【中国】年間取引額2兆円の越境EC、国産プラットフォームTOP5と市場シェア:進出前に理解したい「3つの分類」特長とメリット・デメリットを整理

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新型コロナウイルスの世界的な流行により、国を超えた行動に制限かかかる中、現地を訪れることなくECサイトを通して直接海外商品を購入できる越境EC市場に注目が集まっています。

越境ECを活用することにより、旅マエ越境ECを通して購入した商品を旅ナカインバウンド)で再購入したり、旅ナカで購入した商品を旅アト越境ECで再購入するなど、消費者との長期的な関係性作りも可能になります。

今週には、中国のECセールでも近年存在感を増している「618」も控えています。

今回はインバウンド市場でも消費意欲の旺盛さで存在感のある中国を対象に、越境ECプラットフォームについて各社の特徴とメリットやデメリットを紹介していきます。

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毎年成長を続ける中国越境ECの規模

日本の海外向け越境EC市場の中で一番大きな市場は中国です。

中国向け越境ECの規模は年々成長しており、経済産業省が2018年に発表した「電子商取引に関する市場調査」によると、2018年の取引額は1兆5,345億円であったのに対し、2020年は2兆730億円規模に成長すると予想されています。

特に2020年はコロナウイルスの世界的な流行に伴い海外への出国が制限されている分、越境ECを通しての商品購入が伸びており、アリババグループが運営する越境ECサイト「天猫国際」が発表したデータによると2020年1~3月の消費拡大が特に顕著で、2020年2月の購入額は昨年比52%増加となっています

2021年に延期が決定された東京オリンピックでも訪日観光客によるインバウンド消費の増加が見込まれ、今のうちから越境ECを通して消費者との接点を作り、来たる機会に備えて準備をしておくことが重要です。

【日中比較】新型コロナで売れた・売れない商品ランキング 「口紅」明暗分かれる

新型コロナウイルス流行による外出自粛が影響し、小売業界では商品のジャンルにより「売れた」「売れない」の差が顕著に表れています。経済産業省が公開している小売業のPOSデータを見ると、それぞれの商品の販売金額から実際に売れた商品・売れなかった商品の傾向が読み取れます。例年のインバウンド市場に目を向けると、これまでの訪日中国人観光客の「爆買い」に代表されるように、日本人に人気を博した商品は訪日外国人観光客の注目も集めるという傾向がありました。したがって、コロナ禍のいま日本人に売れている商品を分析...


中国越境ECをはじめる際に活用したい、3つのECプラットフォーム

越境ECをはじめるには商品説明やカスタマーサポートの言語対応、現地通貨での決済や国際発送に対応する必要があります。

品目によっては現地の法律により販売が許可されていない商品や事前認可が必要な商品もあり、専門的な知識が問われます。

そこで活用したいのが、すでに決済対応や国際発送の仕組みが整っている越境ECプラットフォームへの出品です。

ここでは中国現地企業が運営するECプラットフォームと、日本企業が運営するECプラットフォームに分けて、そのメリットデメリットと合わせて紹介します。

1. 現地越境ECプラットフォーム

中国リサーチ会社iiMediaResarchによると、2019年上半期の中国の越境ECプラットフォームのシェアは上から順に以下のようになりました。

  • 1位:考拉海購(ネットイースコアラ)27.7%
  • 2位:天猫国際(Tmall global)25.1%
  • 3位:海囤全購(JD Worldwide)13.3%
  • 4位:唯品会国際(VIP)9.9%
  • 5位:小紅書(RED)6.1%

シェア1位の考拉海購(ネットイースコアラ)は、2019年9月にアリババに買収されています。中国越境ECのシェアの半分以上が、アリババ系ECによって占められている形です。

また、3位の海囤全購(JD Worldwide)は2019年に「京東全球購」から名称変更され、リブランディングをはかっています。

これらの中国の越境ECプラットフォームは中国国内での知名度も高く、サイト訪問者が多いため、ヒット商品が生まれるとその分大きく売り上げを伸ばす可能性を秘めています。

ネットイース(網易)とは

中国のネットイース(網易)は、ポータルサイトを運営する大手IT企業です。2000年に米国株式市場のナスダックに上場しています。 中国ではオンラインゲームやモバイルゲームで知られていますが、越境ECの運営も手掛けています。越境ECサイトのKaola.com(網易考拉/ワンイーカオラ/ネットイースコアラ)は、取扱商品の質の良さからユーザーの支持を得ています。 こうしたユーザーからの評判の良さもありKaola.comに出店する日本企業も増えています。今や、中国への日本製品PRにおいて欠かすこ...


