前回の記事では、令和5年版観光白書 第II部・令和4年度に講じた施策「第1章:新型コロナウイルス感染症の対応と観光の復活」について紹介しました。
前回の記事はこちら:第II部・令和4年度に講じた施策「第1章:新型コロナウイルス感染症の対応と観光の復活」
第4回では、「第II部 令和4年度に講じた施策」より、「第2章 観光立国の実現に向けた観光施策」について解説します。
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- 第2章 観光立国の実現に向けた観光施策
- 持続可能な観光地域づくり
- 観光業界における人材育成は、どのように強化した?
- 地方商店街における観光需要の獲得。何が必要?
- 「地方創生回廊」の早期実現に向けた取り組みとは?
- 民泊サービスを普及するために、取り組んだこととは?
- 風評被害への対策を進める、ブルーツーリズムとは?
- インバウンド回復
- クルーズを安心して楽しめるような環境づくりとは?
- 日本の伝統的酒造づくりを、ユネスコ無形文化遺産へ
- 日本の魅力を発信するため、公的施設やインフラを公開
- 空港アクセスの利便性を高めることで、インバウンドの集客率をアップへ
- 水際措置の緩和により、ビザも戦略的に緩和する方向へ
- 国内交流拡大
目次
第2章 観光立国の実現に向けた観光施策
前回記事となる第II部 第1章では、コロナ前を超えるさらなる飛躍のために、政府がどのような施策を練っていたのかを説明してきました。
第2章では、観光地・観光産業における施策について示されています。
観光庁が定めた、観光立国推進基本計画では「持続可能な観光地域づくり」「インバウンド回復」「国内交流拡大」と3つの戦略軸に分かれて紹介されています。その中で目新しい施策を取り上げて解説します。
持続可能な観光地域づくり
観光業界における人材育成は、どのように強化した?
観光人材の育成を強化するために、大きく分けて6つの施策を講じたことが説明されています。
1、トップレベルの経営人材の育成
産学連携による継続的な経営人材の育成に向けて、産学官連携の協議会を実施したとのこと。
協議会では、トップレベルの経営人材を育成するためにどうするべきかが協議されました。人材スキルの課題、リカレント教育(※1)に関する意見交換をしたことが書かれています。
(※1)リカレント教育とは、義務教育や基礎教育を受けて社会に出たあと、再度学び直しできる教育システムのこと。
2、観光の中核を担う人材育成の強化
「ポストコロナ時代を支える観光人材育成に向けた産学連携協議会」を開催し、これまでの施策の効果を検証したとのこと。
効果検証の結果を踏まえて、トップレベルの経営人材のあり方、これからの時代に求められる観光人材の育成を検討したことが書かれています。そのうえで、観光人材育成のガイドラインを策定したとされています。
また、観光分野を扱う専門職大学および専門職短期大学が、広く認知されるように広報活動をしたとのことです。具体的には、高校教員が参加する会議にパンフレットを配布するなどの活動だったことが紹介されています。
3、即戦力となる実務人材確保・育成
女性や就職氷河期世代など、多様な人材が働きやすい環境づくりや、新たな働き方の提案をしたことが説明されています。
地域や事業経営の改善に向けて、人材確保、育成促進に取り組む4地域をモデル事業とし、得られた知見を全国に展開したとのことです。
加えて、宿泊業で外国人材の受け入れが円滑に進むよう、宿泊施設、外国人材の双方を対象にしたセミナーやマッチング会を10回実施したと説明されています。
4、国家戦略特別区域制度を活用したクールジャパン・インバウンド外国人専門人材の就労促進
国家戦略特別区域(国家戦略特区)制度とは、国や地方公共団体と民間企業が1つになって、あるプロジェクトに取り組むシステムのことです。
「世界で1番ビジネスがしやすい環境を創る」ことを目的としています。
国家戦略特区において、一定の要件を満たす場合には、クールジャパン・インバウンド分野の外国人材の受け入れを可能とする特例があります。
観光白書によると、特例を継続的に受け付けられるようにしたと説明されています。
5、通訳ガイド制度の充実・強化
インバウンド対応強化の目的で、接遇力と語学力に優れた全国通訳案内士を講師として各地域へ派遣したことが書かれています。
そして、宿泊事業者、交通事業者に対して研修を実施したとのことです。
また、訪日外国人旅行者の回復を見据え、通訳の質の向上に取り組んだとされています。
取り組み内容は、美術や建築などの専門分野のガイドを育成したり、全国通訳案内士に研修を実施したりといったことが書かれています。
6、観光に関する教育の充実に向けた取り組み
未来を担う若手に対しては、日本への愛着や誇りを醸成すべく、2地域・3校の高等学校で「観光教育」のモデルを作ったことが説明されています。
観光業界は全産業と比較して賃金が減少するなど、人材確保の点で厳しい状態にあります。
観光産業を日本の経済成長の原動力とするために、人材確保はさることながら、高い付加価値を生み出す人材の育成が課題になっています。
地方商店街における観光需要の獲得。何が必要?
