していきます。

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【7/9開催】消費額1.7兆円超!最新中国インバウンド市場の攻略ポイント
2024年、訪日外国人による旅行消費額は過去最高の約8兆1,257億円を記録。 そのうち中国は1.7兆円超(全体の約21%)と圧倒的な1位を占めており、宿泊日数や訪問者数でもトップクラスの存在感を示しています。
これだけ市場が大きく、経済インパクトのある中国インバウンド。 いま多くの企業が「中国向けに本格的な戦略を立てるべきではないか?」と検討を始めています。
しかし中国では、Googleをはじめとする多くのサービスに規制があり、中国現地のSNSや地図サービスを活用するなど、独自のカスタマイズされた対策が必要です。
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<本セミナーのポイント>
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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