「春節」は、中国人が1年で最も重視する伝統的な祝日です。2025年の春節は1月28日(火)〜2月4日(火)の8連休で、大型連休となるこの期間、中国国内のみならず、国外に旅行する人が増えていて、日本にも毎年多くの中国人観光客がやってきます。
インバウンド担当者のなかには、2025年の春節に向けてどんな対策をするべきか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。今回は、2025年の春節の情報や、中国人に向けたインバウンド対策を解説します。
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春節とは
春節とは、中国における旧暦の正月(旧正月)を指します。家族や親戚で集まって豪華な料理で新年を盛大に祝う習慣があり、新暦の正月よりも盛り上がりを見せます。
例年帰省ラッシュで移動する人口が急増することも特徴で、コロナ前は外国旅行をする人も多く、日本を訪れて「爆買い」をする中国人が話題になりました。
なお、春節は中国だけではなく、台湾や韓国、シンガポール、ベトナムなどアジア各国でも祝われています。日程はそれぞれの地域によって異なりますが、休暇期間中はアジア各地から観光客が日本を訪れています。
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2025年の春節はいつ
中国国務院は2024年11月12日に、2025年の祝休日日程を発表しました。それによると2025年の春節は1月28日(火)〜2月4日(火)の8連休になります。
春節は旧暦の日付で祝われており、現在使われている太陽暦とは換算の仕方が異なるため、毎年日付が変わります。期間は旧暦の元旦にあたる「春節当日」の前日から平均して7日間となっていました。
2025年からは祝休日規則が改定され、これまで「休暇取得などの制度の導入を奨励」するにとどめていた旧暦の除夕(大晦日)、つまり春節連休の前日を2025年からは正式に祝休日として設定されることになりました。
2025年の春節連休初日の1月28日は除夕(大晦日)で、これを合わせて8連休となっています。なお、2024年も春節連休は8日間の大型連休となりました。
春節のインバウンドの動向は
コロナ前は多くの中国人観光客が日本を訪れていた春節。例年のこの時期のインバウンドにはどのような動きがあったのでしょうか。【コロナ前】2019年の春節のインバウンド動向
訪日中国人数はコロナ前の2019年まで6年連続で増加し、2019年には過去最多となる年間959万人に達しました。2018年は2月中旬が春節休暇でしたが、2019年は2月初旬になったことでとくに1月末の旅行需要が拡大しました。2019年1月の訪日中国人数は前年同月比19.3%増の75万4,400人で、1月としては過去最高を記録。好調な伸びの背景には、1月より開始した個人査証の発給要件緩和と航空座席供給量の増加があります。
2019年1月における国・地域別訪日外客数の1位は韓国で、次いで中国、台湾、香港と続き、東アジアの上位4か国が全体の77.2%を占めました。さらに、2019年1-3月期の訪日外国人旅行消費額では、トップの中国が4,244億円と全体の37%近くを占め、韓国、台湾、香港が上位にランクインするなど、中華圏の国々がインバウンド市場をけん引しました。
【コロナ後】2024年の春節のインバウンド動向
2024年の春節は2月10日(土)から17日(土)の計8日間でした。中国政府の発表では、2024年の春節前後を含む2024年1月26日(金)〜3月5日(火)の40日間には、過去最高となる延べ約90億人が地域を跨いで移動すると予測されていました。2月に日本を訪れた中国人は45万9,400人で、コロナ前の2019年の6割程度にとどまりました。2月の国・地域別の訪日外客数では1位が韓国で全体の30%近くを占め、次いで台湾、中国と続きました。
その後の2024年7月には77万6,500人まで増え、2022年の水際対策緩和後はじめて1位に返り咲く結果となっています。
関連記事:【速報】7月の訪日外客数329万人 中国がコロナ後初の1位に
インバウンド消費額も中国がけん引している状況です。2024年1-3月期の訪日外国人旅行消費額で、中国は3,526 億円で首位となりました。1人当たりの旅行支出額の内訳で、買い物代が国別で1位となるなど高い消費傾向にあります。
航空券代が高騰するなか、中国人の1人当たりの旅行支出は2019年同期比で34%増加していることからも、比較的金銭的に余裕のある層が現在の中国インバウンドの中心となっていることがわかります。
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インバウンド集客するにはいつから何をすべき?