地方における観光需要を獲得するために、3つの施策に取り組んだことが説明されています。
1、地方における消費税免税店の拡大
2、伝統的工芸品などのインバウンド需要の獲得
日本の伝統工芸品によるインバウンド需要を獲得するため、伝統工芸品の映像を12本制作。YouTubeなどを活用し、海外に向けたプロモーションや多言語化を支援したとのことです。
3、保税売店の市中展開による買い物の魅力の向上
関税、酒税、たばこ税、消費税の免税を受けられる保税店については、羽田空港および成田空港内のカウンターで商品を引き渡す仕組みになっています。
保税売店の市中展開の拡大に向け、商品引き渡しが可能な空港内のカウンターの利便性を図ったと説明されています。
地方で観光需要を獲得するためには、伝統工芸品の魅力を発信するとともに、インバウンド旅行客が買い物しやすい環境を作ることが大切だといえそうです。
「地方創生回廊」の早期実現に向けた取り組みとは?
「地方創世回廊」とは、国が進める地方創生の取り組みの1つです。
具体的には、リニア中央新幹線や高速道路網などの交通ネットワークを活用することで、北から南までを1つの経済圏に統合し、雇用を創出する取り組みを指します。
「地方創生回廊」を実現するために、10の施策に取り組んだことが説明されています。
1、新幹線、高速道路などの交通網の活用
新幹線、高速道路などの交通網を活用するため、大きく分けて、6つの取り組みがされました。
(a)「ジャパン・レールパス」の購入環境整備
新幹線、高速道路といった高速交通の活用方法として、さまざまな活動をしたとのことです。
具体的には、「ジャパン・レールパス」(※2)の購入環境の整備、バスタプロジェクトの推進、道路案内標識における英語表記の改善やスマホとの連携などが挙げられています。
他にも、交差点標識への観光地名称の表示、国家戦力特区内での「自家有償観光旅客運送事業」の周知が挙げられています。
(※2)「ジャパンレールパス」とは、JR6社が共同して提供しているパスのことで、日本中を鉄道で旅行するのに適した切符のこと。
(b)日本版MaaSの推進
「日本版MaaSの推進・支援事業」において公募をしたとのことです。
日本版MaaSとは、あらゆる乗り物をITを用いて効率よく便利に移動できるようにするシステムのことです。
公募の結果、6事業を選び、社会実装に向けた支援を実施したそうです。
公共交通機関のデータ化、キャッシュレス化、AIオンデマンド交通(※3)やシェアサイクルといった新型輸送サービスの導入と、それぞれの事業者に支援を実施。
公共交通機関においてストレスフリーで快適に旅行できる環境を整備したことが説明されています。
(※3)AIオンデマンド交通とは、定時に定められたルートを走るバスではなく、利用者の予約に対してAIによる最適な運行ルート、配車をリアルタイムに行う乗合輸送サービスのこと。
(c)バスタプロジェクトの推進
「バスタプロジェクト」とは、鉄道やバス、タクシーなど、多様な交通網がつながる公共交通ターミナルを、官民連携で整備するプロジェクトのことです。
観光白書によると「バスタプロジェクト」の全国展開を推進したとのことです。その際、コンセッション制度(※4)を活用しつつ、多様な交通網の接続を強化したそうです。
そして、「日本版MaaS」などの新たなモビリティサービスにも対応可能な施設となるよう検討を進めたとされています。
(※4)コンセッション制度とは、空港や道路など公共施設において、国や地方自治体が土地や建物などの所有権を有したまま、一定期間、民間に運営権を売却すること。
(d)道路案内標識における英語表記改善、看板の集約及びスマホとの連携
歩道の道路案内標識を、駅やバスターミナルなどほかの交通機関が設置する案内看板と連携させるなど、英語表記の改善や充実に取り組んだそうです。
また、交通機関や観光地での分かりやすい道案内の実現に向けて、周辺施設案内への充実を図ったとされています。
具体的な施策は、看板および歩行者案内標識の集約、二次元バーコード貼り付けだったとのことです。
加えて、道路関連施設や山などの地名について、英語表記の整合を図ったそうです。
そのために、各都道府県の道路標識適正化委員会では、英語表記の原案を作るとともに国土地理院と一緒に地図を調整したとのことです。
