観光庁は、9月25日に2021年度予算の概算要求を公表しました。
2021年度の概算要求では、総額460億5,700万円を要求しており、2020年度の予算額と比べると33%減となっています。
一方、インバウンドの回復と「2030年6,000万人」の目標に向けて、前年度に引き続きプロモーションの強化や教育旅行・MICEの促進などを実施する方針です。
さらに、新型コロナウイルス感染拡大を受け、2021年度において落ち込んだ観光産業を支援するための新しい3つの施策も提言しています。
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2021年度、観光庁の予算概算要求:前年比33%減の460億に
観光庁の2021年度予算概算要求によると、2021年度の要求額総額は460億5,700万円となり、2020年度の683億9,500万円の予算額と比べると、33%減少していることがわかります。
このうち、「一般会計」は前年度比2%減の167億5,700万円であり、「東北の復興(復興枠)」は前年度の予算額と同じく3億円で、「国際観光旅客税(出国税)」を活用した観光施策の展開については、前年度43%減の290億円を要求しています。
全体をみると、2021年度の要求額は前年度の予算額を下回っていますが、一般会計に掲示されている5つの項目においては前年度と比較すると増額となっています。
- 「教育旅行を通じた青少年の国際交流の促進」:3,000万円(前年比200%増)
- 「MICE誘致の促進」:2億6,800万円(前年比65%増)
- 「通訳ガイド制度の充実・強化」:6,500万円(前年比20%増)
- 「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業」:56億2,000万円(前年比4%増)
- 「ユニバーサルツーリズム促進事業」:2,300万円(前年比60%増)
引き続きインバウンドに注力
概算要求では、「2030年訪日外国人観光客数6,000万人」という目標に言及し、その目標達成に向けた取り組みを掲げています。
まず、新型コロナウイルスの感染状況を見極めつつ、感染が落ち着いている国から順次国際的な人の往来を再開し、訪日の誘致プロモーションなどを実施する方針としています。
具体的には、日本の安心安全情報の発信、訪日意欲が高いリピーター層の取り込み、また、中国や台湾、オーストラリアなどの重点22市場の国別需要に応じたプロモーション戦略の強化などがあります。
こうした戦略的なプロモーションを実施するほかに、要求額が前年度より増加した「教育旅行を通じた青少年の国際交流の促進」と「MICE誘致の促進」に関する取り組みについても言及しました。
「教育旅行を通じた青少年の国際交流の促進」においては、安心安全な旅行を実施するため、旅行先での感染対策などの情報を整備し、観光業界や学校関係者、または諸外国と連携しながら、海外教育旅行のさらなる促進を目指します。
こうした青少年の国際交流を拡大させる取り組みを実施することによって、国民の国際感覚や国際相互理解を向上・増進し、インバウンドの拡大にも貢献すると期待されています。
一方、「MICE誘致の促進」においては、開催地の誘致基盤と体制を整備し、JNTOのマーケティング展開と合わせて、日本のMICE誘致の国際競争力を強化します。
そして、UNWTO・関係諸外国と連携し、情報を共有することによって、自治体や事業者・国民のMICE開催による新型コロナウイルス感染拡大への不安を払拭することも期待されています。
上述したプロモーションと教育旅行・MICEに関する取り組みに加え、観光産業の人材確保・育成や通訳ガイド制度の強化、受け入れ環境の向上などもインバウンド回復の施策として挙げられています。
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2021年度の新たな3つの施策
また概算要求では、新型コロナウイルスの流行や豪雨・台風など大きな打撃を受けた観光産業を再生させるために、2021年における観光の再生と新たな展開(事項要求)をめざし、下記の3つの施策を検討しています。
1. 「新たな旅のスタイル」の普及・促進
観光庁は、国内旅行において、長期休暇が取りづらい、旅行需要が特定の時期や場所に集中する、宿泊日数が短いなどの問題点を解決し、旅行シーズンの平準化を図ります。具体的には、テレワークの普及がもたらした働き方の多様化も踏まえて、観光地やリゾート地で働きながら休暇をとる「ワーケーション」や、出張先で滞在日数を延長するなどして業務終了後に旅行を楽しむ「ブレジャー」、企業や団体の本部から離れたところに設置された「サテライトオフィス」で仕事をすることなどを推進します。
それによって、旅行需要を平準化させ、混雑による感染リスクを軽減しつつ、より多くの旅行機会を作り上げることを目指します。
2. DXで観光サービスの変革と観光需要の創出
観光庁は、デジタル技術とデータを活用し、観光資源と融合させる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を推進することによって、新しい観光コンテンツ・価値を生み出し、観光サービスの変革と観光需要の創出を実現することを掲げています。
例えば、オンラインツアーを活用して、観光地に関する情報取集や消費の機会などを提供することで、観光客の来訪意欲を増進します。
また、高精度測位技術や5Gなどのデジタル技術を組み合わせることによって、文化や自然など既存の観光資源をさらに磨き上げ、今までにない新しい観光コンテンツと価値を創出します。
さらに、顔認証を活用した手ぶら観光の提案や、観光客の予約・購買・行動などのビッグデータの利活用の可能性を調査することで、観光地の経営やマネジメントの変革を目指します。
3. 宿・事業者・地域の連携による新しい観光ビジネスの展開
最後に、地域において長期滞在を実現するために、宿泊施設を核とした、地域における新しい観光ビジネスの展開を支援します。
宿泊施設の取り組みにおいては、先進的な感染対策や三密回避の視点による客室の改修、ワーケーション体制の整備などを進めることで、宿泊施設の付加価値を向上させ、誘客の増加を図ります。
また、複数の宿泊施設と、所在地域の観光施設や旅行会社、交通事業者などと連携し、多様な観光体験の提供や旅行商品の造成を促すことで、宿泊客が様々な地域の魅力をワンストップで味わえるようにする取り組みも今後行われる予定です。
菅内閣に期待、GoToで観光回復「2030年インバウンド6000万人」強調
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観光庁:令和3年度予算概算要求の概要
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