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平成29年(2017年)2月24日、ANAホールディングスが、LCC(格安航空会社)として知られるPeach Aviation(ピーチ・アビエーション)の株式を取得し、子会社化することが発表されました。インバウンド需要の拡大を見越した動きで、2017年~2020年度にかけてPeach Aviation(ピーチ・アビエーション)のさらなる事業拡大を目指すとしています。

訪日外国人観光客の大部分を占めるPeach Aviation(ピーチ・アビエーション)の買収は、観光関連業界にどのような影響を及ぼすのでしょうか。同社の特色などを取り上げつつ、今後の動向をご紹介します。

 

アジア圏で活躍するLCC・Peach Aviation(ピーチ・アビエーション)がANAホールディングスの子会社に

Peach Aviation(ピーチ・アビエーション)の航空機が登場したのは、5年前の平成24年(2012年)3月1日。関西空港を本拠地も、日本初のLCC(格安航空会社)としてスタートしました。同空港は首都圏よりもアジア諸国に近い場所にあり、その利点を活かした「日本とアジアのかけ橋」というコンセプトを掲げています。

同社は独特な経営戦略を持っていることで知られ、機体には「Peach」の名の通り、ピンク色のデザインを採用。女性をメインターゲットとしており、現在では利用者の約3割が2~30代の女性となっています。

代表取締役、CEOを務める井上慎一氏によると、発足当時は「便数減、旅客数減に悩む関西空港を拠点にした航空会社など成功するわけがない」といった声もあったそうです。しかし、「最も成功している日本のLCC」と言われるほどの活躍ぶりを見せ、平成27年(2015年)に累計利用者数が1000万人を突破。日本の航空史上最速ペースで国内線、国際線を展開することに成功し、現在は国内線14路線、国際線13路線が運行しています。

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オーストラリアに本部を構えるシンクタンク「CAPA(Centre for Aviation)」が「2015年 アジア太平洋地域 LCC オブ・ザ・イヤー」に認定。また、同時期にシンガポールで開催された「フューチャートラベルエクスペリエンス」で「北東アジア地域最優秀 LCC 賞」を受賞しています。当時、新興市場であったLCCで速やかに黒字化を達成し、2015年に2年連続となる黒字を達成したこと、日本では新しいタイプの航空会社であったこと、費用を抑えるとともに、サービス面で他社と差別化を図ったことなどが高く評価されたようです。

Peach Aviation(ピーチ・アビエーション)の国際線は、いずれもソウル(韓国)、上海(中国)、バンコク(タイ)といったアジアの国々。ちょうど訪日外国人観光客の大部分を占めている地域と重なり、インバウンド市場でも存在感を発揮しています。2012年以降、関西空港におけるアジアからの訪日外国人観光客数は首都圏の主要空港よりも高い増加率を占めていますが、これはPeach Aviation(ピーチ・アビエーション)の貢献も大きいでしょう。現在の国際線の外国人搭乗比率は7割を超えており、海外でも名の通ったLCCとなっています。

 

2020年度に向け、さらにアジアでの事業拡大を目指す方針

これまでPeach Aviation(ピーチ・アビエーション)の株式は香港の投資会社・ファーストイースタンアビエーションホールディングス、産業革新機構、ANAホールディングスがおよそ3分の1ずつ保有していましたが、今回の子会社化によりANAホールディングスが304億円をかけて67%を保有する形に変わります。すでに株式譲渡契約は締結されており、実際に取得が行なわれるのは4月10日になる予定。

この件に関して各組織の代表者がコメントを発表しており、Peach Aviation(ピーチ・アビエーション)の今後の戦略が伺えます。まず、「ANAHD、産業革新機構と同様に我々からの揺るぎないサポートを得ることで、Peachは今後、ますます強力に発展」(ファーストイースタンアビエーションホールディングス/Chu会長)、「引き続き株主としてサポート」(産業革新機構/勝又社長)という発言から、資本構成は変わったものの、3社でサポートしていく体制は変わらないようです。

また、Peach Aviation(ピーチ・アビエーション)は2016年、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、インバウンド市場がひとつの山場を迎える2020年度に航空機を40機まで増やす目標があることを、報道機関の取材で明らかにしています。井上CEOは「当社が掲げている2020年に向けたチャレンジングな計画を着実に実現し、インバウンド4000万人ならびに地方創生に貢献するうえで、これまでの株主3社から更なる強力なサポートをいただけるのは大変ありがたい」「安定株主となるANAホールディングスとのシナジーにより、Peachは事業の拡大と発展を一層加速できると確信」としており、この方針は崩していないと思われます。

「国内・海外拠点の拡大をさらに推進し、日本を代表するLCCとして市場を牽引することで、航空需要の創出や地方創生などを通じて、観光産業ひいては日本経済の発展に貢献」(ANAホールディングス/片野坂社長)とのコメントもありますが、井上CEOは「アジアのかけ橋となることを目指し、日本のみならずアジアにおいて笑顔をお届けする空飛ぶ電車となります」と現状通り、アジア圏での事業展開を続ける方針を示唆しています。

 

まとめ:インバウンド市場でPeach Aviation(ピーチ・アビエーション)の影響力はますます大きくなりそう

ANAホールディングスが、LCC(格安航空会社)として知られるPeach Aviation(ピーチ・アビエーション)の株式を取得し、子会社化することが発表されました。Peach Aviation(ピーチ・アビエーション)は以前、2020年度に航空機を40機まで増やす方針明らかにしており、今後もその計画を継続していく方針のようです。また、訪日外国人観光客が多いアジア圏での事業拡大を示唆しており、同社のインバウンド市場における存在感はますます強くなっていきそうです。

 

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