(e)交差点名標識への観光地名称の表示
観光地への分かりやすい案内となるよう、観光地に隣接する交差点や観光地への入口となる交差点の交差点標識に観光地名称を表示したとのことです。
また、道路標識適正化委員会にて、標識が適切に改善されるよう全国に周知したとされています。
(f)規制の弾力化等を通じた多様なアクセス交通の実現
国家戦略特区内において、過疎地域での観光客の移動ニーズに対応するため、「自家用有償観光旅客等運送事業」の周知、活用を図ったとのことです。
「自家用有償観光旅客等運送事業」とは、自家用車(白ナンバー)を用いて有償で輸送する形態のことです。
自動車で誰かを有償で輸送する場合は、道路運送法に基づく許可を受けることが基本です。自家用有償観光旅客等運送事業を活用することで、より多くの人がサービス提供できるよう調整したそうです。
2、訪日外国人旅行者向け周遊定額パス
2020年4月より訪日外国人旅行者向けの周遊パスは新規の申し込み受付を停止していました。
観光白書によると、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、2022年11月以降、順次再開したとされています。
3、高速道路の周遊定額パス
地方公共団体や観光施設、宿泊施設と連携した周遊パスの利用促進を図ったとのことです。
また、2022年11月から、周遊パスの平日利用を、従来が平均約30%お得であったところを、約40%お得になる拡充措置を実施したことが書かれています。
4、山あいの地域における「道の駅」などを拠点とした自動運転サービス
山あいの地域における「道の駅」を拠点とした自動運転サービスの施策を開始したと説明されています。
5、道路交通の安全対策等の推進
訪日外国人旅行者のレンタカー利用等による交通事故を削減するため、ETCデータのようなビッグデータを活用したとのこと。
このビッグデータを活用し、事故対策の参考資料作成に向けた取り組みを推進したとのことです。
6、レンタカー利用時における安全性及び利便性の向上
道路交通の安全対策を目的として、レンタカー利用時の安全運転啓発動画の掲載やビッグデータを活用した事故対策を資料に取りまとめたとのことです。
前年に引き続き、2022年8月から9月にかけて、東急電鉄株式会社などの協力のもと「THE ROYAL EXPRESS」が道内を運行したそうです。
8、地域の多様な主体の連携による観光地までの交通アクセスの充実、創出の推進
公共交通機関で、訪日外国人旅行者が快適に旅行を満喫できる環境づくり、災害などの非常時でも安全な旅行環境を図るべく環境を整備したそうです。
具体的には、多言語での情報案内の強化、無料Wi-Fiサービスの整備、キャッシュレス決済の普及、バリアフリー化の推進、感染症対策の充実とのこと。
環境を整備する公共交通事業者への支援を、観光庁が実施したとのことです。
9、自家用有償旅客運送の活用
観光ニーズに対して、自家用有償旅客運送による輸送が必要とされる地域で適正に活用されるよう、ウェブサイトで制度の周知を図ったとされています。
10、北方領土隣接地域への新たな日常における旅行者誘客調査
北方領土隣接地域(根室地域など)への旅行者誘致を目的として、観光情報や二次交通情報を掲載した特集ページを作成されたそうです。
加えて、情報発信をするとともにアウトドア分野のインフルエンサーより、SNSで情報発信をしたとのことです。
民泊サービスを普及するために、取り組んだこととは?
観光白書では、健全な民泊サービスを普及するために、2つの取り組みを実施したことが書かれています。
違法民泊への対策を進め、それによって公正な市場づくりに取り組んだことが説明されています。
加えて、民泊サービスを通じた地域の活性化に向け、民泊の特性を活用した事例集を取りまとめて民泊のポータルサイトに掲載し、広く周知したとのことです。
上記の取り組みから、健全な民泊サービスの普及を狙っているとのことです。
2、外国人滞在施設経営事業(特区民泊)の実施地域の拡大
国家戦略特区における民泊において、2023年3月時点では、8自治体が3,404施設を認定したと説明されています。
認定数は2022年3月と比較して75施設増加したとのことです。
風評被害への対策を進める、ブルーツーリズムとは?
