国連に加盟している国は193か国あり、それぞれの国にはNational Anthem(国歌)があります。
一口に国歌と言っても、長いものや短いものなど、国によって個性が異なります。
GoogleのCMでも「世界一長い」が取り上げられていた国歌に着目し、オリンピックに向けたインバウンド対策とともに考察していきます。
※新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年延期され、開会式は2021年7月23日(金)、閉会式は2021年8月8日(日)となりました。
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世界の国歌ランキング(長さ編)
東京オリンピックの開催が刻々と迫っており、代表選手を選考する大会が世界各国で行われています。選手紹介やメダルの授与が行われる際に必ず流れるのが当該選手の「国歌」です。オリンピックを違った視点で楽しめるよう、世界で一番長い国歌や短い国歌など、意外な成り立ちや歴史的背景をご紹介しましょう。原文部門ギリシャ
現在、世界で一番長い国歌はギリシャの「自由への賛歌」です。壮大な雰囲気の曲であり、158番、実にフルバージョンで55分の長さを誇ります。国歌に指定されているのは24節(11分)までで、通常は2節しか公の場では歌われません。元になっているのは1823年にギリシャの詩人であるディオニシオス・ソロモスの「自由への賛歌」という詩であり、1865年に国歌として使われるようになりました。
普段歌われている節の長さ部門:ウルグアイ
国歌はIOC(国際オリンピック委員会)の規定で90秒以内の演奏と決められていますが、この規定が適用されない場合、ウルグアイ国歌演奏は4分26秒の長尺で行われます。前奏が56秒もあるのが特徴です。また、エルサルバトルの国歌も4分16秒あり、こちらは前奏がさほど長くない代わりに間奏とリフレインが曲の長さを稼いでいます。ギリシャが世界一長い国歌であることは間違いありませんが、普段歌われている節の長さではウルグアイが最長だと言えます。
番外編:歌詞のない国歌もある!?
スペインの国歌には歌詞がありません。1770年から「国王行進曲」と呼ばれる国歌が使用されていますが、アルフォンソ13世の統治時代とフランシスコ・フランコによる統一時代にそれぞれ違う歌詞がつけられているものの、どちらも公式の歌詞には採用されていません。さらにボヅニア・ヘルツェゴビナ、コソボ共和国、サンマリノの国歌にも歌詞がついておらず、それぞれ民族間の対立を生まないことへの配慮や、政府が正式に承認をしていないために歌詞のない状態が続いています。
アラブ首長国連邦も歌詞のない国歌が有名でしたが、1986年に書かれた歌詞が2019年5月、正式な歌詞として認定されました。
世界の国歌ランキング(短さ編)
世界一短い国歌の定義は意外に難しく、ただ単純に演奏が短いというわけではありません。曲のテンポを一定していないために必ずしも「この曲が一番短い!」とは言えないのが現状です。そこで実際に演奏されている国歌の中で、文字数・演奏・節に分けて代表的な短い国歌を取り上げてみました。
文字数部門:日本
実は日本の「君が代」が文字数では一番短い国歌です。演奏時間はおおよそ1分程度であり、これより演奏時間の短い国歌もあるのですが、歌詞がたったの32文字しかありません。これは和歌の5・7・5・7・7が元になっていて君が代は字余の5・7・6・7・7です。一説には1年の365日を12分割すると31~32日になるため、天文学と言霊の数を合わせてつくられたとも言われます。
ちなみに元歌(古今和歌集)の始まりは「きみがよ」ではなく「わがきみ」だという説もあり、「わが」には人・海・空・山・岩など自然にまつわる全ての存在を含んでいるようです。
演奏時間部門:ヨルダン
歌詞の大半が「国王万歳」の繰り返しに終始するヨルダン国家は、当初前奏を含めても40秒程度でした。ちなみに国王をこれだけ讃えているのは、1921年の独立から現在に至るまでの王族ハーシム家が預言者ムハンマドの血を継ぐ存在であるからです。現在は歌詞とメロディーが追加され、2分51秒の長さがありますが、実際に演奏されるのは30秒バージョンがであったり、公式のスポーツイベントでは頻繁に42秒バージョンが用いられています。
