JNTOが観光立国推進基本計画を踏まえた新マーケ戦略を発表 未訪日の関心層に向けたキャンペーンも

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日本政府観光局JNTO)は4月28日、メディアブリーフィング(メディア向けの報告会)を開催。

インバウンド観光をめぐる最近の動向やグローバルキャンペーンの取り組み、観光立国推進基本計画(第5次)を受けて新たに策定した訪日マーケティング戦略などについて説明しました。

関連記事:前回(1月)のメディアブリーフィング

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インバウンド観光、地方泊比率が上昇 前年比120%超の市場も

はじめに、インバウンド観光をめぐる最近の動向について、日本政府観光局JNTO)理事 出口 まきゆ氏より説明がありました。

▲日本政府観光局(JNTO)理事 出口 まきゆ氏:訪日ラボ撮影
▲日本政府観光局(JNTO)理事 出口 まきゆ氏:訪日ラボ撮影

2025年の年間訪日外客数は4,268万人で、2024年の3,687万148人を大きく上回り、過去最高を記録しました。

1月は、旧正月春節)の月ずれなどによる影響から前年同月を下回りましたが、2月以降は同月の過去最高を更新しています。

市場別でみると、中国は2025年12月以降、前年同月を下回っていますが、東アジア3市場(韓国台湾香港)、東南アジア6市場(タイシンガポールマレーシアインドネシアフィリピンベトナム)においては、多くの月で前年同月を上回る水準だと説明。欧州5市場(英国・フランスドイツイタリアスペイン)や米州・豪州・その他においても、好調な推移を記録していると述べました。

出口氏はさらに、訪日外国人旅行消費額についても言及しました。2026年1ー3月期は欧米豪をはじめとする訪日客の増加や平均泊数の増加により、前年同期比2.5%増の2兆3,378億円を記録。訪日外国人1人当たり旅行支出(着地分のみ)は同0.6%減の22万1,363円で、ほぼ横ばいと評価しています。

宿泊数について、同氏は地方部の外国人延べ宿泊者数が順調に増加していると言及しました。観光庁宿泊旅行統計調査によると、2025年には前年比15.5%増の5,873万人泊を記録。地方泊比率は33.0%となっています。

市場別でみても、香港ベトナムを除く18市場で前年を上回っているほか、米国カナダや欧州各市場では前年比120%超えを記録していると報告されました。

▲地方部の外国人延べ宿泊者数比較:日本政府観光局(JNTO)資料をもとに訪日ラボ作成
▲地方部の外国人延べ宿泊者数比較:日本政府観光局(JNTO)資料をもとに訪日ラボ作成

関連記事:3月外国人宿泊数は1,508万人、2月国籍別、台湾が約2年ぶりに1位【観光庁 宿泊旅行統計 2026年2月・3月】

いつ来ても楽しめる日本を新キャンペーンでアピール

続いて、新たなグローバルキャンペーンについて、市場横断プロモーション部の春原氏より説明がなされました。

JNTOでは、2018年2月より訪日客数増に向けたグローバルキャンペーンを行っています。今回、2度目のリニューアルとして新たなキャンペーンメッセージ「Japan. Unforgettable」が掲げられました。

従来は欧米豪を中心とした「日本を旅行先として認知・意識していない層(訪日無関心層)」に向けて「Enjoy my Japan」と題したキャンペーンを実施していましたが、春原氏はリニューアルの理由について「訪日市場の多様化が進み、欧米豪中東においても日本の旅行先としての認知度が上がっている」と説明。今後は欧米豪を中心に存在する「未訪日の訪日関心層」にフォーカスし、日本の多様な魅力や旅行スタイルを提案していく方針です。

キャンペーンでは、以下のコンセプトで日本を楽しむ旅行者の姿・視点を描いていくとしています。

  • 「いつ来ても」楽しめる
  • 幅広い国や地域、多様な旅行スタイルの人々が楽しめる
  • 日本のさまざまな地域の自然、文化、食など「多様な魅力」を発信

動画はすでに秋編・冬編の2本が公開されており、興味・関心度の向上を目的としたキャンペーンWebサイトも開設。同サイトには、滞在期間に応じたモデルコースの提案や訪日旅行計画時に役立つヒントなどが掲載されています。今後、秋に公開予定の春編・夏編動画に加え、内容の拡充も予定していると春原氏は紹介しました。

