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パナソニックは平成29年(2017年)1月12日、空港、ホテルでロボット「HOSPI」を使ったサービスの実証実験を実施することを発表しました。

観光関連分野で最先端のIT技術が使われることは珍しいことではありません。たとえば、コストのかかる多言語対応を人間の代わりにやってくれる機械翻訳ソフト、デバイスはすでにいくつも開発されています。また、平成28年(2016年)11月30日には、NTTらがAI搭載ロボット「Sota(ソータ)」を使って訪日外国人観光客の観光案内を行う実証実験をスタートさせています。

しかし、今回の「HOSPI」はこれらの取り組みとは、やや毛色が異なります。というのも、同ロボットはもともと医療現場の業務効率化を目的に開発された「病院内自律搬送ロボット」のためです。病院での使用を想定した製品を、どのようにして観光関連分野で活用しようというのでしょうか。今回は「HOSPI」を使った実証実験についてご紹介します。

 

少子高齢化の進行を受け、病院の業務効率化のために開発された「HOSPI」

「HOSPI」は2013年10月に発売した病院内自律搬送ロボットで、パナソニックグループが開発から販売までを手掛けています。国内で少子高齢化が進んでいることを踏まえ、今後、強く求められるようになるであろう病院の業務効率化に役立てることを目指しており、薬剤や検体を安全に運べる仕組みになっています。

この薬剤、検体の搬送は病院の運営状況にもよりますが、24時間発生する可能性があり、そのうえ、ミスが許されない作業なのだそう。従来、これを効率化する場合には、院内にエアシューターや天井近くを走らせる軌道台車など大掛かりな設備が必要でした。

「HOSPI」のメリットは、これらの機械設備よりも導入、メンテナンス費用が割安なこと。それから、障害物を回避しながら地図情報をもとに移動するため、走行経路を管理するための工事が不要なこと。また、院内LANを活用した運行監視システムにより、「誰が」「いつ」「どのように」使用したのかという履歴情報や、運用時に起きたトラブル(たとえば、入院している子どもが「HOSPI」で遊んでしまう可能性も考えられます)をカメラで記録する機能が搭載されています。

病院内での利用を想定していることをはっきりと打ち出しており、当時のリリース情報には「病院経営の合理化と医療サービスの向上に貢献」という売り文句が。おそらく「HOSPI」という名称も「HOSPITAL(病院)」から考案されたものでしょう。

 

インバウンド需要の高まりを受け、ホテルなどに活用場面を拡大

今回の実証実験に協力しているのは、成田国際空港株式会社、ANAクラウンプラザホテル成田の2社。「HOSPI」は当初想定していた病院と同様、やはり物を運ぶ作業に使用されます。

1月23日~27日までは、成田空港内「ナリタトラベルラウンジ」で食事の済んだ食器をカウンターまで搬送する実証実験を実施。

1月14日~18日までの期間は、ANAクラウンプラザホテル成田で「ドリンクサービス実証実験」を実施。ロビーを巡回しながら、薬剤、検体などの搬送に用いられていた本体中央の収納庫のペットボトル飲料を配布します。また、顔が表示されている本体上部のディスプレイや音声を使って、情報発信する機能が搭載されており、合わせてバスの発着案内も行います。インバウンド需要の高まりを受け、多言語対応を行っており、日本語、中国語、英語の3ヶ国語を利用することが可能です。

動画によれば、「HOSPI」は現在も病院向けの提供が行なわれているとのこと。高齢者の増加による人手不足が懸念される医療機関同様、訪日外国人観光客の増加により、観光関連分野でも人手不足が懸念されており、ホテルなどでも活用できるのではないかと、活用場面の拡大を目指しているとのこと。

物を運ぶという作業は、誰にでもできる簡単な作業であることから、取るに足らない些末なことと理解されがちです。しかし、他の業務同様、人的なコストはかかるため、人手不足が発生すると滞りが発生する可能性があります。多くの企業が人員不足で困っていることを考慮すると、近い将来、「HOSPI」のような”地味な作業を代わりにやってくれる”ロボットが活躍するようになるのかもしれません。

 

まとめ:病院向けに開発した製品を、観光関連分野に応用!

パナソニックが空港、ホテルでロボット「HOSPI」を使ったサービスの実証実験を実施することを発表。これはもともと病院の業務効率化を目的に開発されたものですが、現在はインバウンド需要の高まりから人手不足の発生が想定される観光関連分野でも利用してもらうことを目指しています。

基本的な機能は物を安全に運ぶという地味なものではなりますが、これを機械的に行わせるのは意外に困難なことです。将来的には人的コストを確保するために、こういったロボットを導入する施設が増えていくかもしれません。

 

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