先日開催された台湾最大の国際旅行博「ITF(台北国際旅行博)」での取材内容をもとに、台湾市場の最新状況や、各社・自治体のプロモーションの動きなどをお届けする「台湾市場のインバウンドプロモーション最前線」。
第四弾の今回は、万博を控えインバウンドが盛り上がる「関西周辺エリア」の担当者の方々に伺った、台湾市場に関するインタビューをご紹介します。
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万博控えた関西 台湾市場も盛り上がるか
元々関西国際空港への直行便も多く、成田・羽田空港からゴールデンルートなどを通っての流入もあり、インバウンドが栄えている地域である関西。
今回は、2025年の万博開催へ向け、ますます盛り上がる関西周辺エリアの担当者の方々に、台湾市場への期待感を伺いました。
近鉄グループホールディングス株式会社 台北支社 副理 吉岡嵩太さん
台湾の方に近鉄を知ってもらうため、継続して出展しています。コロナが明けたので、ブースを大きくし、チケット販売にも力をいれました。
(訪日ラボ編集部:昨年との比較は?)
昨年は水際対策緩和後すぐだったので、熱量の高い方が前半に来て、後半は少し落ち着いた印象がありました。今年はお客様からいただく質問の内容がより具体的になってきて、旅行の熱も全体的に高まっていると感じています。
(人気のコンテンツは?)
以前セミナーでとったアンケートでは、神社仏閣、自然(桜、紅葉)、グルメ、温泉などが人気です。
(何をメインでPRしている?)
電車を使って周遊する利便性、沿線の魅力を知ってもらいたいと考えています。販売している周遊券は、1日券・2日券は大阪・奈良がメインですが、5日券だと三重や名古屋にも行けるプランで、実は大阪〜名古屋間を往復するだけで元が取れる計算なんです(笑)
台湾の方々は京都・大阪には行き慣れている方も多いので、今後は三重なども訴求していきたいと考えています。
(今後の期待感は?)
都市部がハブになりつつ、地方にも足を伸ばしてもらえるよう、地方の魅力を伝えていきます。他の鉄道会社や自治体とも連携し、協力して沿線の観光を盛り上げていければと思っています。
株式会社海遊館(近鉄グループ)海遊館 小林由和さん、ニフレル 小園翔さん
- 営業部 営業チーム 主任 小林由和さん
- ニフレル事業部 管理運営チーム 主任 小園翔さん
近鉄グループが運営する世界最大級の水族館「海遊館」と、美術館、動物園、水族館が融合したミュージアム「ニフレル」も一緒に出展しています。
海遊館では、外国人比率は3割ほど。コロナ前は中国が多かったですが、今は台湾、韓国、東南アジアが多いですね。円安の影響か、アメリカ、ヨーロッパからの観光客も徐々に増えています。
大変多くの方にご来場いただいているので、混雑しすぎないよう、人数の上限を設けています。空いている時間を案内するなど、満足度も高くなるよう工夫しています。
ニフレルのほうは、外国人比率が3%くらいなので、もっと誘客していきたいと考えております。比率の内訳としては香港、台湾、タイが上位を占めており、台湾も重要な立ち位置であると考えています。
(万博も開催されるが、盛り上がりはどうか?)
周辺の観光スポットとして盛り上がると思いますが、オーバーツーリズムにならないよう対策していく必要はありそうです。ニフレルは万博記念公園周辺にありますので、1970年当時の大阪万博におけるレガシーや2025年の大阪・関西万博のとの連動もしていきたいですね。
(今後の期待感は?)
両施設の来館傾向等は異なりますが、ITFのお客様の反応からもそれぞれにポテンシャルを感じています。近鉄グループとして力を合わせ、関西・大阪観光における魅力の底上げに繋がれば幸いです。
さらに海遊館やニフレルをきっかけとして、大阪ベイエリア(天保山ハーバービレッジ等)や大阪北部エリア(万博記念公園やEXPOCITY等)の魅力も併せて知っていただければと思っております。
阪神電気鉄道株式会社 スポーツ・エンタテインメント事業本部 甲子園事業部 髙本穂乃花さん
毎年コロナ前は出展していまして、コロナ禍も明けて旅行者が増えてきているので、球場や甲子園歴史館のことを知ってもらおうと出展しました。
ブースは南海電気鉄道さん、京阪電気鉄道さんと一緒に出展しています。
(来場者の反応は?)
甲子園歴史館の入館券をご購入いただいた方に、ユニフォームをプレゼントしてアピールしています。来年100周年と伝えると、「おーっ」となったりしますね。旅行者の方と直接触れ合い、ユニフォームを手渡しすることで、喜ぶ顔が見れてとても嬉しいなと思います。甲子園に行って、ぜひこのユニフォームを着て試合にいってもらえたらと。
(今後のプロモーションは?)
甲子園球場の知名度は高いと感じています。2014年の映画『KANO』(日本統治時代、台湾代表として甲子園で準優勝した野球部の実話を描いた)を「見たことある!」という方もいらっしゃいました。
100周年に向け、改めてプロモーションを強化します。繁体字でポスターを作成する他、繁体字のPR動画も、来年公開したいと考えています。
台湾も野球文化が根強いですし、馴染みのあるスポーツだと思います。実際に足を運んでいただけたらと思っております。
公益社団法人ひょうご観光本部 ツーリストインフォメーションデスク 仲智嗣さん
神戸空港を起点にヘリコプターを但馬空港まで飛ばすツアーや、姫路城を見ながら淡路島へ行くツアーといった特別な体験を得られる観光コンテンツなど、英語を通じてどのように全世界に向けて兵庫の魅力を発信していくかを考えています。
(今後の期待感は?)
大阪から入って、岡山・広島へ行ってしまう方も多いのですが、2025年に開催される大阪・関西万博に向けて、温泉、食など、兵庫ならではの魅力をPRして知っていただく絶好の機会だと思っています。
(来場者の反応は?)
台湾のお客さまにはご紹介する兵庫のコンテンツに興味を持っていただいている印象です。まだまだPRしきれていない魅力的な観光地や体験がたくさんあるので、様々な形で発信していければと思います。
徳島県 髙田朋枝さん、西條理人さん
- 商工労働観光部 観光政策課 係長 リーダー 髙田朋枝さん
- 商工労働観光部 観光政策課 インバウンド推進担当 主任 西條理人さん
(台湾市場の誘客の状況は?)
元々多いですが、さらに誘客していきたいと考えています。秋にチャーター便が就航するので、現地の旅行会社が商品販売しているのですが、大変好調で、完売状態だと聞いています。
(打ち出しているコンテンツは?)
鳴門の渦潮、かずら橋、大歩危峡観光遊覧船などですね。また、阿波おどり体験もツアーに入れていただいています。
(今後の期待感は?)
先月訪日客がコロナ前を超えて、さらに伸びてくると思います。今は東京や大阪といった大都市圏が多いと思いますが、今後地方も増えてくるとありがたいですね。
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