インバウンド市場における中国の存在感が増すなか、2025年の春節に向けていつからどのような対策をしたらいいのでしょうか。まず中国人観光客を集客するためには、中国人が情報源として重視する口コミサイトやSNSの活用が欠かせません。中国最大級の口コミサイト「大衆点評」は訪日中国人の2人に1人が使用しており、SNSなども活用しながら中国人は積極的に情報収集をしています。
関連記事:訪日中国人の2人に1人が使う「大衆点評」プロモーション活用のポイントは【訪日ラボ中国人スタッフが解説 vol.8】
口コミを重視する中国人に向けたプロモーションとして、いつでも開始できるようできるだけ早いうちから準備しておくことをおすすめします。
国外へ旅行する人の多くは「出発する日の1〜3か月前」には旅行先の検討をはじめています。例年、春節は1月中旬〜2月中旬なので、早い人だと前年の10月頃から検討を開始しています。2025年の春節に向けたプロモーションをするなら、今から準備をはじめたほうがいいでしょう。
情報発信の適切なタイミングは業界・業種によって異なりますが、地域(自治体)、航空会社、宿泊施設、旅行代理店などの情報は早いうちから情報収集する傾向にあります。旅行1か月前の時点で予約がすでに終わっている人も一定数いると考えられます。
一方、小売店、飲食店、観光施設、アクティビティなどの業種は、旅行直前や旅行中に情報収集することもあります。いずれにしても、2024年のうちに情報発信をはじめることで中国人観光客に認知され、集客につながりやすくなるでしょう。
中国人の効果的な集客方法について、詳しくは「訪日中国人の集客方法をわかりやすく解説!中国人も重視する「口コミ」を活用するには?」の記事でまとめています。
春節以外にもある中国の祝日
春節期間中、多くの中国人観光客が日本を訪れることが期待されますが、春節以外にも中国にはさまざまな祝日があります。それぞれの時期に合わせてインバウンド対策をすることで、集客向上が期待できます。ここでは、中国の祝日をそれぞれ紹介します。2025年のそれぞれの祝日の日程については、「中国、2025年の祝休日を発表 「春節・国慶節」の日程は?」で解説しています。あわせてご確認ください。
4月:清明節
「清明節(せいめいせつ)」は、お墓を清め、祖先を供養する日として定められた中国の祝日です。先祖の墓に線香を上げて墓参りをする風習があるなど日本のお盆に似ています。旧暦の春分の日から15日目にあたる日が祝日として設定され、多くは毎年4月5日前後の日程で3連休になります。
関連記事:中華圏お盆の"清明節"とは?美しい色とりどりの食事を紹介、台湾・沖縄バージョンとの共通点を解説
5月:労働節
中国では5月1日を「労働節(正式には国際労働節)」として祝日に制定しています。5月1日は世界各国で「労働者の祭典」として祝日とする国が多く、「メーデー」と呼ばれています。中国では労働節として労働者の貢献を讃えるイベントが開催され、家族や友人と過ごす大切な期間とされています。例年、中国では労働節を含む数日間が休日となっており、過ごしやすい季節でもあることから旅行やレジャーを楽しむ人が多くなっています。
関連記事:中国の連休「労働節」5/1開始、日本も注目の目的地に
5月:端午節
「端午節(たんごせつ)」は古代中国において成立した、暦上の節目となる日です。由来は古代中国の政治家である屈原(くつげん)の供養祭であり、屈原が陰謀により失脚して入水自殺を図った旧暦の5月5日が端午節とされています。現在の暦では、多くは5月下旬〜6月のなかで3連休が設定されます。端午節にはボートレースが開催されたり、ちまきを食べたり、厄除け、厄払いをしたりする風習が残っています。
関連記事: 中国の「端午節」とは?日本の端午の節句との違いを徹底解説
9月:中秋節
「中秋節(ちゅうしゅうせつ)」は、中国を起源としてアジア各国に伝わる、五穀豊穣を祈る伝統行事の日です。日本の十五夜にあたり、中国では伝統的に家族団らんの日として知られ、月餅をお供えして満月を鑑賞しながら過ごすのが慣習となっています。2024年は9月15日(日)から17日(火)までの計3日間が休暇とされていますが、「国慶節」と日程が近く、年によっては国慶節と合体して大型連休となることもあります。
関連記事:2024年の中秋節はいつ?中国では3連休に:例年のインバウンド動向を解説
10月:国慶節
「国慶節」は中国の建国記念日で、春節と並ぶ大型連休です。1949年10月1日に中華人民共和国の成立が宣言されたことから、毎年10月1日が国慶節として定められています。連休中は国内や国外旅行に出かける人が増え、日本にも毎年多くの中国人観光客がやってきます。なお、同じ中華圏の台湾や香港にも国慶節(国慶日)がありますが、中国本土とは異なる日程が設定されるため注意が必要です。
関連記事:2024年「中国国慶節」はいつ?10月の大型連休に向け、中国インバウンドの最新動向を解説!
本格化する中国インバウンド市場に向けた対策を
2024年に入ってから中国インバウンド市場は急回復しており、7月には水際対策緩和後はじめて国別で訪日数が1位に返り咲くなど、日本の消費に影響を与えています。さらに、中国人の消費行動は「モノ消費」から「コト消費」へ、より満足度の高い旅行プランや体験型商品を求める傾向が高まっています。
中国では日本は旅行先として根強い人気があり、大型連休である春節期間にはより質の高いサービスや商品を期待する中国人観光客が日本を訪れることが予測されます。
口コミを重視する中国人の需要を取り込むためには、口コミサイトを活用した情報発信が有効です。先述した口コミサイト「大衆点評」については「大衆点評とは?中国インバウンド集客に必須な理由から登録方法まで解説」の記事で詳しく紹介しています。
さらに詳しく学びたい方は、訪日ラボ監修の「大衆点評の教科書」をご覧ください。無料登録で閲覧でき、インバウンド担当者にとって重要な情報・ノウハウをわかりやすくご紹介しています。
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<参照>
日本政府観光局(JNTO):訪日外客数(2024年7月推計値)
日本政府観光局(JNTO):訪日外客数(2019年1月推計値)
観光庁:【訪日外国人消費動向調査】2019年の訪日外国人旅行消費額(確報)
観光庁:【訪日外国人消費動向調査】2024年1-3月期の調査結果(1次速報)の概要
中国政府网:国务院办公厅关于2024年 部分节假日安排的通知
中国政府网:国务院关于修改《全国年节及 纪念日放假办法》的决定
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