中国ECサイト「京東」とは

EC(電子商取引、Electric Commerce)は、インターネット上で商品を販売するネット通販を意味する言葉です。経済成長の著しい中国では、ECを利用したショッピングが盛んです。海外の商品を購入できる越境ECサイトにも注目が集まっています。 中国の大手EC事業者である京東(ジンドン、JD)は、豊富な品揃えやIoT技術を取り入れた配送技術で有名です。今月13日に発表された2019年4~6月期の純利益では6億1,881万元(約90億円)の黒字となりました。昨年同期には赤字を計上していま...


しかしながら、日本企業だけでなく世界中のライバルが出店をしているため、競争は激しくなります。固定費用も大きい傾向があり、天猫国際の場合は出店にあたり保証金10万元(約150万円)に加えサービス費用6万元(90万円)の初期費用を用意する必要があります。(2020年6月現在)

とはいえ、出店ブランドが増えている昨今では出店審査自体も厳しくなっており、商品と費用を用意したからと言って必ずしも出店できるとは限りません。

その分、プラットフォームが注力するカテゴリや中国市場で売れると判断されたブランドはイベントへの参加や共同商品開発などプラットフォームによる手厚いサポートを受けることもあります。

実際に、天猫国際では2020年3月に「マーチャントインキュベーションセンター」を設立し、毎月21日に売れ行きが好調な海外ブランドを集めて実施するライブコマースイベントや、「輸入の日」などの販促イベントを通じて、マーチャントのマーケティング活動を支援することを発表しています。

▲[天猫国際トップページ]:筆者スクリーンショット
▲[天猫国際トップページ]:筆者スクリーンショット

2. 日本発の越境ECプラットフォーム

中国のECプラットフォームの他に、Inagora株式会社が運営する「碗豆公主(ワンドウ)」や株式会社bolomeが運営する「bolome」など、日本企業が運営する日本商品に特化した中国向け越境ECプラットフォームも存在します。

日本商品を専門に扱うプラットフォームであるため、サイトに訪問する消費者ははじめから日本に対して興味を持っており、購入に転換しやすいメリットがあります。

「碗豆公主(ワンドウ)」では中国から注文が入った後、日本国内の指定倉庫に商品を送るだけで輸出から通関、中国国内配送を実現でき、自社倉庫の用意をしたり在庫リスクを抱えたりすることなく越境ECを始められる気軽さが魅力的です。

しかしながら、中国現地の越境ECプラットフォームと比較するとサイトに訪問する消費者の属性が絞られてしまうため、広い消費者層にリーチして消費者の反応を見たい場合はやや弱点になり得ます。

▲[碗豆公主運営インアゴーラ社コーポレートページ]:筆者スクリーンショット
▲[碗豆公主運営インアゴーラ社コーポレートページ]:筆者スクリーンショット

3. 自社ECサイトの活用

上記のような越境ECプラットフォームを活用せず、スピード重視で既存の自社サイトを海外対応させて越境EC化させる方法もあります。

決済や物流、カスタマーサポートなどの海外対応の壁がありますが、今では株式会社ジグザグが提供する「WorldShoppingBIZ」のように、サイト内にタグを埋め込むだけでサイト内の言語対応からカート機能、海外向け決済、国際発送までを代行してくれるサービスもあるため、参入障壁が低くなっています。

最小限でいいのでまずは海外の消費者との接点を作りたい、どんな商品が売れるか反応を見てみたい、越境ECプラットフォームに出品する前にテストをしてみたいといった場合におすすめのサービスです。

▲[ジグザグ社コーポレートサイト]:筆者スクリーンショット
▲[ジグザグ社コーポレートサイト]:筆者スクリーンショット

越境ECを通して海外のお客様と長期的な関係づくりを

越境EC」という一つのくくりではあっても、プラットフォームの特長は多岐にわたります。

中国の越境ECで商品を売る目的が「売上」なのか「認知拡大」なのかを明確にすることで、各プラットフォームの特長を踏まえた出品先・出店先を選ぶことができます。

中国向けの越境ECに着手する際は、越境EC自体で売上を立てたいのか、プラットフォームを通して現地の消費者による認知を獲得し未来のインバウンド消費につなげるプロモーションとしても活用したいのかという点について、熟慮するべきでしょう。

海外に居住するお客様と長期的な関係を築くためにも、海外にいながらにして商品を購入できる越境ECの役割は非常に重要です。

新型コロナウイルスの影響で訪日観光客が減少している今こそ、未来への準備期間として越境ECの導入を検討してみる良いチャンスかもしれません。


<参照>

https://www.inagora.com/crossborder/

https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/04/e932db2faaaf7d6e.html

https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190516002/20190516002-1.pdf

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この記事の筆者

兵頭 和(ビントウ)

兵頭 和(ビントウ)

2016年中国北京での社会人インターンを経て2017年よりEC事業会社にて越境EC天猫国際)運営、国内ECの開発企画、ディレクションを担当。現場目線で中国アプリサービスを解説する。愛媛生まれ。

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