高付加価値旅行推進に向けた商談会、大阪で初開催

市場横断プロモーション部長の藤内氏からは、高付加価値旅行の推進に向けた商談会「Japan Luxury Showcase 2026」について説明がありました。

同商談会は、富裕層を顧客に持ち、高付加価値旅行を扱う欧米豪シンガポール旅行会社40社を日本に招請するもので、2017年より定期的に開催されています。

今回はグリーンシーズンの魅力訴求を強化すべく、開催時期を従来の2月から5月に変更しているほか、初めて大阪で行われることが決定しました。

藤内氏は大阪で開催される理由について、大阪・関西万博を契機にラグジュアリーホテルの新規開業が続いているためだと補足。同商談会に付随して開催される視察・体験ツアーでは、観光庁高付加価値旅行モデル観光地を中心とした10コースが設定され、歴史文化や職人技、自然アクティビティなど多様なコンテンツの紹介が行われます。

関連記事:大阪を富裕層インバウンドの「ハブ」に ラグジュアリートラベル商談イベント「Connections Luxury Asia Pacific」開催決定

▲「Japan Luxury Showcase 2026」視察・体験ツアーのコース概要:日本政府観光局(JTNO)リリースより引用
▲「Japan Luxury Showcase 2026」視察・体験ツアーのコース概要:日本政府観光局(JTNO)リリースより引用

訪日客数6,000万人達成に向け、新マーケティング戦略を策定

最後に、出口氏から新たな「訪日マーケティング戦略」の策定について発表されました。

同戦略は、政府が3月27日に閣議決定した「観光立国推進基本計画(第5次)」にもとづいて観光庁JNTOが策定したものです。市場別、市場横断(高付加価値・特定テーマ旅行)、MICEの3部構成となっており、政府が掲げた数値目標に対し、戦略的な訪日プロモーションに取り組むための方向性が記されています。

▲訪日マーケティング戦略の全体構成:日本政府観光局(JNTO)リリースより引用
▲訪日マーケティング戦略の全体構成:日本政府観光局(JNTO)リリースより引用

これらは達成に向けて観光庁JNTO、地方運輸局、DMO / 地方自治体などの間で共有され、効果的かつ効率的な施策展開のために活用されます。実施期間は観光立国推進基本計画に合わせ、2026年度から2030年度までとなっています。

なお、各政府目標に対する取り組みの方向性は、以下のとおりです。

訪日外国人旅行者数6,000万人、リピーター数4,000万人

取り組みの方向性:持続的な観光の実現に向けたインバウンド市場のさらなる多様化

  • 欧米豪市場やその他市場を中心とした新規訪日客の誘客
  • 東アジア市場・東南アジア市場を中心としたリピーター誘客
  • 観光の持続的な発展に向けた地域との連携強化
  • 関係省庁や関係機関との連携

訪日外国人旅行消費額15兆円、消費額単価25万円

取り組みの方向性:旅行消費額に着目したターゲティングとプロモーション

  • 高付加価値旅行者の誘致
  • 各市場からの旅行消費単価が大きい層の誘客
  • 欧米豪市場からの誘客強化
  • 宿泊・アクティビティなどの消費拡大につながるコンテンツの発信
  • インセンティブ旅行の誘致

訪日外国人旅行者地方部延べ宿泊者数1.3億人泊

取り組みの方向性:地方の観光地の魅力向上・地方誘客促進

  • リピーターや地方訪問意向の高い層の閑散期などを踏まえた地方誘客
  • 地方誘客に向けた航空会社との連携強化
  • アドベンチャーツーリズム・ガストロノミーツーリズムなどの長期滞在・地方誘客が見込めるテーマ旅行の推進
  • 国際会議などの地方誘致

新戦略では、訪日市場の拡大とニーズの多様化、戦略的誘客の必要性といった旧戦略策定時からの変化をふまえ、「新たな市場調査データにもとづいた情報の具体化を意識した」と出口氏は言及。地域からのニーズに応えるべく、ターゲットの特徴やプロモーションのポイントなどをより詳細に記載した点が大きな特徴だと示しました。

また、持続的な観光(サステナブル・ツーリズム)の推進を念頭に置き、地方誘客に親和性のある「自然自然に根ざした文化」を日本の提供価値として明示。このほかにも、地域社会に配慮した責任ある旅行者(レスポンシブル・トラベラー)としての行動の推奨を取り組みの柱に盛り込んでいます。

加えて、特定テーマ旅行の具体例として、新たにガストロノミーツーリズムが追加されました。訪日外国人の関心・ニーズが高い「日本の食」をフックに地方誘客を推進し、旧戦略で挙げられていた高付加価値旅行、アドベンチャートラベルMICEマーケティング戦略とともに、地域経済活性化に取り組むとしています。

出口氏は「本戦略を地域の強みに合うターゲットの絞り込みや受け入れ態勢整備、プロモーション施策の具体化にぜひ役立てていただければ」と意向を語りました。

関連記事:訪日客6,000万人・消費額15兆円 達成に向けた2030年までのシナリオは? 新・観光立国推進基本計画を解説

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訪日ラボ編集部

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