最近では中国の経済状況が不安定になっているものの、数年前より所得が上昇しており、また円安元高の影響もあって、依然として訪日中国人観光客による爆買いは続いています。
訪日中国人観光客数も年々増えており、2015年にはおよそ500万人が日本を訪れました。国内各社ではインバウンドマーケティングに着目。どのような手段が集客へとつながるのか、中国の検索事情を交えてご紹介します。
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中国最大の検索エンジン「百度(バイドゥ)」を活用したインバウンドマーケティング
訪日中国人観光客を対象としたデジタルメディア戦略を語る前に、中国国内のネットの状況から説明する必要があります。大前提として、日本や世界先進各国が当たり前に使っているようなGoogle検索エンジンやFacebook、動画サイトではYouTubeなどは、中国国内では上海の一部を除いて閲覧ができません。
したがって、訪日中国人観光客向けにインバウンドマーケティングを考える際は、中国国内でシェアの高いメディアに向けてアプローチしなければなりません。
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訪日中国人観光客向けSEO対策とIPC登録(前編)
中国SEOの壁と“表現の不自由”訪日中国人観光客の市場をターゲットしたSEO対策訪日中国人観光客の市場をターゲットしたSEO対策をしようと思っても、さまざまなハードルが存在します。中国SEOを展開するのは難しい――そんな嘆息が漏れてくるのも仕方がありません。ネット規制のもと、中国国内でGoogle検索が通用しないことだけをとって見ても、中国のネット環境の特殊性が容易に想像できるかと思います。バイドゥ(百度)で「天安門事件」を検索すると・・・背景には、「金盾」と呼ばれるゲートウェイによって中...
「百度(バイドゥ)」の検索キーワードランキングを利用したブランディング
事業支援の企業であるオプトホールディングとソウルドアウトが、中国最大手検索エンジン「百度(バイドゥ)」を運営するバイドゥと業務提携し、インバウンドマーケティングに関する新サービスの開発や提供への取り組みを開始しました。
その一環として、中国国内で最も利用されている検索エンジンの「百度(バイドゥ)」の検索キーワードランキングを利用し、一定期間のうちに集計された人気の商品に対して「百度クレジット」という認定ロゴを付することで、ブランド力の向上や販促拡大、来店促進の効果を狙ったサービスを展開しています。
つまり、自社製品が百度(バイドゥ)検索の人気ランキングにて上位を獲得した場合、国内百貨店などで「百度クレジット」の認定ロゴが表示されたPOPやのぼりなどを設置することができ、訪日中国観光客へ向けた強力な販促を実現できることになります。
訪日中国人観光客に向けたインバウンドマーケティング
訪日中国人観光客は、まず国内にてソーシャルメディアや検索、口コミサイトなどで情報を集めてから訪日します。そして、中国人は買い物、観光体験などをリアルタイムにソーシャルメディアでユーザーで発信し、帰国後も体験談や写真などを共有するサイクルを持っています。日本人よりもこれらのメディアを活用する傾向にあります。
訪日中国人観光客が事前に検索するサイト3選
爆買いしに訪日する中国人に、自社製品を事前に認知してもらうためには、訪日中国人観光客のよく利用するサイトで事前にアプローチをする必要があります。
中国2大ソーシャルメディア
中国国内で人気のSNSは「Wechat(ウィーチャット)」と「Weibo(ウェイボー)」です。Wechat(ウィーチャット)は日本でいうLINE、Weibo(ウェイボー)はTwitterの位置づけになります。
Weiboでは「海淘族」と呼ばれる情報に敏感なソーシャルバイヤーが集うため、その情報を参考に一般ユーザーは爆買いリストを作成します。つまり、この2つのSNSでのアピールが鍵となります。
生中継プラットフォーム
日本ではニコ生やツイキャスなどが有力な販促プラットフォームとして活用されますが、中国国内では「斗鱼TV」「战旗TV」「龙珠直播」が有名です。
動画配信プラットフォーム
中国国内では年間約4.5億人の動画視聴者が存在し、実に8割におよぶネットユーザーが視聴していることになり、強力な販促プラットフォームとして活用できます。特に有名なサイトは「騰訊視頻」「Youku」「iQIYI」となります。
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訪日中国人観光客が中国国内でよく見る人気のWEBサイト一覧・解説
中国はご存じのとおり、facebookやtwitterが閲覧できないほど非常に厳しいネット規制があります。中国国外のWEBサイトの検閲規制がかかっていたり、サーバードメインも現地法人がないと取得できなかったりと、様々な壁が存在します。
訪日中国人観光客をターゲットにした検索エンジン「百度(バイドゥ)」向けSEO対策
訪日中国人観光客の爆買いリストに自社製品が名を連ねるには、事前に中国国内のネット事情を把握し、的確なSEOを対策していかなければなりません。その上でまず注意すべき点があります。
- 中国の検索エンジンシェアは百度(バイドゥ)を含めた中国産エンジンで95%を占める
- 中国の検索エンジンでのSEO評価は国内のサーバーが圧倒的に強く、海外は評価が低い
- 中国国内にサーバーを設置するには現地法人が必要(=IPC登録が必要)となる
- 百度(バイドゥ)向けサイト登録(Googleでいうところのサーチコンソールでの登録)にもIPC登録が必要
といったように、中国以外で通常行われるGoogle検索エンジンをターゲットとしたSEO対策はあまり意味をなさず、ローカライズした対策が必要になってきます。
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訪日中国人観光客向けSEO対策とIPC登録(後編)
前編はこちらICP登録をしないとどうなるか訪日中国人観光客の市場をターゲットしたウェブサイトを構築する場合、中国に法人をつくり、サーバー、ドメイン等の情報を取り揃え、ICP(Internet Content Provider」)登録を行うというのが正攻法であることを前編でご案内させていただきました。中国(香港除く)へサーバー移転もしくは新規開設をする場合は、「インターネット情報サービス管理弁法」という法律にしたがい、法人・個人を問わず、すべてのサイトにおいてICP登録が必要となります。そし...
