訪日外国人観光客による周遊旅行の拡大を目的に、テーマ、ストーリー性を持った形で観光ルートをまとめ、海外へ積極的な発信を行う「広域観光周遊ルート形成促進事業」。日本各地で、それぞれの地域の魅力を活かした個性的なモデルコースが設定されており、想定されるターゲット層、ニーズまで掲げられています。
今回は、豊かな自然を前面に押し出した北海道の広域観光周遊ルートについて見ていきましょう。
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アジアの宝 悠久の自然美への道 ひがし 北・海・道
北海道の広域観光周遊ルートの名称は「アジアの宝 悠久の自然美への道 ひがし 北・海・道」。広大な紫のラベンダー畑があるファーム富田(中富良野町)、良質なパウダースノーでウィンターレジャーが楽しめる富良野スキー場(富良野市)などが主な観光資源で、北海道にしかない四季折々の自然、食を訴求点として掲げています。
主な対象市場は、熱帯、亜熱帯に属する台湾やタイ、香港。そのほかシンガポールや中国、韓国、欧米ではアメリカ、オーストラリア、イギリスからの訪日外国人観光客も見込んでいます。訪日外国人観光客が約1週間の長期滞在で、ゆったりと大人の旅を楽しむことを想定しています。
モデルコース:夏冬で異なる観光プランを提案
北海道の広域観光周遊ルートには「Explore the Wonderland in summer」「Explore the Wonderland in winter」という2種類のモデルコースが存在します。名称の違いは末尾の「summer」「winter」だけで、夏、冬で様変わりする北海道の自然に重点が置かれています。観光ルート自体はよく似ており、大きな違いはありません。
Explore the Wonderland in summer
主な観光資源は以下の通り。芝桜やチューリップ、ラベンダーなど花をテーマにした施設が多くなっています。交通機関の整備などを進め、より多くの個人旅行客、20~30代女性の訪日台湾人観光客の獲得を目指しています。
- ファーム富田(中富良野町):広大な紫のラベンダー畑
- 四季彩の丘(美瑛町):丘を埋め尽くす色とりどりの花
- 十勝千年の森(清水町):5ヘクタールもの芝地
- 芝桜(大空町東藻琴):山肌一面をピンクに染まる芝桜
- メルヘンの丘(女満別町):地平線まで広大な大地が広がる
- 釧路川カヌー体験(標茶町など):手つかずの湿原が残っている
- 摩周湖(弟子屈町):霧に包まれた朝焼けが湖を染めるさまが見られる
- ホエールウォッチング(羅臼町):知床岬を背景にクジラやイルカが見られる
観光ルートは、3種類が想定されています。すべて滞在期間は7日間。新千歳空港、旭川空港をスタートし、富良野、帯広、釧路、知床などを巡る道のりになっています。
Explore the Wonderland in winter
主な観光資源は以下の通り。雪景色や流氷、ウィンタースポーツなどを楽しめる施設がメインになっています。夏のモデルコース同様、交通機関の整備などを進め、より多くの個人旅行客、20~30代女性の訪日台湾人観光客の獲得を目指しています。
- 旭山動物園(旭川市):ありのままの生態が見られる動物の展示
- 層雲峡温泉氷瀑まつり(上川町):氷の建造物をカラフルに照明
- 富良野スキー場(富良野市):国内随一のパウダースノー
- 然別湖コタン(鹿追町):氷の建造物「イグルー」での宿泊など
- フロストフラワー(釧路市阿寒湖):特殊な環境にしか現れない水蒸気の結晶
- SL冬の湿原号(釧路市ほか):一面の銀世界を走る機関車
- ガリンコ号Ⅱ(紋別市):オホーツク海を航海する世界初の流氷砕氷観光船
- 流氷ウォーク(網走市・斜里町):流氷の上を安全に歩ける
想定された観光ルートは、3種類。滞在期間は6~7日。夏の観光ルートに類似しており、新千歳空港、旭川空港からスタートし、旭川や網走、釧路、知床などを巡ります。
今後の課題はWi-Fi整備とSNSプロモーション
2019年までに、交通環境の整備やWi-Fi(ワイファイ)の整備、SNSを通じた観光資源のプロモーションなどを行う予定。2013年時点で訪日外国人観光客全体の10%が北海道を訪れていますが、これらの施策を通じて、シェアを1.5倍にまで拡大するのが目標です。
訪日台湾人観光客、訪日香港人観光客、訪日タイ人観光客からの人気は獲得しているものの、札幌、函館を旅行する人が多くなっています。道東を中心とした観光ルートが設定されていることから、まだ知名度の低い道東をプロモーションする狙いが伺えます。
まとめ:夏冬で違う北海道の観光資源を提案
北海道の広域観光周遊ルートには、2つのモデルコース「Explore the Wonderland in summer」「Explore the Wonderland in winter」が設定されています。季節が夏、冬に分かれており、観光ルートはよく似ているものの、異なる観光資源が提案されています。依然として訪日外国人観光客の少ない道東を通るルート設定になっており、知名度を向上する狙いが伺えます。
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