観光白書によると、ALPS処理水の海洋放出による風評被害への対策として、海の魅力を高める「ブルーツーリズム」を推進したとされています。「ブルーツーリズム」とは、島や漁村に滞在し、さまざまな漁業体験や地域の自然や文化に触れ、人々との交流を楽しむ旅のことを指します。
観光庁では、岩手県、宮城県、福島県および茨城県沿岸部における14の自治体の取り組みを支援したことが書かれています。
例としては、波の侵食により減少した砂浜の整備によるスペースの拡張、牡蠣の養殖が見学できる観光いかだの制作、旅館の女将が教える海鮮料理教室など。
他にも、海外の旅行博への出展によるプロモーションが挙げられています。
インバウンド回復
クルーズを安心して楽しめるような環境づくりとは?
観光白書によると、令和4年度の訪日クルーズ旅行客はゼロであるものの、日本の港湾へのクルーズ船の寄港回数は、前年比71.4%増となったとのこと。
今後、インバウンド回復のためにはクルーズを安心して楽しめる環境整備が必須。そこで観光庁では、以下8つの取り組みをしたと書かれています。
1、クルーズ船寄港の「お断りゼロ」の実現
国際クルーズ旅客受入機能を高度化させるべく、事業の公募を実施したそうです。
その結果、横浜港や神戸港など計13港で、屋根付き通路の設置や旅客上屋の改修、感染防止対策のための隔離施設を整備する事業を採択したとのことです。
2、世界に誇る国際クルーズの拠点形成
また、2022年6月には、国際旅客船拠点形成港湾を含む129港で、水際および防災対策連絡会議を開催。
ガイドラインの周知徹底を図り、クルーズ船を安全、安心に受け入れられる体制を構築したとのことです。
3、国内クルーズ周遊ルートの開拓
観光庁では、フェリー、旅客船、遊覧船、クルーズ船などが、観光旅行者に幅広く利用されるように支援したそうです。
具体的には、観光コンテンツの磨き上げや受け入れ環境の整備に取り組んだ民間事業者を支援したとのこと。
例としては、瀬戸内海クルーズ推進会議などで、寄港地となる地域の関係者に対して、ツアー作りに関する課題や今後の取り組みにおける方向性の共有を図ったそうです。
また、2023年3月に世界最大規模のクルーズ国際見本市へ出展。
ラグジュアリークルーズを運航するクルーズ船社などに対して、瀬戸内海や南西諸島の魅力をPRしたとされています。
4、クルーズを安心して楽しめる環境づくり
観光庁は、国内クルーズに関するガイドラインについて、最新の知見に応じた改訂を支援したとのことです。
また、船内や旅客ターミナルなどでの感染予防対策を徹底した上でのクルーズの実施を促進したことも説明されています。
国際クルーズは、関係者間で再開に向けた安全対策の検討を進め、2022年11月に国際クルーズ用のガイドラインが関係業界団体から発表されたとのことです。
その後、2022年12月に日本船による国際クルーズの運行が再開され、2023年3月に外国船による国際クルーズの運行が再開されたとのことです。
5、新たなクルーズビジネスの確立
クルーズを安心して楽しめる環境をつくるため、事業の応募を実施。
クルーズ船旅客と受け入れ側の相互理解を深めるセミナーや特産品を主軸とした観光ツアーなど、18事業を採択したことが書かれています。
また、2022年度は、みなとオアシス(※6)として、新たに伏木富山港、舞鶴港、佐世保港を登録したとのことです。
(※6)みなとオアシスとは、地域住民の交流や観光の振興を通じた、地域の活性化に資する「みなと」を核としたまちづくりを推進した拠点や地区の愛称のこと。
6、クルーズ船受け入れのさらなる拡充
日本政府観光局は、クルーズ関係向けのウェビナーを2022年6月に開催したそうです。ウェビナーでは、クルーズ再開に向けたキッカケづくりと、国内外の取り組みや海外クルーズ市場の最新動向について情報発信されたとのことです。
さらに、全国クルーズ活性化会議と合わせて、商談会やクルーズ船誘致のためのプロモーションを実施したとされています。
7、大型プレジャーボートの受け入れ拡充に向けた検討
寄港地における提供可能な港湾サービスの実態について有識者にヒアリングしたとされています。
8、海洋周辺地域における訪日観光の魅力向上
海洋周辺地域における訪日観光の魅力向上のため、事業の公募を実施。小型船による周遊ツアーの開催や多言語案内看板の設置など、12事業を採択したことが書かれています。
日本の伝統的酒造づくりを、ユネスコ無形文化遺産へ
観光白書によると、次世代への継承を目的として、伝統的な酒造りの技術をユネスコ無形文化遺産へ登録を目指したとのことです。そのために、国内各地でシンポジウムを開催。海外でも2023年2月に、ユネスコ本部のあるフランス、パリで「伝統的酒造づくり」の認知向上に向けた広報活動をしたことが書かれています。
