インバウンド誘致、スキー「だけじゃない」北海道:マラソンで高雄と交流・サイクリングにも注力

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近年アジア圏のインバウンドリピーターから注目されている北海道の玄関口・札幌では、スポーツを通じたインバウンド誘客が盛んです。

1972年に冬季オリンピックが開催されたことから、当時使われた施設は現在もウィンタースポーツの大会などに活用されています。

今回は、継続的なスポーツツーリズムの促進によるインバウンド誘客を目指している、さっぽろグローバルスポーツコミッションの取り組みについて見ていきましょう。

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中国市場でウィンタースポーツ需要が拡大

札幌市における観光客数は年々増加しており、2019年4月~9月のが過去最多の約9,698,000人で、前年度上期の約9661,000人と比較すると約37,000人(前年度比 0.4%)が増加しています。

そのうち外国人宿泊者数は、上期として過去最多の約1,274,000人で、前年度の同じ時期に比べ約65,000人(前年度比 5.4%)の増加しています。

観光客動態調査(平成30年度調査)によると、11月からスキーを目的に訪れる観光客が増加します。特に1月〜3月にかけてスキーや雪を楽しみに札幌を訪れる訪日外国人観光客が多いことがわかります。

初心者向けに外国人インストラクターが増加

スキーは現地で道具を一式レンタルし、インストラクターと一緒に滑ることができるため、初心者でも安心して楽しめる人気のウィンタースポーツです。外国人向けにスキーの指導ができるインストラクターの需要が高まったことを受け、北海道在住の外国人留学生がインストラクターの資格を取得するプログラムを導入しました。

さらに中国では2022年に北京冬季オリンピック・パラリンピックの開催が予定されることから、中国のウィンタースポーツマーケットはさらなる拡大が期待されています。さっぽろグローバルスポーツコミッションは「WORLD WINTER SPORTS(BEIJING)EXPO」という中国のウィンタースポーツ博覧会に出展し、北海道のウィンタースポーツのプロモーションやセミナーを実施しました。

商談会では、OTAを中心にリフトの金額・宿泊施設の料金・コースの詳細情報などに関する問い合わせが寄せられたほか、FIT向けのスキー以外の観光や温泉情報についての問い合わせも多かったようです。実際に現地に赴くプロモーション活動では、よりリアルな日本に対する興味関心の高さを肌で感じることができます。

台湾の高雄市と進めるマラソンツーリズム

北海道インバウンド誘客促進に向けて推進しているのは、ウィンタースポーツだけではありません。2017年12月に札幌市台湾第二の都市・高雄市は、相互送客の拡大を図っていくことを目的とした観光交流に関する覚書を締結しています。

その後は、札幌で毎年10月に実施される札幌マラソン」と2月に実施される「高雄MIZUNO国際マラソン」の間で相互交流を行いました。

これまでの具体的な交流とこれからの展望

2018年2月には、札幌市から高雄市へランナーとボランティアを派遣したほか、同年10月には台風の影響で大会は中止となりましたが、高雄市からもランナーを迎えました。

2018年9月の北海道胆振東部地震の発生後には、高雄市から応援エールが贈られ、SNSにて北海道の状況が発信されています。

2019年の「高雄MIZUNO国際マラソン」においても、札幌からランナーとボランティアを派遣しており、両国の友好交流に関する新たな覚書が締結され、今後は連携のさらなる強化が期待できるでしょう。

2020年2月9日(日)開催予定の第11回台湾高雄マラソンでは、札幌北海道のランナーたちに対し先着20名に限りエントリー料を無料とする取り組みも行われていました。

このように国を超えてマラソンをきっかけとした、大規模なインバウンド誘客の促進が行われています。

サイクルツーリズム推進にも取り組む

さっぽろグローバルスポーツコミッションは、広大な土地や広い道路、夏でも冷涼で過ごしやすい気候を生かしたサイクルツーリズムプロモーションにも力を入れています。具体的には、台湾からテレビメディアを招聘し、サイクリングを楽しみながら札幌の観光地を巡り紹介する映像を撮影し、台湾で放映しました。

台湾からの訪日外国人観光客に関しては、札幌の観光地やルート設定についての調査を実施していますが、調査結果をもとに作成したサイクリングマップ札幌市内のホテル札幌市内のレンタルサイクリング「ポロクル」に設置し、インバウンド客の利便性向上に繋げています。

課題は?

一方で、北海道におけるサイクルツーリズム課題点として「休憩施設の不足」「自転車持ち込みの手間」「情報の不足」が挙げられます。広大な土地を持つ北海道は、都市間の移動距離が長くなる傾向があるため、休憩施設がほとんどない区間もあります。

今後は地域との連携を強化し、サイクリストのニーズを満たすようなインフラの整備やモデルルートの多言語でのプロモーションといったインバウンド対策が求められます。

まとめ:東京五輪を契機にさらなるスポーツツーリズム推進へ

北海道スポーツツーリズムについて、さっぽろグローバルスポーツコミッションのインバウンド対策をご紹介しました。紹介したように、北海道では早くから訪日中国人観光客の間でブームとなっているウィンタースポーツ需要を取り込むため、受け入れ態勢の整備や現地でのプロモーション強化を行っています。

また台湾の高雄市とは観光交流に関する覚書を締結しマラソンツーリズムを促進札幌市周辺のサイクルツーリズムの活性化など、さまざまな取り組みを行っています。東京オリンピック・パラリンピックが迫る今、日本におけるスポーツツーリズムへの注目は拡大していくと考えられます。

北海道だけでなく日本の地方でも、こうした新たな関心の芽をとらえることが重要です。スポーツは健康促進の面もあり、健康志向の強い富裕層へのアプローチにも役立つコンテンツとなりえます。こうした潜在的旅行者の心理をとらえ、インバウンド誘客に活かしていくような取り組みが今後の観光経済の成長を左右する可能性も小さくないでしょう。


<参照>

JTB INBOUND SOLUTION:ウィンタースポーツ、マラソン、サイクリングを訪日インバウンド誘客コンテンツに

北海道開発局:平成29年度北海道のサイクルツーリズム推進に向けた取り組み

札幌市:「札幌市と高雄市との観光交流に関する覚書」を締結しました。

札幌市:2019 年度第 13 回定例市長記者会見資料

札幌市:平成30年度観光客動態調査業務

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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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