1937年に制定された最初のバージョンは1節しかなく、その後徐々に付け足されているため1937年のオリジナルに限って言えば、世界で一番短い国歌だと言えるでしょう。
節部門:ウガンダ
意外にも公用語が英語であるウガンダの国歌は「Oh Uganda, Land of Beauty」(おおウガンダ、美しき土地)という出だしから始まります。オーケストラ演奏やオペラなどは一切用いられておらず、現代的な印象を受けます。その1節が40秒程度でありフルバージョンで1分59秒ですが、ほぼ1節しか演奏されないため世界一短い国歌だと言えるでしょう。つまり文字数だけで言えば日本が圧倒的に短い国歌だと言えますが、実際の演奏時間に関してはウガンダの国歌こそ「世界で一番短い」と認定できます。
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国歌が国を知るきっかけに
気の早いファンはすでにEXILEが国歌斉唱アーティストに決まった、活動ラストイヤーに嵐を起用するなどとネット上で意見を出していますが、正式には決定していません。長野オリンピックでは斉唱がなく演奏のみだったことが挙げられ、それを踏襲するのではないか?とも噂されています。
君が代は明治時代に定められた歌であり、当時の天皇へ捧げる趣旨から国民を象徴する歌へと解釈が変わってきています。(*当時から天皇を讃えるのではなく国民を讃えているという諸説あり)
「時代を超えて先年も八千年も生まれ変わり、固い絆で結びついていこう」というのが君が代が指す意味ですが、国歌には当時の時代を反映したものが多く、その国の歴史を垣間見れます。
上記の解釈をするならば東北の子供たちに歌わせてはどうか?との意見もあり、正式に決定するまで議論は続きそうです。
過去のオリンピックから学ぶインバウンド
オリンピックの開催によりインバウンド消費が高まることが予想されていますが、一方で懸念される問題点が3つあります。- 交通機関の混乱
- 宿泊施設の不足
- 多言語対応
いずれも過去のオリンピックから指摘されてきた問題であり、2020大会の開催時期には約1000万人の外国人が東京に訪れる見込みです。
そのため、交通機関の混雑、宿泊施設が約1万室不足すると予想され、ボランティアスタッフが英語や中国語を操れず、混乱した平昌オリンピックの二の舞になる恐れがあります。
現在、このような混乱をさけるためにテレワークの導入やスタッフの研修、ポケトークなどの翻訳機の使用を検討・多言語案内板を増やすことによって対応し、さらには海外からの宿泊施設の予約がスムーズに行えるよう、各機関が対策を練っています。
大会後の予想
オリンピック需要が高まり、日本は一時的に好景気となるでしょう。しかし大会後日本経済は少なからず打撃を受けると予想されています。オリンピックの経済効果は約30兆円にものぼるとされていますが、これまでのデータから、その後は雇用が減り不動産価格が下落するでしょう。ただしマイナス要素だけではなく、オリンピック後も観光客を増加させた国があります。その代表例がオーストラリアです。
オリンピックをきっかけにインバウンド需要を拡大するためには、訪日外国人を受け入れる環境作りが何よりも重要になってきます。
代表的なものがWi-Fiスポットの整備と多言語対応可能なスタッフの雇用ですが、これは飲食店など個人経営のお店でも対応できる措置ですから、大会後を見据えて今から取り組める対策です。
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日本にはそれほど興味がなかった外国人にも、オリンピックによって一気に注目が集まるでしょう。実際に日本に訪れた人々に対し、好印象を抱かせればまたとないインバウンド需要を生み出すチャンスです。
日本人客を取り込めるシステムと、訪日外国人を取り込むシステムの違いに着目しインバウンド市場の向上を目指していきましょう。
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