中国産SNS内検索などでも情報収集は盛んに行われている。
先ほど紹介した「Wechat(ウィーチャット)」や「Weibo(ウェイボー)」などのソーシャルメディアや動画配信サイトなどは、マーケティングツールとして注目されており、力を入れていくことが重要視されています。さらに、中国版Wikipediaである「百度百科」や、「Sina」や「Tencent」などのBBSの利用も有効です。
逆の例でも、中国企業が日本で販促を展開する際にTwitterやFacebook等に専用アカウントを立ち上げることはよくあります。日ごろから、これらのSNSを覗くことでユーザーが何を求めているのかというリアルタイムな情報も得られるためインバウンドに繋げることが可能です。
まとめ:中国国内の検索事情を把握することでインバウンドは加速する
ここまでざっくりと中国の検索エンジン事情と販促に使えるメディアの紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか?
自社製品を爆買いリストに載せるためには、中国国内での地道なプロモーション・ブランディングが必要になってきます。訪日中国人観光客のインバウンドが加速する現在、より有効とされる新しい情報にも注目していきたいところです。
<参照>
- 観光庁:訪日外国人消費動向調査 平成27年の年間値の推計
- JNTO:訪日旅行データハンドブック2016(世界20市場)
- SOLD OUT:オプトホールディング、ソウルドアウト、バイドゥがインバウンド・マーケティング事業で業務提携 〜中国最大手検索エンジン『百度』の検索ランキングデータを中国人観光客向けに活用する インバウンド・ソリューション提供~
訪日中国人観光客インバウンドデータ集
データでわかる訪日中国人観光客
爆買いという流行も後押しし、2015年の中国人訪日外客数は前年の約2倍となる499万人となりました。また、2015年の訪日中国人によるインバウンド消費額は約23万円で前年比10%増程度ですが、訪日外客数増加の後押しをうけ、訪日中国人全体のインバウンド消費額はなんと5,583億円。
訪日中国人観光客の特徴
'爆買い'という流行語が現れるほどに存在感を放っている訪日中国人観光客。日本国内でも大きな注目が集まっており、彼らに関するニュースやコラムを目にする機会は少なくありません。
訪日中国人観光客が中国国内でよく見る人気のWEBサイト一覧・解説
中国はご存じのとおり、facebookやtwitterが閲覧できないほど非常に厳しいネット規制があります。中国国外のWEBサイトの検閲規制がかかっていたり、サーバードメインも現地法人がないと取得できなかったりと、様々な壁が存在します。
訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(1):WeChat(微信)
訪日中国人観光客の増加に伴い、インターネットを活用したインバウンドマーケティングへの関心が高まっています。しかし、中国のネット事情は日本とは大きく異なります。
訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(2):テンセントQQ
訪日中国人観光客が必携としているコミュニケーションツールをWeChat(微信)のほかにひとつだけ挙げるとしたら、それはテンセントQQ( 騰訊QQ、Tencent QQ; 以下、QQと略)だといえるでしょう。
訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(3):Weibo(微博)
訪日中国人観光客が常用するアプリとしてWeChat(微信)とQQを取り上げましたが、Weibo(微博)も忘れてはなりません。「微博」は中国語で“ウェイボー"と読み、ミニブログ、マイクロブログという意味です。
訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(4):人人網(レンレンワン)
訪日中国人観光客が常用するサービスとして、WeChat(微信)、QQ、Weibo(微博)をご紹介してきました。いずれもTwitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)の良い所どりをしながら機能の充実を図ってきており、若干の不確定要素をはらみながらも、中国の3大SNSとして大きな存在感を誇示しています
訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(番外編1):ネット規制のアプリへの影響&ニュースアプリ篇
昨年(2015年)以来、中国経済を語るうえで重要なキーワードとなっているものに「互聯網(フーリエンワン)+」(インターネットプラス)があります。これは中国国務院(日本の内閣に相当)総理の李克強氏が唱えたコンセプトです。
訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(番外編2):ネットラジオ篇
「読みたい記事」が自在にカスタマイズできる「今日頭条(ジンジートウティアオ)」がニュースアプリの定番となる一方、「聞きたい番組」を自由自在に取捨選択できるネットラジオアプリも人気を集めています。
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短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
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今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
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訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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