外国人観光客にどうやってマナーを守らせる?→ポイントは地域の協力&分散化/寺社仏閣の外国人マナー向上事例2選

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訪日外国人観光客が増える中、寺院や神社を訪れる外国人観光客も増えています。ただ、訪れる外国人客のマナーによって問題が起こっている場合もあります。こうした問題を解決する鍵はどこにあるのでしょうか。

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訪日外国人マナー向上事例1:南蔵院(福岡県篠栗町)団体客のマナー

福岡県篠栗町の南蔵院は、高野山真言宗の別格本山で、日本三大新四国霊場の一つ、篠栗新四国霊場の総本山です。境内には全長41m、高さ11mの、ブロンズ製では世界一の大きさとも言われる釈迦涅槃像があります。

数年前から外国人団体客が増え始め、境内で大音量の音楽を流して踊りながら動画を取ったり、寺院の屋根に上って写真を撮ったりすることが目立つようになりました。注意をしても耳を貸さない人もいたといいます。

現在ではバスツアーの受け入れを停止しています。また、篠栗町の観光サイトからは南蔵院の情報が削除されています。ただし外国人観光客を全面的に拒否しているわけではなく、釈迦涅槃像の近くに12か国語による注意書きを設置し、外国人、日本人に関わらず、マナー厳守を呼び掛けています。

マナー呼びかけの多言語化にQRコードを活用する寺社も

マナー違反といっても、文化が違うためにマナーが理解できなかったのではないかとも考えられます。京都市にあり、千本鳥居などで外国人観光客にも人気の伏見稲荷神社では、境内9か所に案内板にQRコードを設置し、読み取ると音声案内を聞くことができます。また、QRコードにアクセスすると参拝の仕方なども確認することができます。

また「奈良大和四寺巡礼」をPRする奈良県中央部の長谷寺(はせでら)、室生寺(むろうじ)、岡寺(おかでら)、安倍文殊院(あべもんじゅいん)の四寺では、各寺の受付周辺に無料のWi-Fiを設置しています。また境内では、QRコードを利用して案内、説明を見ることができます。

訪日外国人マナー向上事例2:八代宮(熊本県八代市)クルーズ船外国人観光客のマナー

熊本県八代市の八代宮でも、外国人観光客の急増から問題が起きています。八代宮はもともと八代城として築城され、明治3年(1870)に八代城が廃城になると、地域住民の熱心な要望により神社となったものです。

八代市内にある八代港は熊本県内最大の国際貿易港です。クルーズ船の寄港は2014年に5回でしたが、2015年は12回、2016年は地震直後でも12回、2017年は66回にまで増えました。その多くは中国発着のものです。八代港は全国6港湾の一つとして2017年7月26日に「国際旅客船拠点形成港湾」に指定され、国、県、ロイヤルカリビアン・クルーズ社が連携して施設整備等を行うことになりました。

2017年11月から、22万トンの超大型クルーズ船が着岸できる岸壁や、旅客ターミナルなどの整備工事が進められています。2018年10月には基本計画がまとめられ、観光スポット「くまモンパーク」(仮称)なども整備することが決まりました。

急激なクルーズ受け入れの増加で外国人観光客のマナーが問題に

そうした中、八代宮ではクルーズ船寄港日に本殿前の門を閉鎖するようになりました。外国製たばこが生け垣へ捨てられていたり、拝殿前に牛乳をこぼして放置したり、境内の砂利を手水台に入れたりとさまざまな迷惑行為があり、対策を講じても効果が薄かったことによる措置でした。

市や県では、観光客が八代宮に集中していることが大きな原因とみて、八代宮をバスツアーのコースから外すよう旅行会社に要請しました。また、新たなバスツアーを企画するなど観光地の分散化を考えています。

さらに、ツアーバスの受け入れとオペレーション、市内訪問先でのおもてなしなどを担当する一般社団法人DMOやつしろでは、旅行会社や行政、地域の人との間に立って調整を進めています。

2018年6月には、乗客約4200人が市内の本町商店街を訪れて買い物をする企画を行いました。商店街にはそれまでクルーズ船の受け入れに前向きでなかった人もいましたが、DMOやつしろによる調整を経て、この日のイベントは商店街の自主的なものという形で行うことができました。多くの市民も訪れ、結果としてこの日商店街全体で1000万円以上の売り上げを出すこととなりました。

1か所にキャパシティを超えるほど人が集中してしまうと、マナー違反が解決できないほど大きな問題になってしまうこともあります。しかし、事前に訪問人数分のオペレーションやエンターテイメントが考えられた、地域の中の適切な場所へと導くことで、外国人観光客を地域経済活性化に結び付けることができたのです。

地域で受け入れ、マナー問題を解決へ

このように、外国人観光客によるマナーの問題について、寺社だけに任せるのではなく、地域全体で受け入れることもポイントになりそうです。
寺社を訪れる外国人観光客の多い京都市では、次のようなマナー啓発に取り組んでいます。

  • リーフレットの作成
  • トイレの使い方に関するステッカーの作成(日本語、英語、韓国語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字))
  • 観光バスでのマナーに関するチラシ作成(日本語、英語、中国語)
  • マナー啓発動画の作成(英語版、中国語字幕)
リーフレットやステッカー、チラシはホームページからダウンロードして使用することもできます。京都市ではこのほか、郊外の寺社をPRするなどして、観光客の分散化をはかっています。
▲外国人観光客にも人気のスポット、渡月橋
▲外国人観光客にも人気のスポット、渡月橋

まとめ:地域で受け入れ、地域のマナー向上を

近年では「観光公害」という言葉も聞くようになっています。これは観光によって起こるさまざまな弊害のことで、多くの場合、観光客の増加によって引き起こされます。寺社でも「観光公害」が起こっているとも言えるかもしれません。

ただし今回挙げた二つの例を見てみると、マナーを理解してもらうこと、観光客を分散させることなどを試みれば、改善の余地が大いにある場合もありそうです。そのとき、寺社だけに取り組みを任せるのではなく、地域で観光客を受け入れているという意識を持ち、自治体や地域の人などがともに解決に向けて取り組むことが、スムーズな改善につながるように感じられます。

特に自治体については、京都市のようにさまざまな寺社や施設が共通して使えるステッカーを作成する、それぞれの寺社の案内の多言語化について相談を受けられる体制を整えるなど、寺社を支えるさまざまな取り組みができると考えられます。

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参考:

京都観光Navi:マナー啓発 

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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