日本の魅力を発信するため、公的施設やインフラを公開
観光白書によると、訪日外国人旅行客や未来を担う若者に日本の魅力を発信するため、公的施設やインフラを大胆に公開し、解放したことが書かれています。
その対象となった施設は以下のとおりです。
・迎賓館赤坂離宮
・京都迎賓館
・総理大臣官邸
・皇居
・皇居東御苑
・三の丸尚蔵館
・京都御所
・京都仙道御所、桂離宮、修学院離宮
・御料牧場
・埼玉鴨場、新浜鴨場
・馬車列
・造幣局本局
・首都圏外郭放水路
・大本営地下壕跡
・日本銀行
空港アクセスの利便性を高めることで、インバウンドの集客率をアップへ
観光白書によると、羽田空港では、空港の運用状況をふまえて、深夜早朝アクセスバスの運行再開に向けて最終調整をしたとのことです。さらに成田空港では、空港アクセス関係者との意見交換を重ね、空港利用者増加に対応すべく、空港アクセスの強化を図ることを検討したそうです。
加えて、那覇空港では、国内線ターミナルビル前面の高架道路を国際線ターミナルビル全面まで延伸し、混雑解消を図ったとされています。
また、地方空港の就航を促進すべく、「訪日誘客支援空港」に対して支援を実施。
例として、着陸料の割引や補助、グランドハンドリング経費の支援、税関、出入国管理、検疫所といったCIQ施設の整備を支援したとのことです。
インバウンド旅行者の本格的な受け入れ再開を見据え、空港内における感染リスクを減らし、航空需要に対応できるようにする目的があるそうです。
水際措置の緩和により、ビザも戦略的に緩和する方向へ
2022年10月11日に水際措置が緩和されたことを踏まえて、アラブ首長国連邦に、事前登録を必要としないビザ免除措置を導入したことが書かれています。
さらに、カタールに対する事前登録制のビザ免除措置の早期導入を2023年4月2日からスタートすることについて同国の政府と合意したとのことです。
加えて、在外公館におけるビザ発給業務を円滑にするため、ビザ審査にかかる体制の整備および領事業務の合理化を推進したとされています。
国内交流拡大
農山漁村の活性化を図るための取り組みとは?
観光白書によると、農山漁村の活性化や所得向上を図るため、農泊(農山漁村滞在型旅行)に取り組む地域を621地域選んだとされています。そのうえで、該当地域における推進体制の構築や観光コンテンツの磨き上げ、古民家を活用した滞在施設の整備や改修を支援したとのことです。
また、宿泊予約サイトで、農泊特設ページを設置し、情報発信や農泊ガイドブックの制作などに取り組んだそうです。
加えて、ツーリズムEXPOへの出展、旅行会社との商談会やモニターツアーなど、国内外のプロモーションを戦略的に実施したとされています。
地域の魅力を発信するため、地方版図柄入りナンバープレートを推進
2022年度に地方版図柄入りナンバープレートは約12万件、全国版図柄入りナンバープレートは約32万件の申し込みがあったとのことです。
観光白書によると、地方版図柄入りナンバープレートの寄付金は、6地域8事業で地域、観光振興などの推進に活用されたそうです。
ちなみに、地方版図柄入りナンバープレートの追加募集に対して、全国10地域から導入申し込みがあったとされています。
国立公園などにおけるワーケーションを推進
観光白書によると、ワーケーションに関する企業の制度導入と地域の受け入れ体制を支援するために、企業と地域を各30件選定。ワーケーションのモデル実証をしたことが書かれています。また、テレワークとワーケーションについて、好事例を収集および展開し、今後の活動方針を議論したとのことです。
さらに地域との関係を深めることで、継続した来訪を促す「第2のふるさとづくり」の普及と定着を狙った取り組みを検証したとのこと。
具体的には、地域との関わりの創出、宿泊施設での柔軟な滞在環境づくり、移動方法の確保といった取り組みを検証したことが書かれています。
上記に加えて、機運を醸成するために、地域づくりに取り組む関係者の情報交換の場として「第2のふるさとづくり推進ネットワーク」を2022年12月に立ち上げたことが説明されています。
以上が、「第II部 令和4年度に講じた施策」の「第2章 観光立国の実現に向けた観光施策」についての解説です。
次回以降の記事では、令和4年度版観光白書の肝となる「第Ⅲ部 令和5年度に講じようとする施策」について解説していきます。
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<参考>
観光庁:令和5年版観光白書 第II部
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