コロナ禍を経て、インバウンド市場は拡大を続けています。
一方で、インバウンド客の受け入れ体制では、人手不足や多言語対応などの課題が指摘されている状況です。
本記事では、インバウンド客に関する現状と課題について、日本政策金融公庫が公表したデータをもとに解説します。
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【飲食店やホテル等】インバウンド受け入れに前向き、課題は多言語対応
2024年6月に調査が行われた日本政策金融公庫の「生活衛生関係営業のインバウンド対応に関するアンケート調査」では、3,158件の回答が集まりました。
調査対象者は飲食業(1,461件)が最も多く、ほかに理容業、美容業、クリーニング業、ホテル・旅館業など、さまざまな生活衛生関係営業者が回答しました。
近畿・四国・九州で1年前と比べ自店周辺地域のインバウンド客を見かける機会が特に増加
ここからは調査結果を見ていきます。
1年前と比べた自店周辺地域のインバウンド客の増減について、「増えた」と回答した企業は32.2%。特に近畿(41.5%)、四国(42.4%)、九州(38.0%)で全国平均を上回る増加が見られました。
![▲外国人観光客の増減について:日本政策金融公庫「生活衛生関係営業のインバウンド対応に関するアンケート調査結果」(2024年9月発表)より ▲外国人観光客の増減について:日本政策金融公庫「生活衛生関係営業のインバウンド対応に関するアンケート調査結果」(2024年9月発表)より](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/17880/main_5f8b9fea99721b707c4b3f52a8ea51b9.png?auto=format)
41.8%が「インバウンド客の利用あり」と回答
直近1年間のインバウンド客の利用について、41.8%が「利用がある」と回答しました。
業種別では、ホテル・旅館業が88.4%と最も高く、次いで公衆浴場業(61.5%)、飲食業(57.0%)の順でした。
![▲インバウンドの利用の有無:日本政策金融公庫「生活衛生関係営業のインバウンド対応に関するアンケート調査結果」(2024年9月発表)より ▲インバウンドの利用の有無:日本政策金融公庫「生活衛生関係営業のインバウンド対応に関するアンケート調査結果」(2024年9月発表)より](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/17881/main_577f316a273375ee2bf6c48a40efb1e1.png?auto=format)
また、2019年に行われた同一調査では、インバウンド客の「利用がある」と回答した企業は38.3%であり、5年を経て3.5ポイント増加しています。
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インバウンド客の受け入れに向けた取り組みをしている店舗は、全体の26%にとどまる
インバウンド客を受け入れるための取り組みについて、「取り組みを実施している」と回答した企業は26.0%でした。
業種別では、ホテル・旅館業が77.3%と最も高く、飲食業(33.1%)、公衆浴場業(31.7%)と続きました。
![▲インバウンド客受け入れのための取り組み:日本政策金融公庫「生活衛生関係営業のインバウンド対応に関するアンケート調査結果」(2024年9月発表)より ▲インバウンド客受け入れのための取り組み:日本政策金融公庫「生活衛生関係営業のインバウンド対応に関するアンケート調査結果」(2024年9月発表)より](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/17882/main_5e712c3ddcf15a32f5b2788ffec8880b.png?auto=format)
各種予約サイトでも多言語対応の動きが広がるなど、インバウンドを意識したサービスの増加も、この数字を押し上げる要因となっています。
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インバウンド客の受け入れに最も効果のあった取り組みは「キャッシュレス決済の導入」
続いて、インバウンド客の受け入れに取り組んでいると回答した20%の企業に向け、効果があった取り組みを聞いています。
45.4%の企業が「キャッシュレス決済の導入」と回答し、最も効果があった取り組みとしています。次いで「Wi-Fiなどインターネット接続環境の整備」(23.9%)、「メニューや施設内の案内等の工夫」(21.0%)が挙げられました。
![▲インバウンド客受け入れに効果があった取り組み:日本政策金融公庫「生活衛生関係営業のインバウンド対応に関するアンケート調査結果」(2024年9月発表)より ▲インバウンド客受け入れに効果があった取り組み:日本政策金融公庫「生活衛生関係営業のインバウンド対応に関するアンケート調査結果」(2024年9月発表)より](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/17883/main_d2004054d781bf6772b752e6e2f55457.png?auto=format)
なお、2019年に実施された同一調査においても、「キャッシュレス決済」と回答した企業の割合が34.4%で最多となっています。
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67.5%が「インバウンド客を受け入れていく」と回答
インバウンド客の受け入れ方針について聞いたところ、「積極的に受け入れていきたい」「自然体で受け入れていく」を合わせて67.5%が前向きな姿勢を示しました。
![▲今後のインバウンド客の受け入れ方針:日本政策金融公庫「生活衛生関係営業のインバウンド対応に関するアンケート調査結果」(2024年9月発表)より ▲今後のインバウンド客の受け入れ方針:日本政策金融公庫「生活衛生関係営業のインバウンド対応に関するアンケート調査結果」(2024年9月発表)より](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/17885/main_ea2fe117104a0020890481099d5ba43e.png?auto=format)
2019年の同一調査の際の類似した項目では、「できれば受け入れたくない」との消極的な回答をした企業割合は43.6%でしたが、今回の調査では32.6%と、減少していることもわかります。
インバウンド客を受け入れる際の課題上位は軒並み「多言語対応」関連
インバウンド客の受け入れに際しての課題には、「店舗内の案内表示、メニュー表等の多言語対応」との回答が36.2%と最多。
そのほかに「多言語に対応できる従業員の確保」(25.0%)、「HPやSNS、店舗外観における多言語対応」(15.8%)なども課題として挙げられました。
![▲インバウンド客受け入れ時の課題:日本政策金融公庫「生活衛生関係営業のインバウンド対応に関するアンケート調査結果」(2024年9月発表)より ▲インバウンド客受け入れ時の課題:日本政策金融公庫「生活衛生関係営業のインバウンド対応に関するアンケート調査結果」(2024年9月発表)より](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/17886/main_245bcb603c38e677144ef846c43da52c.png?auto=format)
また2019年に実施された同一調査においても、「多言語対応」に関する課題が最も高い割合を占めました。一方で、多言語対応に関する課題の詳細としては、2019年は2024年と異なり、「従業員の語学力向上」が38.5%で最多となっています。
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