一般社団法人日本旅行業協会(JATA)は10月22日、定例記者会見にてインバウンドの地方誘客を進める官民連携のプロジェクト「JAPAN, GO BEYOND」を始動すると発表しました。
同プロジェクトは、訪日客に日本の地方の魅力を発見して来訪してもらうことを目指すもので、JATAが観光庁や日本政府観光局(JNTO)とも連携しながら、広域連携DMO、地方自治体、旅行会社などと一体となって進める方針です。
第1弾は東北観光推進機構と協業し、高品質な周遊ルートの定着と地域消費の拡大、持続可能な観光エコシステムの構築に取り組みます。
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日本への評価は高まる一方で地方誘客に課題
会見には、JATA 訪日旅行推進委員会の委員長 山北栄二郎氏、訪日旅行推進部 部長の齋藤浩之氏、担当部長の田村晴彦氏の3名が登壇しました。
山北氏は会見の冒頭で、旅行メディアのロンリープラネットが発表した「2027年に訪れるべき場所50選(50 Best Places to Go in 2027)」に東北(みちのく潮風トレイル)が選ばれたこと、世界経済フォーラム(WEF)による調査「Travel & Tourism Development Index 2026(旅行・観光開発指数)」で日本が1位になったことなどを例に挙げ、日本に対する海外からの評価が高まっていると説明。一方、こうした高評価を得ながらも、消費額の拡大やオーバーツーリズムへの対応、地方誘客に向けた課題がある状況だと指摘しました。
JATAが今回発表したプロジェクト「JAPAN, GO BEYOND」は、これらの解決に向けて立ち上げられ、3年を1つのサイクルとして特定の広域エリアにフォーカスすることで、地域の魅力発掘から受け入れ体制の整備、実際の訪問にまでつなげる方針です。
同プロジェクトは、JATAが2026年4月に当時の観光庁長官へ提出した提言要望書内にも記載されている「訪日版デスティネーションキャンペーン」を形にしたもので、第1弾は東北観光推進機構と協業します。
期間は2026年度から2028年度までで、主なターゲットは欧米豪市場と発表されました。周遊商品、テーマ特化型周遊商品、小グループ周遊商品の開発などを行い、東北を含む広域周遊型観光の推進を目指します。
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東北はポテンシャルが高い地域 広域で手を組み持続的な成長へ
山北氏は、同プロジェクトでインバウンドの誘致だけでなく、高付加価値化による地域の振興や産業・消費の活性化も実現したいと語りました。これらを実現するうえで旅行会社の役割は大きいとし、ここにJATAが同プロジェクトを打ち出す意図があるとしています。
第1弾に選ばれた東北地方は、2025年のインバウンド延べ宿泊者数が全国の約1.7%*、消費額が約1.1%と極めて少ない地域だと同氏は補足。国・地域別にみても東アジアの割合が大きく、欧米豪をはじめとするロングホールの取り込みが課題だとしました。
一方、魅力の発信や交通アクセス、言語対応など、さまざまな課題を抱える地域でありながらも、インバウンドの伸び率が全国・地方部それぞれの平均を上回っていることから、東北はポテンシャルが極めて高い地域だと説明。広い面積に魅力が分散しているからこそ、広域で事業を展開する旅行会社が手を組み、ストーリーをつくることで持続的な成長が期待できると強調しました。
*従業員10人以上の施設を対象
3か年ロードマップで単年度事業の課題を解消
JAPAN, GO BEYONDは、3年間を1つのサイクルとし、単年度事業で課題とされていた「リソースの分散」「長期的な市場育成」「ステークホルダー間の連携」などを解消する方針です。
3か年のロードマップは、以下のとおりとなっています。
- Step 0(1年目):連携準備
- Step 1(2年目):認知・整備
- Step 2(3年目):誘客・刈り取り

山北氏は、多言語対応を含めた地域のインフラは単年度ではつくれないとしたうえで、3年かけて進めることで単発のキャンペーンで終わらない、リピートにつながる持続性や単価向上の仕掛けをつくっていきたいと述べました。
また、3か年計画としながらも年度ごとに中間ゴールを置く方針については、年度単位で予算が組まれる自治体や企業も参加しやすいよう、区切りを設けたとしています。
なお、すでにStep 0の取り組みとして、2026年7月にJATA 東北視察商談会が、9月にツーリズムEXPOジャパン内にてプロフェッショナルセミナーが、10月に現地観光関係者とのセミナー・意見交換会・視察が実施されました。今後も、国際観光・旅行産業の見本市「WTMロンドン」での東北観光推進機構とJATAの連携、訪日取り扱い旅行会社への東北商品造成支援、JATA 東北モデルルートの制定などが予定されています。
毎年1~2地域を追加 10年以内に全広域連携DMOでの実施を目指す
同プロジェクトは今後、毎年1~2地域を追加で選定し、複数のプロジェクトを並行して進める方針です。
これについて田村氏は、ゆくゆくはステップが異なる3~4地域のプロジェクトを同時進行し、10年以内に現存する広域連携DMO10法人すべてで取り組みを実施したいと示しました。
また、海外市場の戦略的開拓を進めるうえでは市場特性に合わせた流通チャネルの構築が必須だとし、国内旅行の手配を一括して担える全国DMCとの連携が肝になると補足。とくに欧米豪などロングホール市場の海外ホールセラーやリテーラーからは、必要な旅行素材を一括手配できる日本国内の受け皿が求められているため、JATA会員の全国DMCがエコシステムに加わることで、持続可能な観光エコシステムの確立を目指すとしています。
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